●知らなきゃ損 ギター上達のキッカケ

●知らなきゃ損 ギター上達のキッカケ

2011.01.13
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テーマ: 小説日記(233)
カテゴリ: カテゴリ未分類
●4月18日 空港入り口

安田のパソコンを勝手に触っている靖司
最初は動画を喜んで見ていたが、少しスクロールして、顔色が変わる

靖司、パソコンを閉じて泣きそうな顔
安田が気がついて
「あ、靖司さん、僕のパソコン!」
耕造も気づく
「なんだよ、また動画見てんのかぁ?何度見ても同じだぞ。どうせフランスのには写ってないんだ」
冗談まじりにパソコンを開いて見る



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145.ロンドン空港で足止めをくらったおばちゃんたち、ラジオ体操でBBCに出るの巻
146.こういうユルさって日本ぽいよね。
147.ユルイ感覚だから荷物を駅のホームに放置とかできるんだろうな
148.こういう事すると奇異な目で見られるからやめろよな
149.ちょっとマテ、これMOVEのメンバーじゃね?
150.あ、本当だ淵野辺さんと岩城君と、もうひとりはサポート・メンバーだお
151.なんだよ、売名行為かよ、ガッカリだ
152.っていうか誰よ、これ始めたの?かんべんしてよねぇ、ジジイババぁが海外で恥曝すなよぉ、日本でおとなしくしてろっつーの
////////

耕造「なんだよ!これ!どういうことだ!」

妻達、近寄ってくる
安田の携帯が鳴る
安田「はい、、、、はい、いやでも、、、、そうですか、、、」
耕造「どうした?あんちゃん」
安田「あの、、会社からです。皆さんのツアー期間は終わっているので、延長に関する保証はできないって、、、、でも、空港側に交渉してみます。なんとか、、、」

皆、黙る
靖司、うなだれてる

●空港別場所

耕造「すまねぇな、あんちゃん達、有名なグループなんだってな」
淵野辺「いや、、、、」
耕造「まさかなぁ、こんなことになるなんて、俺たちゃ、これっぽっちも想像してなかったんだよ」
来栖「僕もです、、、」
耕造「それをよぉ、売名行為だとかなんとか、、、、俺は知ってるぜ、あんた達も俺達と同じに足止めくらっちまってるんだし、俺たちを元気つけようと楽器まで持ってきてくれてよぉ、それをよぉ、日本でノホホンと暮らしてる奴らに、何が分かるってんだ」
淵野辺「僕たちはいいんです。でも、僕たちが出てきたから、こうなっちゃったんじゃないかって」
耕造「それは違うよ、俺は知ってるよ、俺、なんなら日本に帰ってから本当のことをちゃんとインターで喋ってやるよ、ちゃんとよぉ」
来栖「野島さん、、、、でしたっけ?どうしてますか?」
耕造「あいつは大丈夫だ。今は少し落ち込んじゃってるが、あいつと俺は小学校からの同級生でよ、俺はあいつのことは分かっているから、後でちゃんと諭してやるから、あいつのことは心配ない。女房も若いし」

竹内マネージャーが来る
「あの、すみません、なんか、こんな時に」
淵野辺「どうしたの?」
竹内ー「あの、とりあえず、3日後なんですが、フライト予約は確保できました。あの、まず来栖さんだけ1枚早く確保もできそうですけど、、、」
来栖「いや、僕、皆さんと一緒に帰りたいです。もう急ぎの仕事が待ってるわけじゃないし」
耕造「飛ぶのか?」
竹内「分からないんですが、予約受付もしているようです」
耕造「ようですって、売ってんだろ?」
竹内「はい、すみません、こっちは金額気にせず早く帰るしかないんで、、、ですから、原田さん達も早く観光会社に言ったほうが、、」
安田と潤子が来る
安田呼吸をしながら
安田「原田さん、見通しでは、3日後から1便目が飛びそうです。それでも、ジャパン・クリエイト・ツアーとしては4日後のフライトなんですが」
耕造「そうか!そりゃ良かった!よぉ兄ちゃん、俺達のチケット最後でいい。他の日本人を先に帰してやってくれ。なんか、妙に、まだこの空港を離れたくなくなっちまってよぉ。」
安田「いや、あの、一陣目は正直申しまして、他の芸能、、(バンドの顔をチラッと気にして)政界とかの方達が優先されたようで、、」
潤子「ジャパン・クリエイト・ツアー様の日本行きは全員一緒の飛行機になると思います」
耕造「そりゃそうか、よし、靖司の野郎にも伝えてこなきゃ。じゃぁ、あんちゃん達が先に帰ることになるな。俺よ、東京に帰ったら、あんたらのCD買うからよ、忘れねぇで買うよ、全部、買うよ!」
耕造、走っていく

