Rewrite of the World ♪

Rewrite of the World ♪

CLANNAD ミスコンパニック!?





「・・てか本当に暇だ。何か面白いものは無いのかね~」

俺はそう言うとあくびをしながら言った。まあ、不良学生がたまに早く登校したからってやる事はほとんどない。

(・・まあ、春原が来ればからかって遊ぶのだが・・)

ドタドタっ・・「ーお~い岡崎~大変だー」  とお馴染みの声。

(ふ・・カモがネギしょって何とやらだな・・。退屈しのぎがやってきたぜ・・)  

ガラっ。 
「おい!岡崎!大ニュースだ!!」

「おお。俺も待っていたぞ。MY パンチングマシーン♪」  

「誰がパンチングマシーンだよ!?」  

「あ・・わりぃ。春原→退屈しのぎの玩具→パンチングマシーンという、心の中の本音をそのまま言ってしまった」  

「そんなの心の中だけで思えよ!っていうかおかしいだろその考え!僕達親友のはずだろ!?」

「春原・・・何度も言うようだが、その親友て冗談は止めてくれ。ジンマシンが出来るから」 

「ひでーよっ!・・ていうかその話は置いといて。すっげぇーニュースあるんだよ。これみろよ!」

「・・ミスコン開催・・?」 春原が持ってきた紙には{第1回ミスコン開催決定} の大きな字とともに、その詳細内容が書かれていた。

「いや~うちの学園見直したね!今までつまんね~学校とか思ってたけど、こんな面白いイベントやるなんてさ!」  

「ふ~ん」 

「ウチの学園の女の子って一応このへんの学校の中ではレベル高いだろ?そんな女の子がミスコンで自分のすべてをさらけ出して競う。ハァ・・ハァ・・何か僕興奮してきたよ!」

変態かお前は。  

「へぇ~」 

「・・てか何興味無さそうな顔してるんだよ岡崎? こんな時だけ硬派ぶっても仕方が無いだろ! ミスコンというこのつらい学園生活に訪れた一時のオイスターソースを!」  

「・・お前のオアシスはしょっぱそうだな・・てか最初と最後だけしかあってね~よ・・」   

いや、本当に興味が無いんだが。でもそんなこと言ったところでこいつが納得するとも思えないし。よし。ここは・・

「春原」 俺は春原の肩を掴みながら目を見ながら言った。 

「な・・・なんだよ岡崎」 

「ミスコン・・確かにそれを楽しみにするのも良いが、俺達は大事な事を忘れてるぞ?」  

「?」  

「確かにウチの女の子はレベルが高い。でも本当の優勝候補が出なくちゃ意味ないってことだ」  
「だ・・誰だよ!?その子って! 僕の知ってる子か!?」  

俺は春原の目を見て言った。「お前だ。」  

「・・は?何バカ言ってんですか!!男の僕がどうしてミスコンに出なくちゃならないんだよ!!」

「まあ待て春原。ミスコンというのは外見だけじゃない。人間の中身も決め手なんだ。そういった意味ではお前が出てもおかしくは無い。」

「いや・・だから男」 

「お前・・春原陽平は。俺が今まで会ってきた中で最高の人間だ」 

「え・・と」 

「確かにお前が出れば、優勝は決定したようなもんだ。ミスコンの開催意義が薄れるかもしれない。」 

「・・」 

「だが!!」 俺は握りこぶしをつくりながら力説した。 

「ここは、真実を明らかにするためにもお前が出場するべきなのではないか!? それがこの学園の生徒すべての希望なのだから!」

「・・ハ・・ハハ・・そうだよね!僕がでなくちゃ始まらないよね!」 
普通ならこんな与太話にかからないが、やっぱりかかったバカ一人。 

「いや~僕もおかしいと思ってたんだよ。このベビーフェイスの容姿と成績・運動抜群な僕が出なくて良いのかと。確かに僕が出場すると学園の女子に悪いと思ってたけど、やっぱり真実は大事だよね!」  

「ああ。だから俺からも頼む。是非出場してこの学園の真実を明らかにしてくれ!」  

「よ・・よし。じゃあさっそくミスコンの登録をしてくるよ。岡崎も応援してくれるよな?」 

「もちろんだとも!」 

「じゃあ行ってくる!」

タッタッ・・ ガラッ  ビシャン! 「うおぉぉぉぉ!優勝するぞぉぉぉ・・」 
叫び声とともに春原は行ってしまった

「ふう・・やっと解放されたか・・」  

退屈しのぎも終わり眠りにつこうとした時。  

「岡崎君。」  

「うぁ?」 隣からの声に顔をそこには藤林椋の姿があった。 

「何か用か?藤林」 

「あ・・えと・・あの・。春原君にプリント提出の件で用が・・。どこ行ったかわかりますか?」

「あいつならミスコンに登録するぞって走っていったが。」  

「え?あのミスコンですか?」 

目を丸くして藤林は聞き返した。

「たぶんそのミスコンだと思うが」

藤林は苦笑しながら。「あの・・ーミスーコンですから男の人は出場できないんじゃ・・」 

そんな事は知っている。 

「それもそうだったな。・・でもそういやよくこの学園そんなのやる事を許したよな・・。」  
この学園は一応お堅い進学校だ。そんなチャラチャラしたものをやるのを許可しようとは。

