9/14~9/16
ふと、シンの休憩時間に、声が聞きたくなって、
電話をして、会いたくて、思わず口にしてしまった。
会いにいってもいい？と。
シンは驚いたのかな？
わからないけど、別にいいよ？といわれ、
いつものように適当に待ち合わせを決めて、
場所はいつものシンの家の少し手前の駅で、公園でまったりしようってことに。
時間になって、少し切りたくなかったものの、
後でね、と切って、検索ページを開いた。
やっぱり図書館の本だと、難しい単語ばっかりで全然わからないんですよね。
頭に入ったことといえば、治療に関するコトぐらいで、カウンセリング、ホルモン療法、手術治療
それがどういうものなのかは、なんとなくつかんではいるんですよね。
だけど、やっぱり単語がわからないのがあったので、今度はネットで調べてみようと検索
そして、見つけたのは、少し放置され気味の、トランスジェンターさんのＨＰでした。
そこは、単語一つひとつに解説があって、
噛み砕かれた意味で、やっと納得できたとこもあり、
資料室と書かれたページには、ガイドラインや、
性同一障害に関する法律等、色々書いてありました。
すごい充実した内容だったので、
ゆっくり集中して目を通していると、
ふと時計を見たら、時間は５：４０
６時には出ないといけないのに、と、
私は慌てて着替えて、電車に乗っていつもの駅へ。
着いたのは予定していた時間より１０分遅れの７：１０
いつも私より遅いシンが今日はもうついていて、
驚いたものの、お約束というかなんと言うか、忘れ物をしてきていて、可愛いって思いました。
それから公園につき、
少し落ち着きのないシンに笑いながら、
いつものように、私から触れるだけの軽いキスを。
と、シンは少し固まっていて、
付き合う前に初めてしたときのような、
ぽかん、とした表情が可愛くて、好きだなぁ、って思って、
クスクスと笑っていれば、罰としてくすぐられました。
シンは珍しく腕時計をつけていて、
時々ちらちらと時間を確認していました。
いつも終電逃して朝帰りになってるから、
母親がシンに対して怒っているところもあったので、
私も終電までには帰るつもりだったんですが、
やっぱりお約束というかなんというか、
のんびりとして心地いい雰囲気に、
シンは徐々に寝てしまい、寝ぼけて私に手を出したり。
それでも途中で起きたり、電話で起きたりして、すごい反省してるのが面白かったですね。
そして、時間はあっという間にすぎ、
終電４０分前ぐらいに、あと少しだねー、と話していたものの、
シンも私もうとうとしていて、
いつの間にか数分前になってしまい、
走れば間に合うかなぁ、とぼやくシンも、
まだ寝ぼけていて、結局私のほうは終電が終わってしまい、
謝られてしまったんですけど、
またやっちゃった、って思う気持ちと、
まだシンといられるっていう気持ちが入り混じって、
嬉しいような少し反省というか…
と、シンは私が眠いのを悟ると、
家汚いから少し掃除しないといけないけどくる？といわれ、
シンも一緒に寝れるし、そっちの方がいいかなぁ、と
ぼんやりした頭で答え、シンの家にいくことに。
お外は暗くて、よく見えなかったものの、
ココがシンの地元なんだ、って知ることができて嬉しくて、
探検したい気持ちが心の中を跳ね回っていて、シンに止められてしませんでしたけどね。今度できたらいいなぁ。
まぁ、そういうわけで、
シンのお家で寝ることになったわけですが、
布団広げたものの寝転がらないシンに、
一回目は失敗したものの、不意打ちで倒して、そのまま私も寝転がり、
なにやら、私の寝顔を見ると意気込むシンに、可愛いなぁと思いながら、少しウトウト
そのとき、シンに直接言うことはないだろうと、
そう思っていた言葉を口にしてしまい、
朝ごはんを二人で食べてるときすごい恥ずかしかったですね。
シンが好き。シンがシンだから。
どんなシンも大好き。
こんな感じのことを言った気が…
でも、まぁ、シンが嬉しそうにしていたし、
結果オーライ？なのかしら？
それから、私がウトウトしている間に、
シンも寝ぼけたカレになっていて、結局私の寝顔を見る前に就寝
私もそれにつられて、ぐっすりと熟睡しました。
何回か起きて、シンの腕の中にいて、
シンがココにいるってわかって、
また安心して寝るっていうのの繰り返しでしたけどね。
隣に大切な人がいて、一緒に寝ることができるって、
こんなに安心するんですね…初めて知りました。
そして、朝が来て、シンの携帯に起こされ、
ぼんやりしながらずっとくっついてて、
充電足りないとぼやくシンに微笑みながら、
一緒に駅まで来てくれて、近くのファーストフード店で朝ごはんを。
なんていうか、シンの家を出るときに、
こうやってシンが仕事行くの見送ったり、
一緒にお外出てお互い仕事行けたりとか、
シンにおかえりって笑いかけてあげられたら、幸せなんだろうなって考えたのは内緒
そんなことを思い出し、
苦笑を浮かべながら、シンの言葉に耳を傾けていました。
これから仕事だと思えないなぁ、とか
休みたいなぁ、とかぼやいていましたね。
お互い休みだったらよかったのにね、と笑い、
わかってる、これから仕事、と自分に言い聞かせるシンに、
ふわふわと幸せを感じていたんですよね。
一緒にいられることの幸せ？っていったらいいのかな？
