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「君が、好き。」彼女の前で一度も口にしたことのない恥ずかしいセリフを、ベッドに仰向けになって倒れて、写真を見つめて、無表情で呟く。それからなんとなく恥ずかしくなって、顔を枕にうずめた。写真の中の君は、笑っている。「本当、口ベタだよね。」いつも君に言っていることを、今日は自分に言ってみる。実際のところ、僕も気持ちの半分を君の前で言えていない。でもきっと分かってくれてるよね。僕だって、何も言わなくても君の気持ちは感じてるから。「君が、好き。」鏡の前に立って、もう一度言ってみる。今度はさっきほど無表情を保っていることができなかった。ベッドに飛び込んで、しばらくして、また天井を見上げた。君が、好き。
2006.11.11
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コスモスは散らない。どんなに強い風が吹いたって、ゆらりと体をしならせて、私にいつも、勇気をくれた。少しへこんでても、迷ってても、私に、勇気をくれた。だから私も散らないコスモスになろう、って、昔から決めてた。誰に対しても、って思い始めたのは、そうだな、一人になってからかな。「じゃあな。」いつもと同じ、簡単な君の別れの挨拶。これから起こることはもっと早いんだよ?そう両頬を膨らます私にも気付かず、君は後ろを向き、ゆっくり、ゆっくり歩いていった。何を考えてるのか、私には分からなかった。君が一番分かってるんでしょ?そう、聞きたかった。これでもう、お終い、ってこと。でも、そうだよね。君にとって私は一人のクラスメート。お互い背丈は一緒だけれど、目線は全然、違うんだよね。少しだけ、口を尖らせてゆっくりと足をすすめてると、ちょっとだけ、目が潤んだ。ちょっとだけ、ちょっとだけだけど、泣いた。次の日、男友達に聞いた話。彼は気付いてたんだとか。私の気持ちも、なにもかも。それなのにあんな態度をとったのは、彼の気遣いだったのかな。でも、私は悲しかったんだ。最後まで、君は私に水を与えなかった。コスモスは、枯れちゃったんだよ。コスモスは、散っちゃったんだよ。帰り道、こぶしのなかの花びらをくしゃりと握ると、また、少しだけ、目が潤んだ。次の日、君の手紙から知った話。「P.S.あんまり、引きずんないでくれよ。」やっぱり、そうだったんだね。君は、一番分かってた。時の流れが今から早くなることも気付いてた。君は気付いてて、それで、私を自分から離した。で、私はちゃんとコスモスになれたのかな、私はちゃんと、時間をゆっくり見つめられたのかな、って考えてみたけれど、無理だった。コスモスになりたかったけれど、散っちゃった。あとすこし、だったけど、枯れちゃった。でも、今考えれば、むしろ枯れててよかったのかもしれない。コスモスの強さに気付いて、コスモスのつらさに気付いて、なくなることを知ることができた。もっと綺麗なコスモスになろうと思った。今、綺麗なコスモスになれてるか、っていっても、私はわかんない。今、ゆっくり時間を過ごしてるか、といっても、少し、微妙。それでも、とりあえず、水はある。コスモスは、咲いている。コスモスは、もう、散らない。
2006.11.17
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