「・・まあ・・学園祭とういうお祭りだから許したんでは無いでしょうか?」  
藤林がちょっと考えて言った。 

「学園祭?」 

それを聞いた藤林は驚きながらもため息つきながら言った。

「岡崎君・・週末学園祭って忘れてます?」

「・・創立者祭とは違うのか?」 

黙って藤林は首を振る。

藤林の説明によれば、春の創立者祭みたいに大きくは無いが、文化系のクラブの発表だったりまあ、いろいろやるらしい。収穫祭も兼ねているんでは?という説明だった
不良学生に言ってもな・・最近登校するの昼前後だし、来ても寝てる事多いので行事関係に疎いんだよ。 

そんな俺を見て藤林は困った顔しながら 「・・岡崎君と過ごせる最後の学園祭なのに・・」  

「え?」  

「何でもありません!」 
ちょっと赤くなって言った。

「・・それに・・生徒会長さんが変わったので、そういった意味でもイベント開催しやすくなったんでは?今度の会長さん話がわかるって評判ですし・・」  

生徒会長・・智代か。でもあいつこそこんなチャラチャラした事嫌いな気はするが・・。

「そういや藤林。ミスコンの事詳しいな? もしかして出場するつもりか?」 

「え!? とんでもないです!・・とてもわたしなんか・・」 
手をぶんぶんと振って言った。 

「そうか?委員長クラスの中でも可愛いし、出場しても良いと思うけど」  

「へ!?」  

ボンッ!  

何か爆発したような音を立ててみるみるうちに顔が真っ赤になった。

「え?え?・・岡崎君が私の事を可愛いって・・でも・・参加なんて・・でも・・でも」 
しどろもどろになりながら、ちょっと涙目になりつつ慌てている。 

「お・・おい?」 
声をかけようとしたその時。  

「ウチの椋を苛めてるやつはどこのどいつぅぅ!!」 

 ギュイン!  ドシャァン!!!  

思わず頭を下げた頭上を通り過ぎる風を切る音と黒板につき刺さった和英辞典。

声の主はそばまで来ると  

「とぉ~もぉ~やぁ~またウチの妹泣かせてるでしょぉ~!! 0.1秒後に殺されたい?0.2秒後に殺されたい?どっちか好きな方を選びなさい!!」 

「まあ、落ち着け杏。別に俺は藤林を苛めたつもりはない。ただミスコンの事で話をしてただけだ。」  

「へ?ミスコン??」  

杏は2弾目となる英和辞典の発射を止めて聞き返した。

「そうだ。まあ、お前には関係ない事だが・・」  

「あ、あたし出場するわよ♪」  
「そうそう。お前には全く縁の無い事だ」  

「だから出場するって」 
「杏とは全く無関係な時間だが・・」 

「・・」  杏は無言で自分の口を俺の耳元に寄せて・・  

「出場するって言ってるでしょうがぁ!!!!!」 
大気が震えるが如く叫んだ。 

「うがぁぁ!鼓膜破れるだろう!?!?!?」  
杏の顔を振り払って言った。

「・・て・・へ?出場するのか?」

「なによ?参加しちゃ悪いってのあたしが。このスタイル抜群の身体と美貌の委員長と評判のあたしが出場してもおかしくないでしょ♪」

「いや。お前は見た目は良いけど中身はヤクザと大差ないだろ?」  

「朋也♪ 上の歯~下の歯~前歯~奥歯♪ 砕いて欲しいのはど・の・歯♪?」

「ごめんなさい」  

本気度を感じ取った俺は素直に謝った。 

「え!? お姉ちゃん参加するの?」 
今まで自分の世界に飛んでいた藤林が戻ってきて聞いた。

「そうよん♪あまり興味はなかったんだけど、今回優勝商品が豪華なのよね~」 

「・・でも・・」 

「何言ってるのよ椋。ちゃんとあんたもエントリーしといたから心配しないで♪」  

藤林は目をパチクリさせて 「へ?」 

「いや、だからあんたもミスコン出場に登録しといたって言ってるの♪」  

「どうして!?!?」 
妹は姉に猛抗議した。 

「あれって、出場資格は自薦か他薦でしょ? ちゃんとあたしが椋の事推薦したから問題ないじゃない。あたしたち美人姉妹が出場すれば少なくともどっちか優勝できるし♪」

「・・ど・ど・どうして勝手な事するのお姉ちゃん!!私ミスコンなんて無理だよぉぉぉ」 

「大丈夫よ諒なら♪ あたしと性格違うので様々な男子のハートもゲットできるし♪ 豪華商品のための必勝態勢よ♪」  

「お姉ちゃんてばぁぁ」  

この後朋也を無視して姉妹の言い争いは続くのだった。結局、杏に押し切られてしまう事になるのだが。  

「う~」 

(・・災難だな藤林)  

