Rewrite of the World ♪

Rewrite of the World ♪

Kanon~after season~



ー気温もすっかり温かくなった春。ある学校の教室で勉強している男子生徒が一人。

その机の周りには、それを励ましている友人たちが見守っていました・・ー


「なあ、美坂。今日はどっか遊びに行かないか?」        
「はぁ?ダメよ。今日は栞と買い物に行くんですもの」       

「くーネコー」       

カキカキ・・ゴシ

「じゃあ、俺も付き合うよ♪」        
「ダメよ。せっかく二人きりで出かけるんだから。絶対パス」    

「・・けろぴーすきだぉ・・」     

カキ・・カキカキ・・ゴシ

「いいじゃ・・」   
「いやよ!って・・」   

「・・うにゃ・」   

カキ!    

「だぁ!お前ら~静かにしろ!勉強の邪魔をするんじゃない!」
「何だ?相沢が勉強するなんて槍でも降るのか?」        
「・・ただでさえ転入で勉強遅れてるんだ・・・これじゃ2人と同じ大学に入れないのに・・ブツブツ」    

「別に相沢君の邪魔してるわけじゃないわよ。名雪を待ってるんだけど、名雪が相沢君の
そばに行くから」         
「俺もそうだ。大体お前が勉強は似合わない・・」    
「ほっとけ!・・ほら名雪!お前のせいだろ!いい加減に起きろ!」 

「・・うにゃ?・・帰るにゅ・・祐一?」     
「はぁ・・相沢君。帰りましょう。このままだとこの子眠りながら待ち続けるわよ?」

「・・わかったよ・・勉強は帰ってからやろう・・。ほら名雪!帰るぞ?」      
「・・うにゅ?・・うん♪」    

「じゃあ私たちもいっしょに。」      
「おう。」

ーあの夜の出来事から3ヶ月。新学期になって1ヶ月が過ぎていた・・。 舞と佐祐理さんは無事卒業し、俺は受験生・・。勉強してるのにこいつらは・・。二人は勉強できるからな・・いっしょの大学行くのも大変だ。ー


「あら?校舎の謎の破壊跡もしっかり修復されたわね~」     
「・・ああそうだな」    

ーあの夜の出来事は誰も俺と舞だけの秘密。ごまかすのに苦労したけど、何とか佐祐理さんの力も借りておとがめなし♪・・うん?門で待っているのはー


「あ、みんなわりぃ。ちょっと用事ができた。いっしょに帰れない!」      
「ちょ・・ちょっと相沢君!」     
「どうした?」    
「あ・・わかったよ祐一。じゃあ先に帰ってる。行きましょう?香里~」
「ごめん名雪!じゃあそういうことで!」 

ーたったっ。わかってくれた名雪に感謝しつつ、待ち人の下へ。・・この校舎を破壊した、無愛想な女の子のもとへー

「お、舞。学校まで迎えに来るなんてめずら・・」   

ポカッ!    

「いてっ。いきなり何するんだ舞?」       
「・・変なこと考えてた・・」       
「するどいな舞・・それはともかく、校門まで来るなんて珍しいな?」

ー卒業してからは待ち合わせする事はめったにない。俺が舞たちのアパートに行く事が多いからだ。ー

「・・・・祐一に用がある・・」     
「急用か?」     
「・・はちみつくまさん」    

「そういえば、佐祐理さんはいっしょじゃないのか?」     

ぐいっ!    

「・・いいから来て祐一・・」        
「お・・おい!舞」   

ーいつものことながら、舞は余計な説明をいっさいせず俺の手を強引に引っ張って歩いていくー    


「・・たくどこまで行く気だ舞?」       
「・・もうすぐ・・あ・・」    

ー急に立ち止まった舞の目線の先には花屋がー

「うん?花屋がどうしたって・・あ、花屋の前にいるのは佐祐理さんじゃないか。おお~い佐」    

ポカポカ!    