●ホテル

宮内「曲作りどころじゃなかったね」
淵野辺「でも、刺激はあったよ。なんか今回の仕事、仕事って言うか、足止め食うなんて事、今後も体験したくはないけど」
川田「どうだったんだろ、おまえらと来栖さん、日本に帰って批難あびなきゃいいけど」
淵野辺「来栖さん、元々、割り切ってた人に見えたけど、本当は割り切ってはいなかったのかも」
宮内「え?サポート・メンバーってことを?」
淵野辺「うん、でも良かったみたい。空港で演奏して」
川田「そう」
淵野辺「なんか、以前より明るくなったって言うと変だけど」
岩城「そういやネット動画の来栖さん、始終笑顔だよねぇ」
淵野辺「音楽ってね、音楽って、音を楽しむって書くでしょ」
宮内「何を今更言い出すの」
岩城「俺、分かるかも」
淵野辺「うん」
岩城「俺には宮内や淵野辺ほど曲作る才能は無いよ、でも一緒に演奏するだけでMOVEは楽しいよ、太鼓叩いてるだけで楽しいって気分、久しぶりに味わったっていうか」
淵野辺「あぁ、曲作るとギャラになるとか、仕事だからとか、そういうじゃなく、、、、なんていうか、ラジオ体操に参加したらね、音楽って、人生って楽しくやろうと思えばできるんだなって」
宮内、無理矢理押し付けてもしょうがなかったなという顔
岩城「あのオッサン達、いいよね」
淵野辺「そう、原田さん、それと野島さん、それに付き添ってる奥さん達も」
いつのまにか、竹内が立っている
「MOVEもね。だいたいね、もし売名行為なら、僕はもっと上手にやってるって」








●4月22日 飛行機内

耕造と靖司が並び、
少し離れて妻達が並んでいる
安田も乗っている
アテンダントとして潤子も乗り込んでいる

耕造「何辛気くさい顔してんだよ、結局帰りの飛行機代は空港が出してくれたんだからいいじゃねぇか」
靖司「ホテル代は自腹だったじゃない」
耕造「1割引きにしてくれたろ。意外に親切だったじゃないか、外人さん達。あれから少し余分にロンドン観光もできたんだし良かったじゃねぇかよ」
靖司「、、、、」
耕造「忘れろって、旅のカキは恥捨てだってば」
靖司「、、、、」
耕造「そういえばよぉ、あの楽団屋は凄いぞ、ヒースロー空港でもCD売ってたよ、国際的なんだな。ギブ・ミー・ムーヴって言ったら、ボインのねえちゃんが映画のDVD出してきて困ったけどよぉ」
CDを1枚出す
耕造「いやぁ、あれだよ、まずは1枚買って、後は日本でも買えるんだからさ、残りは日本で買うんだよ。嘘じゃねぇよ、、、だってよぉ、10枚もCD出してると思わないもの」
靖司「、、、、」
耕造「あ、あの時、靖司は居なかったか、、」



●同・飛行機内 妻達の席

君枝「良かったと思ってるわ」
裕子「旅行?」
君枝「うん。うちのは、下品でガサツで一緒に旅してくれてる野島さんには申し訳なかったけど」
裕子「そんなことないけど、私達だけじゃ、一生イギリスなんて来ないわ」
君枝「それは家も同じ。毎日、食事の準備して、スーパーに買い物に行って、炊事して、また次の日のメニュー考えて」
裕子「そうね、1週間だけでも家の事は忘れられた」
君枝「10日超えちゃったけどね。それと、お父さん、案外おじけついてなかった外国でも」
裕子「、、、、、、、、、」
君枝「ううん、靖司さんだって、こんな遠い国で、立派に声出してたわ」
裕子「恥ずかしい声ばっかり、、、」
君枝「思ったの、海外に来て、恥ずかしいって感覚、日本人って持ちすぎじゃないかしら」
裕子「?」
君枝「外国人って自分の主張をちゃんとするわ。でも、日本人って、分からないのに言葉通じてないのにYESって言っちゃうところある。でも、うちのお父さんと靖司さん、何でもYESじゃないわ、返事の言葉を探すわ」
裕子「うちのは、、、、」
君枝「見えなかったの、ううん、見てなかった。お父さん毎日仕事仕事って家庭のことなんて子供のことなんて考えてくれてないと思ってた。でも、ちゃんと私達を先導してくれてるわ」
裕子「耕造さんだけだわ」
君枝「ううん、ダンナがどうってことじゃないの、私達妻側がってこと。せっかくここまで暮らしてきて、子供も成人して、この先もあの人と暮らしていくんだと思うけど、あの人の悪い所ばかり見てた気がするの、良い所を見てあげようとしてなかったわ、私」
裕子「そうかもしれないけど」
君枝「見てあげたいの。探してあげたいの、お父さんの良い所」
裕子「探す?」
君枝「うん、探してなかった私。じゃないと、こっちも探してもらえないわ」
君枝、自分の考えに入る
しばらく間があって、
裕子(つぶやき)「探さないと、、、探してもらえない」

そこに耕造が来て、

耕造「奥さん、変わってよぉ。いつまでも、俺じゃ駄目だ、やっぱり奥さんじゃないと、あいつをなだめるんでもおだてるんでも」
裕子、少し笑って立ち上がる
耕造交代して君枝の隣に座る
裕子、去る。
君枝「あ~あ、またお父さんの隣かぁ」
耕造「バカヤロウ、俺が隣に座ってくれて嬉しいとか他に言い様があるだろ」
君枝「嫌だとは言ってないわ」
君枝、耕造の腕を両手でつかむ
「お父さんが隣に座ってくれて嬉しい」
耕造、少し照れて、
「バ、、バカヤ、、こんなところで、、」
腕を振りほどく様子も見せつつ、でもふりほどけず、
歩いていた潤子に向かって
「あの~乗務員さんじゃなくって、え~と、天井さんだっけ?まぁいいや、缶ビールちょうだい。500円だっけ?」
財布を出す感じで君枝の手をふりほどこうとするが、ほどけず、
かえって潤子に見られると思い、焦って
「今、出しますから、今、払います」
潤子「今回のフライトのみ無料になっております」
耕造「あれ?そうなの?イキだねぇ姉ちゃん江戸っ子かい?」
潤子「本社のはからいですので」
少し間を置いて、
潤子「浅草です」
耕造「そうなの!俺んち錦糸町よ!」
潤子「すぐにお持ちします」

●飛行機

靖司の席の斜め前に安田座っている
パソコンを広げて
安田「え?」ひとりごち、後ろを向きつつ
安田「これ、、、靖司さん、これ見、、、」
靖司「もう俺は一生涯パソコンなんて見ない、そんな文化クソくらえだ。他人を一方的に批判するだけして責任も持たないような文化、認めない。二度と見ない」
ちょうど、ビールを持った潤子が通りかかり、藤木を見て、口元に人差指をかざす。
安田「あ、はい」
しばらくして「あ、そうか」と納得する安田

裕子、靖司の隣に座り、
靖司が認識する
裕子「あなた」
靖司、黙ったまま
裕子「あなたってばぁ」
靖司「なんだよ」
裕子「少しカッコ良かった」
靖司「何だよ急に」
裕子「ラジオ体操のアイデアと先導」
靖司「なんだよ、バカにしてんのか?」
裕子「ほんと、少しだけどカッコ良かった。インターネットには映ってないけど」
靖司「なんだよ。あれでこんなに(落ち込んでいるのに)」
と思いつつも、ネット動画に自分が映らなかったことが良かったことかもと思う
裕子「少しだけよ」
靖司「そこだけ何度も言うなよ。そっちを何回も言うなよ。、、、、帰ってから辛い目が待ってなきゃいいけど」
裕子「いいじゃない、日本中が批難してきても、私はあなたの味方なんだから」
靖司「よせやい」
と言いながら、まんざらでもなくなっている





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Last updated  2011.01.13 16:21:51
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