ちょっと同情してみた。 だが今回の事に関しては完全に他人事だ。全く興味がない。

(つーか、学園祭に参加することもねぇしな。わざわざ休みの日に学校なんか来たくないし。豪華商品が気にはなるが後で杏に聞けばいいか・・)  

そう考え再び眠りに入ろうとした時。  

ガラッ  ぴちょ ぴちょ ぴちょ ぴちょ  「お~か~ざ~き~」 

「うん?」  妙な音が混じってたので気になったので面倒だがそっちを見てみると  

「うおっ!! 春原なんでお前全身が水浸しなんだ?」  

さっき飛び出していった春原は、まるで制服のままプールに入ったかのように全身水浸しだった。

「ミスコンの出場登録しに生徒会室に行ったのに・・智代に『何を寝ぼけてるのだお前は。ちょっとそこで眠気を覚まして来い!』・・と智代のキックくらって生徒会室からプールに落とされた・・酷くないですかねぇ!!」

「あっそ」  いつもの事だったので興味は失せた。 

「あ、春原」  

「しくしく・・何だよ・・岡崎?」  

「濡れるから、乾くまで俺に近づくなよ。てか乾くまで教室から出て行ってくれないか?」  

「あんたは鬼ですか!!」  

「さっさと出て行けよ!!」  

「ひぃ!!逆切れだぁ!」  「ちくしょぉぉぉぉ!!・・・・うあ~ん・・・

「ふう。やれやれ」

とりあえず五月蠅いのが居なくなった俺はまどろみの中に入っていくのであった・・・。

ーそして学園祭当日ー


『それではただ今より、第1回ミスコンの開催を宣言する!』

うおおおおおお! そう生徒会長である智代が宣言すると、講堂に集まった生徒達(ほぼ男)は異様な興奮を見せた。

「・・お・・おい岡崎。すげぇ盛り上がりだな。やべっ。僕も興奮してきちゃったぜ~うひょう!」  

「あ・・ああ・・」 

隣で話しかけてきたバカの話は上の空で俺は天井を思わず仰いだ。

「・・ほんと・・何してるんだろうな・・俺は・・」





ー話は学園祭前日、つまり昨日まで遡るー



「やっべ~。ちょっと遅れちまった。待ちくたびれてないかあいつ・・」  

今日もいつもの日課で、古河と昼食をするべく中庭へ急ぐため階段を駆け下りる。 

(今頃、『あんぱん!』言ってそうだな) 
などと思いつつ生徒会室前を通った時。

「おい!岡崎!」 

「へ?」 

呼び止める声にそちらを向くとそこには生徒会のバッチをつけた・・智代の姿があった。 

「ああ、急いでるとこすまないがちょっといいか?」  

「ちょっとだけなら構わないが・・」  

待っているであろう古河に心の中でわびをいれつつ立ち止まった。

「実は、岡崎。お前にちょっとした頼みがあるのだが」  

「何だよ?」  

「明日のミスコンの特別審査員をやってくれないか?」  

「・・は?」  
一瞬智代が何を言ってるかわからず呆けてしまった。  

「だから明日のミスコンの審査員だ。聞いてないか?明日開催するのだが」

「いや・・それは知っているが。待て!何で俺がそんな事しなくちゃならないんだよ!!」  
不意打ちをくらった状態の俺だったがすぐに猛抗議した。 

「いや、ミスコンの出場者がそろったのだが、どうもお前の知り合いばっかりなんだ。だから共通の知り合いのお前が審査員するのがベストだと思ってな」

「そんなの関係ねぇよ!」 

智代はそんな俺をジト目で見た。 
「それに、そういう強制的な役割与えないと、岡崎。お前学園祭サボルだろ」  

「ぐっ!」 

サボルつもりだった俺は二の句は告げれなかった。 

「はぁ~・・やっぱりか岡崎。理由もないのに学園祭という大事な行事をサボるのは良くないぞ」

図星を指されながらも俺は反論した。 
「つーか、智代。何で学園祭でミスコン何て話になったんだ?お前のガラでもないだろう?」  

一応聞いてみたことだったので質問してみた。 

「うん。その事なんだけどな」 

苦笑しながらも智代は続けた。

「私も憧れている、私の前の何代か前の生徒会長が、『無遅刻・無欠席WEEK』というのを達成してな。私も似たような事をやりたくなったのだ」

「ほう」

興味無さそうに俺はうなずいた。 

「で学園祭全員出席という目標を立てたのだ。しかしどうすれば達成できるかわからない。その時生徒会の役員の一人が『ミスコンとかイベントやれば少なくとも男子生徒は出席するんじゃない?』という意見があってな。私も最初は難色を示したのだが、うやむやのうちに企画が通ってしまってな・・開催となったわけだ」 

・・その役員たぶん冗談で言ったんだろうな・・・

「まあ、盛り上がってるみたいだからいいんじゃないか。で・・どうだ?」  

「何がだよ?」  

「だから審査員の件だ」  

「やらねーよ! ・・ちっ・・あ仕方がねぇ。そういう事情なら学園祭の出席はしてやるよ。それならいいんだろう?審査員はやらないがな。」  

俺は埒が明かないので妥協してみた。

「それなら良いのだが・・。うむ・・困った。審査員は岡崎と決めてたから後任を探す暇がない。このままではミスコンの開催も危ぶまれるな」  

智代は難しい顔をしながらうなった。 

「まぁ、それならそれで仕方がねぇんじゃないか?」  
そう話は打ち切ってその場を離れようとした時、  

「い~え。ダメよ」 

俺の肩に後ろから手をかけ・・・て言うか肩を握りつぶす勢いで手をのせてる奴がいる。

「っておい!痛えよ!」
手を振り払って振り返ると・・

「うげっ!」  

そこには般若が居た。

「と~も~や~っ~。ミスコンが中止になったらあたしの豪華商品がパーになるでしょうが!!!」 

その凶悪なプレッシャーに押されそうになったが。 

「知るか!!しかもお前が優勝すると決まったわけじゃないだろが・・俺には関係ねぇよ!」 

そう立ち去ろうとすると 

「と・も・や♪」  

回り込んで俺の鼻に指をつけて笑顔で聞いてきた。 

「死・に・た・い?♪」 

「うっ!」 

(やべえ・・いつものような余計な言葉がついていないだけ怖すぎる)

「と・も・や? な・が・い・き・し・た・い?うん?♪」 

一文字ごとに俺の鼻をへし折る勢いで押してきた。  

「・・喜んでやらさせて頂きます」 

暴力に屈した瞬間だった。  

「おお、やってくれるか岡崎。助かる」 

嬉しそうに智代は感謝したが。  

「当然よね♪朋也♪」  

そういうと杏は去っていった。 

「それでは明日は頼むぞ岡崎。では用件はそれくらいだ」 

そう言って智代も立ち去ろうとする  

「あ、智代?」  

「うん?どうした?まだ用か?」

引き止めた俺に向かって振り返った。

「本当のところ、どうしてミスコン何てやろうと思ったんだ?」  

直感でこいつがこんな事をやろうと言うのは別の理由があると思ったのだ。  

「大切な友達のためだ」  

「は?」 

にっこり笑うと、そのまま智代は去っていったのであった。

ーそして今日に至るー


「・・てか本当に盛り上がってるな・・」  

こんな進学校でミスコン何て、誰も集まらないと思ったのだが。  

「だからこそこういうお祭りでははじけたいんじゃないの?  うひょう~」  

万年バカのお前はいつもだが。

「そういやお前もこんなとこにいるんだな?」 

ちなみに俺らが居る場所はステージの上の端っこ。ご丁寧に『特別審査員席』と書いてある。

「当たり前だろ?僕はこのミスコンの大会責任委員長なんだから」  

「は?」 

「何か、そういうのにはイベント特別責任委員長みたいなのが必要だからって、杏のやつが推薦してくれたんだ。いいとこあるよね杏って!」

・・杏のやつが・・? 

疑問に思いつつ運営は進行していく。 

「それでは、大会に先立ちまして、協力してくれるスペシャルインタビュアーをご紹介しましょう~」 

「うおお!スペシャルインベーダーなんてすげーよ!!」  

「そりゃそんな宇宙人が来たらすげーけどな・・」  

春原へのつっこみの言葉もかき消すよう、会場もさらに盛り上がっていく。

「それではスペシャルインタビュアーの春原芽衣さんです!」  

「どうも初めまして♪」  

ドンガラガッシャン!!  

芽衣ちゃんが登場したのと同時に隣のバカが机ごと前にこけた。 

「お久しぶりです♪岡崎さん♪」 

「お~久しぶりだな芽衣ちゃん。元気だったか?」  

「はい♪」  

「なんで妹の芽衣がここにいるんだよ!?」 

復活した春原が叫んだ。

「だからスペシャルインタビュアーって紹介があったじゃないか?」 

「そこじゃねえよ疑問点は!! どうして芽衣がこっちに来てるんだよって話だよ!!  お前学校はどうしたんだ!?」  

「連休中だからお休みに決まってるでしょう」 

「そうそう」  

勢い込んで聞く兄の問いに答える妹のフォローをしてやった。 

「だからといって!!・・て何であんた驚いていないんですか・・?」

少し冷静なった春原が聞いた。 

「いや、だって芽衣ちゃん昨日から古河ン家泊まってるの知ってるし」  

「はい!?何で兄貴の僕が知らないんだよ!?」  

「ヘタレだから」  

「関係ないでしょ!!ていうかヘタレじゃねえよ!」  

そんなやりとりを見ていた芽衣ちゃん  

「ハハ・・お兄ちゃんの事すっかり忘れてました」  

「まあ気にすんな」  
「あんたが言うセリフじゃないでしょ!!」

「あ~その事は後にしてもらえないだろうか芽衣さんとそこのヘタレ」 

司会から指示が入った。 

「はい。失礼しました・・・それではお願いしますね♪」 

「くっそ・・後で覚えとけよ・・・」ブツブツ言ってるヘタレはほっといていよいよエントリー者の登場である。

「エントリーNo1 の藤林 杏さんです~」

そして一人目の杏が壇上に登場した。当たり前の事だが制服姿だ。

(・・まあ、学園祭のイベントだからそんなもんだよな・・) 

隣のバカ(春原)は「何だよ!!水着じゃないのかよ!」とか口に出して、杏から見えないように蹴りをくらってたりする。

会場を見ると野郎たちの声援に混じって 「杏様~♪」 と黄色い声援も混じる。 

(ミスコンにしては女子生徒の姿も見かけると思ったらこいつらみんな杏のファンの奴らか?) 

ちなみにミスコンの審査内容は舞台に出て質問に答えたり特技とか見せるとかそれくらいなものだ。

「ではご質問します杏さん。このミスコンに参加しようと思った理由は?」  

「ええと~、あたしはその気は無かったんですけど・・友達にどうしてもと言われて~」 
一生懸命猫をかぶっていた。 

「よく言うね。立候補のくせに」 

「あん!!」 

隣のバカのつぶやきに壮絶なガンを飛ばす杏。 

「ひぃぃ!」 
悲鳴をあげるヘタレ。

「ではアピールポイントです。特技を見せてくれますか?」 

いくつかの質問の後に芽衣ちゃんが聞いた。 

「う~んと特技ね~。特にここで見せるようなものは・・」 

と少し黙考した後。  

「そうだ♪ ちょっと陽平? 協力してくれる?」 

「ふえ?」 

不意打ちで声をかけられた春原は妙な声を出した。

「いいから。このりんごを持って向こうの壁までダッシュ。そしてそのりんごを頭の上に乗せて待機。早く!!」  

「はっ!はい!!」 

杏に一喝された春原はわけもわからず、ダッシュで言うとおりにした。 

「昔のお話にウィリアム=テルの物語があるでしょ?」 

「僕・・いや~な予感がしてきたんだけど」

「あの話のようにりんごを割って見せるわ!」  

おおおお!  頑張って杏様~♪ 会場も盛り上がる。 

「ってちょっとまて!!矢なんか、もしミスしたら僕の頭に突き刺さるでしょうがぁ!!」 

それとは対象的に騒ぐ春原。 

「誰も弓矢と言ってないでしょ?」   

「へ?」 

「じゃあ早速行くわよ♪  ・・・それっっ!!」  

そういうが早いか、風を切る轟音が鳴り・・見事りんごが割れた。  

おおおお! さすが杏様~♪ 会場が歓声に変わる。 

「よっしゃ♪」  

・・・・とりあえずその光景を見て一応つっ込んでみた。 

「ああ・・杏よ・・ちよっといいか?」 

「何よ?朋也?」 

「確かに今の技はすげぇんだが・・的の大きさと弾の大きさを考えろよ・・」

俺の目に入る光景には、割れたりんごと六法全書と鼻から血を流している春原の姿が。
まあ、的より弾があれだけ大きければそりゃどんなコントロール良くてもああなるわな・・。 

「まあ良いじゃない♪結果りんごが割れたんだから問題無しでしょ?」 

悪びれずに言う杏。 

「・・まあそうだな」   「ぜんぜん!!良くないですよね!?」  

二人の言葉がハモルのだった。


「それでは杏さんありがとうございました~。  続いてはエントリーNO.2 藤林 椋さんです~」  

芽衣ちゃんも苦笑しながら何事もなかったように続けていく。

「・・えっと・・その・・お姉ちゃんに言われて・・その・・」 

藤林はステージ上という事で予想通りあがりまくっているのだが。  それでも会場の野郎どもには好評だ。 

(杏の言うとおり、こういう仕草が好きなやつもいるしな・・)  

そして最後に  

「では椋さんの特技を見せてください」  
芽衣ちゃんが言うと 

「ふぇ? 特技・・ですか・? え・・と・・わたし・・占いくらいしか・・」

「それじゃあその占いを見せてやれば良いじゃない♪  陽平!さっさと協力する!」  

「ひぃっ・・はいぃ!」  

姉のフォローを受けてさっそく占いを始めた。

結果は 「今夜あなたは素敵な人と一夜を過ごします」とか「一生あなたは皆から尊敬され幸せのうちに一生を終えるでしょう」とか言われて春原の奴は舞い上がってたが。

・・・うん?  ふと杏を見ると哀れみだかなんだかわからない目で春原を見ていた。  

・・・・?

「それでは椋さんありがとうございました~」 
そんなこんなで占いも終わり 芽衣ちゃんも締めに入って真相はわからなかったが。

「続いてはエントリーNo3 宮沢 有紀寧さんです~」 

次の女子は誰かと思ったら、資料室のあの後輩だった。  

「おお?有紀寧ちゃんじゃん?がんばって♪」 

さっきの占いですっかり機嫌を取り戻した春原がエールを送る。 

「あははーありがとうございます~」

会場からは ゆ・き・ね・ぇ~と野太い声が響く。 

(・・てあのバンカラな制服はウチの生徒じゃねえだろ・・) 

「あははー友達から推薦されて断れなかったものですから」 

俺の疑問は置いときつつ質問は進行していく。

「それでは有紀寧さんの特技を見せてください」 

そしてお馴染みの質問。  

「特技・・ですか? そうですね~人生相談とか、おまじないとか」   

「ミスコンで人生相談するやつ聞いたことねえよ・・」 

俺がつぶやくと。 

「じゃあ、おまじないですかね」  

まあそっちもどうかと思うが。

「はいはい~♪じゃあ僕が協力してあげるよ♪」  

と手を上げたバカが一人。  

「じゃあお願いできますか?」  

「喜んで♪有紀寧ちゃんのためだしね」   

宮沢は苦笑いをしながら本を開くと  

「何のおまじないがいいですか?」   

「じゃあ何でも願いが叶うおまじないをお願い!」

・・そんな都合良いおまじないなんてあるわけ・・  

「じゃあ、頭の上に手を乗っけて『ネガイハゼッタイムテキ』と3回繰り返してくれます?その後その願いを頭に浮かべながら手を離せば成功です」  

「ってあるのかよ!!」 

俺のつっこみをよそに春原はその言葉を3回つぶやいた。

「・・よし・・あとは願い事を思い浮かべるだけだ・・」 

「タライが上から降ってきてお前の頭にぶつかって会場の笑いを誘うってのがお前の願いだったよな?」 

真剣に考える春原にアドバイスしてやる。 

「そんなわけないでしょ!」 
と手を離しながら春原はつっこんだ。 

「あ」

ひゅるるるる  ばっこぉぉん!!  

見事その瞬間春原の頭にどこからか落ちてきたタライが命中。  

会場に笑いとそしてさらに盛り上がりもヒ-トアップ。  

「素晴らしい特技だったよ宮沢」 

会場の観客に変わって感想を述べた。 

「あははーありがとうございます」 

そういうと宮沢はにっこり微笑むのだった。  

「うん?ていうかいつまでお前ぶっ倒れてるんだよ邪魔だぞ?」  

隣でピクピクしてるやつにも一応声をかけた。 

「・あ・・あんたね・・」


「続いてはエントリーNo4は・・伊吹 風子さんです~」 

「いえい♪」  

そこに現れたのはいつぞや見た彫刻少女。 

「今日は皆さんにヒトデの素晴らしさを伝えるために!・・ついでにお姉ちゃんを祝ってもらうために来ました!」  

と芽衣ちゃんが聞いてもいないのにしゃべりだす始末。 

「そんなのミスコンでするなよ・・」

「そこの人エブリディ最悪です!  せっかく風子が・・」  

「そんなことより風子さんはどなたからとか推薦されたんですか?」 
と芽衣ちゃんがこれ以上脱線しないよう進行する。 

「風子は基本的には謙虚ですが、ヒトデのために仕方が無く自薦です!」

(・・さすが芽衣ちゃん・・バカ兄貴と違ってソツなくこなすな・・) 

風子の突飛な言動に苦笑しながらも芽衣ちゃんは見事に進めていく。  

「特技とかありますか?」   

「はい!風子は基本的に才色兼備なんですが、特に得意なのは彫刻です!しかもこのヒトデを彫るの神の所業と評判です!」

 ビシっ!と 懐から星型の物体を取り出すと  

「この滑らかなフォルム そして官能的な肌触り! はぁは~ん・・・・・・・・・・・・」 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  


