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《 幸せのひろいかた 》 フェルトアート・カントリー木工 by WOODYPAPA
アリとキリギリス
地面から陽炎が立ち上がり、景色をゆがめている。
一匹のアリが太陽を恨めしげに見上げ、額の汗をぬぐった。
ふと見ると、向こうに木立が見える。
朝から歩き詰めだ、あの木陰で少し休んでいくか。
木立に向かって歩を進めると、そこに異様な風景が映った。
大勢の虫たちが、一点に向かって集まっている。
その群集の中心から、美しいバイオリンの響きが、風に乗って一帯を包んでいる。
アリは思わず立ち止まり、しばらく澄み通った旋律に耳を奪われていた。
そして、その音の主が、焦点に立っているみどり色の姿だと見極めた。
あれはキリギリス。
草原のスター、キリギリスが得意のバイオリンを奏で、それをさまざまな虫たちがうっとり聞き惚れていた。
照りつける太陽を逃れ、その木陰だけは別世界のオアシスが生まれていた。
アリはしばらく心を奪われていたが、はっと気づくと首を振ってきびすを返した。
いけないいけない。
こんなところで休んでる暇はないぞ。
夏の間に働いておかないと、厳しい冬を越せなくなる。
後ろ髪を引かれながら、また太陽の照りつける中を歩き出した。
後ろから、演奏が終わったキリギリスに、万来の拍手が贈られるのが聞こえた。
次の日も、また次の日も暑い日が続いた。
そして、あの木立の下では、毎日キリギリスの演奏が行われていた。
大勢の聴衆が喝采を挙げていた。
アリは少し立ち止まり、遠くから眺めていたが、それ以上は近づかないようにしていた。
誘惑はアリにも忍び寄ったが、アリの心は曲がらなかった。
アリはアリ、キリギリスはキリギリス。
自分らしく生きることが後悔しないこと。
少しだけ遠くから眺めては、また歩き出した。
日照りが4日続いた後、次の日は雨だった。
アリはいつものように仕事に出かけ、例の木立のそばを通りかかった。
すると、いつもの群集はいない。
バイオリンの音もしない。
ああ今日は雨だから休みなわけか。
誰もいない木立に下にちょっと行ってみたくなった。
行ってみると、やはり誰もいない。
するとアリにいたずら心が沸き、いつもキリギリスが立っている石の上に上がってみたくなった。
石のステージに立ち、今は誰もいない風景に、観衆の幻を重ね、アリはちょっと嬉しくなった。
見よう見まねでバイオリンを弾いている振りをして、陶然としていると、
「やあ、こんにちわ」
いきなり声をかけられ、驚いたアリは石から転がり落ちてしまった。
「ごめんなさい。驚かしてしまいましたね」
見ると、緑の姿、キリギリスだった。
「いやいや、私こそ勝手に大事なステージに上がってしまって…」
「いいんですよ別に。でもアリさんが来てくれたなんて嬉しいなあ」
「えっ、私のことご存知なんですか」
「もちろん。村一番の働き者のアリさんを知らない者はいませんよ」
「働き者だなんて、お恥ずかしい」
「いつも遠くから見てくださいましたよね」
「それもご存知でしたか」
「ええ、お忙しいのに、ありがとうございます」
アリはキリギリスが、自分のことを知っていたことに驚いた。
さらに、次の言葉に驚かされた。
「アリさんは、きっと僕のことなど軽蔑してるんでしょうね」
「えっ、そんなそんな…」
「わかりますよ。本当だったら冬に備えて働かなくてはいけない時期なのに、毎日遊びほうけている。
一人で遊んでいるならまだしも、観衆を巻き込んでみんなでサボっている。
そう見られても仕方がないと思います。
でも、生きていくのに仕事だけでは、つまらないと思うんですよね。
ほら、音楽は“音”を“楽しむ”って書くでしょ。
まさに楽しんでほしいんですよ。