「痛!何するんだ舞・・」       
「・・・静かにする祐一」   

ー声をかけようとした俺を遮りつつ、佐祐理さんから隠れる俺と舞ー

「ったくどうしたんだ?」      
「・・・」    

ー見ると、佐祐理さんは迷いながらも結局、一番大きな真っ白い百合の花を買って、花屋から出て行き、俺等には気づかず、道の向こう側に歩いて行くー     

「・・追う・・」     
「後をつけるのか?」      
「・・うん・・」     
ー結局佐祐理さんの後を隠れてついていく俺たち・・なにやってんだろうー

「やれやれ・・そういえば佐祐理さんが買ったあの花・・プレゼント用だよな?」      

「・・・」     
「舞の?」     
「・・ぼんぽこたぬきさん・・」    
「だよな~・・は!もしかして彼氏にあげるとか!」     

ポカポカ!     

「痛!・・冗談だって・・もしかしてやきもち?」     
ポカポカビシッ!      

「ぐはあ!」
「・・黙って追う」        
「だけど・・佐祐理さんにもプライバシーあるんだし・・こういうのはいいのかな~」    
ーぴたー

舞は足を止めて俺を見た・・表情はあまり変わらないが悲しそうな顔でー    

「・・朝から何か佐祐理は変だった・・家出るときも、何か悲しそうだった・・私にはわかる・・さっきだって・・」     

ーそうだよな・・佐祐理さんの様子を一番わかってるのが舞だものなー

「・・よし!早く追いかけないと、見失うぞ!」      
「・・・うん・・ありがとう祐一」   


ーふたたび佐祐理さんを追う俺たち。・・まあとは言っても佐祐理さんは急いでるわけでもないし、つけられてるとも思ってないので、後をつけるのは簡単だった。・・そのうちいつもの風景も変わり、郊外のほうへ向かっていくようだった。ー

「結構遠くまで行くんだな・・舞、こっちのほうって来た事あるか?」
「・・ない・佐祐理がこっちのほう行くのも初めて見た」
「・・そうか」    
ー風景はどんどん変わり、何だか山の方へ、そして林の中に入っていくようだったー
「こんな寂しいところに何の用なんだろ佐祐理さん?・・・俺も心配になってきた・・」        
「・・・」    

ー暗い林の中をしばらく歩くと・・前方が急に明るくなった。どうやら目的地はこの先らしい。ー

「・・この先はこのままだと見つかってしまうな・・ゆっくり行こうぜ舞?」    
「・・こくん」   

ー佐祐理さんに気づかれないように光の方向に進み、林の中を抜けた・・そこには開けた場所で眺めのいい景色が広がる丘だったー

「へえ~この先ってこんなところに出たんだ~。って佐祐理さんは?」
「・・・・」    

ー舞が、無言で見つめているその先には・・佐祐理さんが花を持って立っていた。そして・・その前には・・大きな・・とても大きなお墓があったんだ・・ー



「うん?・・あれはお墓だな。という事は佐祐理さんお墓参りに来たのか。」   
「・・・」   
「別に内緒にする事は無いのに・・・」

その墓石に刻まれている名前を見るとそこには ー倉田 一弥ーと書いてあった。 

「一弥か・・そういえば・・」   

祐一は以前佐祐理からその名前の事を聞いたことがあるのを思い出していました・・・一弥という弟の事を・・・

「・・そっか佐祐理さん・・舞、誰のお墓かわかるか?」   
「・・?・・ぽんぽこたぬきさん・・」  
「そっか・・教えてなかったのか・・」  
「・・・」

佐祐理さんはこちらには背を向けているので、こちらには全く気がついていないようだ。その代わり表情も読み取れんが・・

「よし・・ここに居ても仕方が無い。佐祐理さんに声をかけるぞ、舞・・」   
「待って祐一!」  
「どうしたんだ舞?」
「・・帰ろう祐一・・」   

そう言うと元来た道を戻っていってしまいました。   
「お・・おい舞!」  

祐一も慌てて追いかけて途中で舞を呼び止めます。

「どうしてだ?佐祐理さんと話しなくていいのか?」   
「・・佐祐理の後をつけてきた事を知ったら怒ると思う・・」   
「・・そんな事を怒ったりしないさ。佐祐理さんは。」
「・・・・」   