一体どれくらい時が過ぎたのか、会場もちょっとざわつき始めた。

「あ~芽衣ちゃん。そいつたぶんあっちの世界に飛んで行ってしまったようなので、ステージの隅にでも運んで次の人に進んだ方が良いぞ?」  

「は・・はあ」 

芽衣ちゃんも困りながらも律儀に隅に運んであげたのだった。   

「えっと、気を取り直しましてエントリーNO5 は・・相楽 美佐枝さんです♪」 

そこには疲れた顔した美佐枝さんの姿があった。  

「・・てちょっとまて! 美佐枝さんが何故エントリーされてるんだ?学生じゃねえだろ!」  

「いや。別に出場者は学生でなければいけないとは言ってないぞ」

と智代のアナウンス。  

うおおおおおおお! それを聞いた会場の野郎ども(特に・・あの集団はラクビー部のやつらか?)がヒートアップ。

「うおおお!美佐枝さぁ~ん!おっぱい最高ぉぉぉぉ!」  

隣のバカもいつのまにか復活してはしゃぎだす始末。 

「はぁ~・・・何やってるんだろうね~あたしは」  

それとは対象的に冷める美佐枝さん。 

「美佐枝さん。今回のミスコンに出場理由は?」  

芽衣ちゃんが聞くと  

「いや、誰かが勝手に推薦してたらしくてね~あたしは遠慮したかったんだけど、生徒会長さんからの頼みを断りきれなくてね~」

「いや・・それは断っても良いと思うッス」 

俺は正直思った。

「そうなのよね~」  

と話は進んでいくと最後の特技の話になった。  

「う~ん・・そうね~。あたしってそんな人様に見せられる特技なんて無いのよね~」  

美佐枝さんは困った顔で話したので俺が  

「いつものやつで良いんじゃないか?美佐枝さん。 ちょうど春原もいる事だし」  

「へ?・・・ああ、あんなので良いのかね~」  

「構わないんじゃない?一応特技だし」

「何だよ美佐枝さんの特技って?」 

話についていけない春原が不思議に問い返すと

「いいから行けよ。美佐枝さんの特技っていったら・・ムフフわかるだろ?」 

と意味深に言ってやる。 

「そ・・それってもしかして・・でもこんなところで・・でも特技だしね!」 

とバカがデレっとした顔で美佐枝さんに近づく。 

「じゃあやるよ~」  

「お・・お願いします!」と意気込む春原。  

「最近ケーブルテレビにはまっていてね~ちょっとやってみたかったんだけどね~実は」

そう言うと美佐枝さんは春原の手をとって上にあげ、頭を自分の膝に挟んで・・ 

「へ?」  

そのまま床に春原の頭ごと床に落下して叩き付けた。  

「ぐぅおおおおおおおおお!!」  


「ペテグリー。アメリカプロレス団体WWEの スターレスラーのHHH(トリプルエイチ)の必殺技である。なおマットの上でないと非常に危険なので真似しないでね♪」   


「・・・な・・なに・・冷・・静に・・解・・・説して・・いるんです・かあ・・んたは」 

とりあえず生きていた春原。 

「あ~一応、アンダーティカーのラストライド(棺桶)って技も出来るけど」

「い・・いや・・勘弁・・・して・ く・ ださい・・」  

「あっそ」  

それとは裏腹に会場はプロレスファンを巻き込みながら盛り上がっているのであった。


「続きましてエントリーNO6は 一ノ瀬 ことみさんです~」

「・・てことみまで・・」  

そこには文学天才少女の姿まであった。

「ことみ。ひらがなみっつでこ・と・み。呼ぶときはことみちゃんなの」  

とてもミスコンの自己紹介とは思えないがとりあえずは進行していく。  

「特技・・・?」  

「そうです~何か皆さんに紹介したいものとかありますか?」 

困ってることみに芽衣ちゃんも助け船。

「それならあるの。朋也くんやみんなに是非聴かせてあげたいの」  

とバイオリンをおもむろに取り出した。 

「素敵ですね~ではお願いします」  

「それでは弾くの~」  


・・・・ぎゅおおおおおおおおおおおーん  がきがき ぎよぎよ ぐりがいーん。


・・・・・・その後10分もの間、会場に凍てつく冷気と何人かの気絶者を産み出して・・ 

「うっとりなの♪」 

演奏と言う拷問は終わった。 

「・・お・・終わったのか・・」 

俺は机に突っ伏してる状態から起き上がってただそれだけを告げた。 

「こ・・ことみさん・・大変素晴らしい演奏をありがとうございました」

「よかったなの」 

何とか笑顔を崩さずに告げた芽衣ちゃん。 

(プ・・プロだ・・) 

感動の涙を流したくなったのは俺だけじゃなく会場内すべての人の感想でした  

ちなみに兄貴のほうは 開始数十秒で気絶していたが。

「ではまた気を取り直して。  エントリーNO7 古河 渚さんです~」  

そこには消え入りそうな自信の無さそうな表情で立っている一人の女の子。 

「って古河!?」 

俺は思わず目を丸くして叫んでしまった。

「あ・・えへへ・・ん」 

それに気づいた古河はさらに恥ずかしがってうつむいた。  

(・・てかこういうのって古河がもっともやりたがらないイベントの気がするのだが)  

その証拠に さっきから『あんぱん』とか『カツサンド』とか言っている。

(つ~か、昨日会った時はそんな様子すら無かったのだけど)  

「渚です」  
「可愛いなんてそんな」 
「演劇部です」  
「好きな人なんてそんな・」
とそれでも何とか受け答えをこなしていく。  

(う~む・・・) 

「朋也さん?何か質問とかあります?」 

突然芽衣ちゃんに振られたので

「いや?無いけど」

「そうですか」 

と芽衣ちゃん。   

・・・・?   