音も、生活も。みんなの生きていく楽しみになれれば、僕は嬉しいんです。
僕のバイオリンがみんなの生きていく背中を押せればそれでいいんです」
「キリギリスさん。あなたは素晴らしい方だ。私に出来ることがあれば応援しますよ」
「ありがとう。アリさんにとっても、僕の演奏が毎日のはげみななったら、それ以上の喜びはありません」
「ええ。もちろん、毎日楽しみにしていますとも」
そう応えながらも、アリの心は奥底で屈折してた。
「キリギリスさん。私の家はこの先なんですよ。もしよろしかったらいつでもいらしてください。家族で歓迎しますよ」
「ありがとう、いつかお邪魔できるといいですね」
「どうぞどうぞ、いつでもお待ちしています」
その夏は、いつまでも暑く、秋の足音はなかなか聞こえなかった。
その分、キリギリスの演奏で村の虫たちは長く楽しむことが出来た。
アリは相変わらず働き続け、おかげで冬の備えは充分になった。
秋の訪れはゆっくりだったが、ひとたび木枯らしが吹くと、一気に冬将軍がやってきた。
さすがにそうなると、バイオリンコンサートには誰も来なくなった。
キリギリスはひとりぽつんと石の上に立ち、楽しかった夏を思い浮かべ、雲の流れを見続けていた。
その目はうっすら涙が浮かんでいた。
「キリギリスさん!」
見ると、石のそばにアリがいた。
「どうしました?元気がないですよ」
「やあ、アリさん。ついに来る日が来てしまいました。もう僕はおしまいです」
「何を弱気なことを言ってるんです。さあ、いらっしゃい。いつでも私の家に来てくださいといったでしょ」
キリギリスは遠くを見るような目をアリにむけ、
「ほんとにいいんですか。ひと夏遊びほうけてた僕を、迎え入れてくれるのですか」
「もちろんですとも。あなたはただ遊んでたわけではない。
みんなの安らぎのために、自分を犠牲にして尽くしていたんです。
私はよーく判っています。さあ、うちのものもみんな楽しみにしています。
一緒に行きましょう」
キリギリスは、自分の命がもうわずかであることを感じながらも、アリの言葉が嬉しくて手を差し出した。
「ありがとう。でも、もうバイオリンは弾けないかもしれない」
「いいんですよ。あなたが来てくれれば」
枯葉の中を二人は風にあおられながら、ようやくアリの家にたどり着いた。
窓から暖かい明かりが漏れていた。
「さあ、ここです。ちょっとあなたには狭いかもしれないけど」
アリが、ドアを開けようとした時、中から子どもの声がした。
「ママ~おなかすいたよ~」
「もうちょっと待ちなさい。今パパがご馳走もってくるから」
「へえ~、ごちそうってなに~」
「おいしい、おいしい、キリギリスよ」
「え~キリギリス―。すっげ~」
「今年はパパがんばってたくさんえさを蓄えたから、今日はお祝いだよ」
「わーいわーい。キリギリスはやくこ~い」
アリの顔から汗が噴出した。
そーとキリギリスを振り返った。
キリギリスの表情は凍りついた。
アリは何か言おうとしたが、言えない。
キリギリスは凍った表情でアリとつないでいる自分の手を見ていた。
手は硬く握られていた。
最後の力で、アリをそのまま投げ飛ばすことも出来た。
しかし、その力は、ふっと抜けた。
そして、表情も優しく融けた。
「さあ、中に入れてください。みなさんお待ちのようですよ」
アリは驚いた表情から、申し訳なさそうな顔になった。
「騙してすいません。でも私はアリなんです」
「いいんですよ。言ったでしょ。僕はみんなの役に立つことがほんとに嬉しいんです」
キリギリスの脳裏に、この夏の楽しかった日々がめぐりまわった。
ドアの中に二人の姿は消え、中から子どもたちの歓声が上がった。
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