「いったいどうしたんだ舞?・・さっきはあんなに佐祐理さんを追いかけていて。急に」  
ひゅう~ 
森に風が吹き込みました

「・・あんなに悲しそうな佐祐理の背中は初めて見た・・・」   
「え?」   
「・・あんな悲しそうな佐祐理はこれ以上見たくない・・だから帰る・・」   
「おい舞!いいのか本当に!」

舞はその問いに答える事なく、無言で立ち去って行きます。    


「・・いいのかよ・・・舞」

そんなつぶやきに答えるかのように、空からは白い妖精が舞い降りてきました・・。

「?・・まさかこんな時期に雪!?」   

そしてどこからともなく女の子の声が聞こえてきます・・
(祐一くん~困ってるみたいだね~)   

「?!その声はあゆ!どこだ?」   
(ボクの声覚えていてくれたんだね~嬉しいよ♪)

それは、いつの間にか祐一の前から姿を消していた月宮あゆの声でした。

「あゆ・・お前はいったい・・そして今は何をしている?」   
(えへへ~ボクの事よりも今は、舞さんの事だよ~力を貸してあげようか祐一くん♪)
「・・・・・・。タイヤキ食い逃げの方法ならいらないぞ」     
(うぐぅ・・ボクだって知らないよ)   

「・・まあ冗談だが」     
(うぐ・・て場合じゃなく、願い事はあと一つあるんだよ♪)

幼い頃二人が約束した3つの願い事。天使の人形にこめられた奇跡・・


「・・そうだったな。」      
(その願い事で、舞さんと佐祐理さんの心をつないであげようか?)
「・・・」    
(祐一くん?)      
「いや遠慮しとくよあゆ。」      
(え~どうして祐一くん?)   
「これは奇跡とか他人の力を借りてはいけない事なんだ。3人の問題だから。」     
(・・・そっか・・残念)
「・・それにあゆの力借りたら、成功する事も失敗しそうだしな」
(うぐぅ・・・ひどいよそれ・・)    
「冗談だ・・残りの願い事は、あゆ自身のために使ってくれ」
(そういうわけにはいかないけど・・・ありがとう祐一くん・・)

「うん?」  

祐一が何か気配を感じて振り返るとそこには舞の姿があった。    

(これは願い事ではなく、ささやかな奇跡なので心配しないで。それじゃあ祐一くんがんばってね~)
「ありがと、あゆ・・・・・じゃあな」    
(・・うん・・祐一くん・・さようなら・・)    

あゆの声とともに雪も止んだのでした・・・



「・・・何かこっちで妙な気配を感じた・・祐一・・誰と話してた?」
「あ・・まあそれはおいといてだ。舞・・俺の話を聞いてくれないか?」      
「・・・」
「サンキュー舞。なあ、あの魔物の事件を覚えているか?」     
「・・うん」   

「あの時は、佐祐理さんに余計な心配をかけたくないから、佐祐理さんには秘密にしてたけど、結局巻き込んで大怪我をさせてしまった」
「!・・」
「あの時・・佐祐理さんにすべてを話していたら良かった・・と後悔したよな俺たち。だからこれからは秘密を作らないようにしようと誓ったんじゃなかったか3人は?」   
「・・わかってる・・でも佐祐理が望まない事はしたくない・・」

「俺だってそうさ。・・でもな・・」  
「?」  
「俺たちは家族・・のようなもんだろ? 家族は秘密を持ってるのはまずいし、困った事があったら助け合うもんだろ? だからさ舞、佐祐理さんにすべてを聞きに行こう、そして悲しんでいたら助けてあげるんだ」  
「・・・」

森の中を、優しい風が吹き二人の間を通り過ぎていきました・・   

「・・・祐一」     
「うん?」      
「・・顔赤くなってる・・」  
「ほっとけ!」     
「・・でも・・ありがとう・・佐祐理のとこへ行ってくる」   
「違うだろ、舞?」     
「??」     
「いっしょに行こう・・だろ?俺も家族の一員だ」
「・・うん」    


こうして二人はもと来た道を戻って行きました・・一人の少女のもとへ・・その後3人がどうなったのかはわかりません。
でも、戻っていく時少年にはあの少女の微笑みと     

大丈夫だよ・・信じてあげて       
という声が聴こえてきたそうです・・


そんな春に訪れた・・・雪降る街の物語でした・・・


<END>

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: