2006.11.14
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足を忍ばせて近寄って、後ろから抱きついた。目的のないチャイムの音を背景に、目的もなく、抱きついた。



「あっぶねえ、落ちるじゃねえか。」
そうやって恥ずかしそうに顔を赤める君が、私は大好きだった。



そのまま卒業して、そのまま大人になって、いつのまにか、君は私の中から消えていった。ファンのたくさんいた君のことだから、きっと今頃結婚して、楽しい生活を送ってるんじゃないかな。


仕事で訪れた久々の故郷。何の気なしに散歩してると、明るく染まった落ち葉で敷き詰められた校庭と、少し古くなった校舎が見えた。



土曜日の学校は、だれもいなくて寂しくて、でも少し懐かしい香りがした。
少しだけ隙間のあった校門をくぐって、校舎の外から屋上へと続く錆びた螺旋階段をゆっくりと登った。駆け上がるように、ゆっくりと登った。


もちろん、そこに君の姿はなかった。少しでも期待してしまったのを、自嘲気味に鼻で笑って浅いため息をつくと、白い息が夕日を曇らせた。



会いにきたよ。君にじゃなくて。
会いにきたんだ、未練だらけのあの日々に。
会いにきたんだよ、あの時と同じ夕空に。


イヤフォンを両耳にあてて、少し笑った。





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最終更新日  2006.11.16 15:28:19
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