まぁ、時間になってしまったので、
駅まで見送ってくれたシンのおでこにキスを落として、
恥ずかしかったのもあって小走りで駅の中へ
帰りの電車は、シンにかしてもらった本を読みながら、
心に残った幸せたちを胸いっぱいに抱きしめていました。
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普通の恋愛？
酔いによってめまぐるしく変わる思考の中に、
不快感をのせながら、得意の貼り付けた笑みを浮かべて、
酔っていることを悟られずに口紅の塗られた唇で言葉を紡いだ。
今日は誘っていただいてありがとうございました。
すごい楽しかったです。機会があれば、また。
そしてけだるさを滲ませながら、
お茶をしようという母親の誘いに渋々のり、
シンと、大切な友人とメールのやり取りをしながら、
なんとなくシンの声が聞きたくて、
ふっとかけて聞こえたカレの声は、
落ち着いたような、冷めたような声をしていて、
眠そうだねーってごまかしたものの、
なんとなく違和感を感じながら、いつものように笑い話を。
と、しばらく話していると、
シンは小さな声で呟いたんですよね。
俺相手じゃ普通の恋愛できない。
永久はこれから先大変だと思う。
私はまた言いましたけどね、だから何？って。
もし大変だったとしても、私が自分で選んだ道で、
シンの傍にいたいって望んで、
支えてあげたいって思ったから、
逆に、傍にいて欲しい、支えて欲しいって考えて、
だから、私はシンの傍にいたいんですよね。
…うん、普通の恋愛って何？
恋愛は人によって違うのに、普通って何？
シンが性同一障害だから普通の恋愛ができないって、
誰が決めたの？誰がそう決め付けたの？
そもそも、普通の恋愛の定義は何？
私はシンのことを「異性の男性」として、
「恋愛感情」で好きで、傍にいたいと望んで、
シンも私のことを「異性の女性」として、
「恋愛感情」で好きだといってくれて、
それはもう、恋愛として十分な理由だと思うから。
シンのことを、障害者として扱っているつもりもないし、
女の人として意識したこともまったくないですし、
私はカレを男の人としか扱ってなくて、
愛してるから、弱音を言って欲しくて、
私でいいのかな？って不安になったりして…
まぁ、シンは私が私なんかでいいのかな？って思ってる
そういったら、不安を吹き飛ばしてくれたんですよね。
だから、うん。私もシンに、いきなりじゃなくても、
私に対する不安とか不満を、言って欲しくて、
それを私も吹き飛ばしてあげられるようになりたいですね。
…まだ、私にはできないかもしれないけど、できるようになりたいなぁ、って思う。
いつか、シンを幼馴染に紹介したら、
母親に紹介したら、シンのご両親にも挨拶できたら、
一緒に住んだりできるようになったら…
ゆっくり進んでいく中で、
私の弱音、本音、不満、シンの弱音、本音、不満。
少しずついえるようになっていきたいですね。
そして不満や不安を消していけたら…
ゆっくり、ゆっくり、進んでいけたらいいなって、
そう、思いますね。自分達のペースでいけたら、って。
それが、シンと私だけの物語なんですから。
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お昼休憩での電話
ふっと、シン専用の着信音が流れ、
お昼時ならではのまどろみに翻弄されていた私は、
メールとは違う携帯の揺れに疑問を感じながら、
切れてしまった電話をかけなおし、
間違ってかけたのかもしれない、と切ると、
少ししてからまたシンからかけなおしてくれて…
少しぼんやりとした意識で、
だるそうなものの、暗さを感じない声に安堵を覚え、
眠さを悟られないようにあくびをかみ殺しながら、
シンの仕事場の話などに耳を傾けていました。
今日の仕事場は、私の家とシンの家の、
ちょうど中間辺りにある駅みたいで、
なんとなくくすぐったさを感じながら、
仕事のことや、これからのことを話していました。
もし一人暮らししたら、とか、
クリニック行くとき、とか、本当に色々
私の予定が合う限りでは、
慣れるまでクリニックは一緒にいってあげたいですね。
なにかできることが見つかるかもしれないし。
それに、洋服を買いに行くのにも付き合って欲しいって、
一人だと店員さんに話しかけられて気まずいから、と。
それだけのことなのにうれしくて、いいよ、って答えました。
そうやって少しずつ頼ってもらえるのは、本当にうれしいから。
治療を始めるときは、御両親にも一応話すそうです。
反対の意見が出ても聞かないといってましたけどね。
でも、もし理解されていないのなら、
少しずつ理解してもらえるように頑張ろうね、って。
そしたらシンは、理解してもらったら紹介したいしね、って言ってくれて、
嬉しい気持ちもあったんですけど、気恥ずかしくて、
ちょっと強引かな？って思ったものの、頑張ろうねって話題をそらして…
少しずつ進んでるのが、確かに感じられて、
比例して強くなっていく気持ちが、
心地よいけれど、カレの重荷にならないように、
ゆっくり、ゆっくり、出していけたらなって思います。
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