人生とサムマネー

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非対称情報


多くの市場では、売り手の方が買い手よりも商品の質に関してより多くの情報を持っている。より極端に言うならば、売り手は個々の販売商品の質を知っているが、買い手はそれを知らないのである。このように売り手と買い手の間で情報量に差があるということを、情報が非対称であるという。

経済が発展すればするほど非対称情報は増加する。
IT革命でもなくならない。分業、各人が専門分野に特化する、その分野についてはより詳しく知ることができるが、それ以外の分野については情報を得る機会が少なくなる。   

アカロフの論文「レモン市場:質の不確実性と市場メカニズム」
レモン=欠陥車、一般に新車では品質保証があるが、中古車市場では事故車など欠陥車が含まれている。

中古車を売る人は、その車の性能について熟知している。中古車ディーラーも、専門家として中古車それぞれについて詳細な情報を持っている。しかし、中古車市場に出されたときには、どの車も外装は整備されているため、一目見ただけでは欠陥車かどうか識別できない。
品質のよい車から悪い車まで、さまざまな車が売られていること、あるいは売られている車のうち欠陥車の割合がどのくらいかというような情報(平均的な質の情報)も、買い手は持っているかもしれない。しかし、自分が買いたいと思う車が欠陥車か、お買い得かを識別することができない。

売り手は車の質を知っているが、買い手は十分な情報を持っていない=中古車市場における情報の非対称性


価格が下がるとレモンが増える
新車に乗り換えるために車を手放そうとする人は、中古車の販売価格が安くなると、新車が代金で買えなくなるので、価格が高くなるまで売却を遅らそうとする。価格が高くなると逆に、早めに売却し新車に乗り換えようとする。
欠陥車の場合、中古車価格がどうあろうとも、できるだけ早く売却しようとする。
->中古車市場で売りに出されている全車数にしめる欠陥車の割合は、中古車価格に依存する。価格上昇―>性能の良い車の割合が大きくなる、価格下落―>レモンの割合が増える。

非対称情報下では市場が存在しなくなる
供給される商品の平均的質が価格に依存しており、また需要量が商品の価格だけでなく、平均的質にも依存する。価格は、その商品の需要量に対して二つのルートを通じて影響を及ぼす。即ち、他の財・サービスと比べた相対価格の変化を通じた直接的効果と、平均的質への影響を通じた間接的効果であり、それらは逆方向に働く。即ち、価格が上昇するとき、直接的効果は当然需要を減少させるが、平均的質が上昇するため、間接的効果は需要を増加させるのである。
―> 価格と需要量との関係は単純な右下がりの曲線にならない
価格が比較的高いときは、たとえ平均的な品質が良くなるとしても、直接的効果の方が大きいため、通常の需要曲線のように右下がり。価格がゼロに近いくらい低いときは、あまりにも品質が悪くなるため、低い価格にもかかわらず、あまりその商品を購入しようとする人はいないだろう。低い価格水準では、価格上昇は品質の向上を通じた間接的効果によって、需要量を増加させる。->需要曲線が右上がり
= 一般的には、需要曲線が、低い価格のときには右上がりであるが、価格が高くなると逆転し、右下がりになると考えられる。


需要曲線が単純に右下がりにならない場合、新古典派経済学の市場メカニズム、即ち、需要と供給が等しくなるように価格が調整され、効率的な市場均衡が実現されるというメカニズムが働かない可能性がある。

需要曲線と供給曲線が二度以上交わる可能性、現実にどの均衡が実現されるかわからないし、また実現された均衡が効率的であるとは限らない。

両曲線が交わらない可能性。どの価格水準でも供給量が需要量を上回っており、市場取引が成立しない。即ち、非対称情報の下では、価格が低下したとしても、品質の悪化を懸念するため、誰もその商品を需要しなくなる。この結果、市場が存在しなくなる。

「非対称市場の経済学 スティグリッツと新しい経済学」  藪下史郎(光文社新書)


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