人生とサムマネー

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第1章 個々人のファイナンシャル・ニーズ


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<富裕層のファイナンシャル・ニーズ>
富裕層ということで特別なニーズがあると思い込む必要はない。しかし、証券マンに代表されるタイプの人は勘違いをするケースが多い。

1.エピソード「証券マンの勘違い」
大証券会社のブローカーが、シリコンバレーにあるハイテク上場企業の経営者(CEO)と面談することになった。そのCEOはマイクロチップの初期の時代にゼロから会社を立ち上げ成功した人物である。彼はその間幾度となく苦しい不況に耐え、それを乗り越えてきた。ブローカーはこんな格の高い客を相手に働ける可能性に興奮した。
面談は形式的なパターンで始まった。簡単な会社の概略・沿革、CEOの現在の関心事である投資コンサルタントや、1,2の投資顧問会社のサービスについての話である。ブローカーとCEOはうまく呼吸が合うように見え、ブローカーは快活で自信に満ちていた。
しかし、トラブルはブローカーの話す番になって起こった。彼は自分の好きな投資顧問のことを自慢げに話し始めた。投資顧問のファンド・マネージャー(FM)が、アグレッシブに小型株や新興成長銘柄に投資するかを説明した。これらのFMは大きなリスクを取り、それを上回るずっと大きなリターンを得てきた。だだ、CEOは喜ぶどころか、表情は苦みばしった。
ブローカーは、CEOの募る懸念を他所にさらに快活になり、CEOが築き上げてきた成長と同じタイプを投資にも求めるよう提案し、自分の勧める投資顧問に関心が向くようにした。
すると、CEOは彼の話を遮った。
「それは私が求めているものと全く違うものだ。」と彼は吐いて捨てるように云った。「私の家族はこれまでずっと、十分すぎると云ってよいくらいリスクに耐えて来た。」ブローカーは無言になった。

  <ブローカーの何が悪かったのか?>
ハイテク企業のCEOは極めてオープンであり、正直であった。彼は信頼できるコンサルタントと資産運用プロフェッショナルを探したいと切実願っていた。そして彼の子供・孫のために貯めてきた資金の運用を任せたいのだ。彼にはその資金管理をするための時間がなかったし、また、元本の成長と恒常的なインカムを共に生み出すような投資プロセスを考案するようなエクスパティーズもなかった。
彼はまた、今の自分の事業は大変リスクが高いことを知っている。彼の資産は、変動激しい会社の株が殆どであるばかりか、ベンチャーキャピタルやプライベイトエクイティの取引にも関与している。多くの成功した創業者と同じように、彼は自分の理解できる領域分野にのみ投資してきた。
ブローカーの失敗は、なぜCEOが投資するのかを知らずに面談したことである。ブローカーは、CEOが自分自身の金を自分のために投資し、投資哲学はビジネスリスクに関するリスク許容度を反映しているだろうと考えた。大抵の場合それは間違った想定である。殆どのケースでは、富裕層は家族のために投資している。




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