そして特技の話に。  

「私・・そんなものは。でも一応演劇部の部長さんをやらせてもらっているので、一人芝居の物語があるのでやってみても良いでしょうか?」  

「もちろんです渚さん♪」  

一呼吸置いて 「それでは聞いてください。ある一人の少女と心を持ったロボットのお話です」


・・・・それから10分間 古河の一人芝居に会場は引き込まれていった・・・ 


(やる時は凄いんだな~古河って)  

練習の古河の芝居は見たことあるけど、こうやって作品として見ると感動的だ。 

(やべ・・ちょっと涙腺が) 

ガラにもなく物語に引きこまれてしまった。

(・・でもこれじゃあまるで部活発表会だな) 

と思いつつ、ステージ脇の智代と一瞬目が合った。  

(・・・ああ、そういうことか)  

俺は何故か納得したのだった。

そして古河の芝居が終わると会場は拍手と感動の嵐だった。 

それにいちいち 「ありがとうございます」 と礼をしているのは古河らしかったが。 

「ぐしゅ・・渚ちゃ~ん」 

隣のバカも盛大な涙を流していた。


「さていよいよ最後の出場者にになりました」 

そのアナウンスにさらに盛り上がる会場。 

「エントリーNO8 は 古河 早苗さんです」   

「皆さんよろしくお願いしますね♪」  

ずしゃあああ~ん!!  

さすがに俺は今回ばかりは前方に盛大にこけた。 

「さ・・早苗さん・・何をしてるんですか貴女は?」

「何ってミスコンです♪・・私が出場してはおかしいですか?」   

「いや・・まあルール上はOKだと思いますが」  

「ちなみに推薦者は PNゾリオンマスターだ」 

智代は書類を見ながら伝えた。  

・・・・誰ですかそれは!? ・・・ 

「やっぱり私って魅力ないですよね・・ぐすっ」  

俺の表情を見てたちまち涙目になる早苗さん」

(ぐぇやべ~!!)

「そんなこと無いですよ! 早苗さんは若くて綺麗ですし最高ですよ!」 

と以外にも春原が助け舟を出した。 

「本当ですか! ありがとうございます♪」

たちまち涙を引っ込める早苗さん。 

(いや・・確かに母親とも思えないくらい若くて綺麗だけども)  

進行していくインタビューを横目に 俺は唐突に立ち上がりステージ裏へ・・

「おい!? 朋也まだ早苗さんの番終わってないのにどこへ行くよ?」  

「ちょっとトイレだ」  

「我慢しろよ!」  

「できねえよ。この場はお前に任すから頼むぜ」 

「お・・おい!」 

春原の言葉を振り切り舞台裏に行く俺。

(・・まあ作者のオチも読めたからな) 

そんな事を考えながら聞こえてくるセリフにため息をついたのだった。  

「特技は、う~ん・・パン屋さんをやっているので自作パンですね! 今日持ってきたので味見してくれますか?」  

「喜んで!早苗さん!」  

グッバイ春原。 

その後の悲鳴と早苗さんの泣き顔の光景を想像しながら俺はトイレに向かうのだった。

ー閑話休題ー


とりあえずトイレから戻ってくると、ちょうど会場の奴等から投票の紙を集めている最中だった。

(ふう・・。これでめんどい仕事から解放されるな・・)  

とため息を一つ。 

「ア・・青汁・・牛乳・・健康パン・早苗さん・僕は・・貴女のアイディアに・・負けたッス・・ぐふ」

隣のヘタレはとりあえず放って置き、集計様子をボーッと見ていた。



ーそしてー

「投票の結果が出ました!」  

と芽衣ちゃんからの発表。 

会場は最高潮の盛り上がりで、ステージ上のエンントリー者もやや緊張気味。 

「しかし今回は大接戦!!特に1位の方と2位の方の差が10票差という僅差!」

会場は少しざわめき始めた。 

・・・・?

芽衣ちゃんは俺の事を見ながらニコッと笑った。  

「最終結果は、50票分の票を持っている岡崎さんに委ねられる事になりました!!」 

その芽衣ちゃんの宣言に会場は再びどよめいた・・って

「なにぃぃぃぃぃ!!」 

俺は立ち上がって叫んだ。  

「特別審査員の岡崎さんよろしくお願いします♪」  

「いやちょっと・・」  

「それではその決戦投票に残ったお二方を発表します!」  

俺の口を出す暇も無く進行していく芽衣ちゃん。

「藤林 杏さんと 古河 渚さんです♪」  

おおおおおおおおおお!  会場は今日最大のどよめきが起こった。 

芽衣ちゃんに促されて、少し緊張しながらも前に出る2人。  

「では岡崎さんこの2人の内どちらかを選んでください♪  あ、そうそう。2人とも選ぶというのは禁止ですから」 

と芽衣ちゃんは俺の逃げ道を塞いだ。

「・・・ぐっ」  

いつの間にか会場の客も俺に注目して静まり返ってる。 

(・・てかマジかよ・・本当に古河と杏から選べというのかよ・・)  

「選び方が難しいのなら、お前の好きな方って事でもよいぞ」  

「・・!?」  

智代のとんでもない発言に目を見開く3人。

とりあえず俺はどうしようかと2人の方を見やると 

「!?」 

俺はまた固まってしまった。 

杏のことだから、 『あたしを選びなさいよ!オーラ』を出しまくってるかと思いきや、むちゃくちゃしおらしくなって、顔が真っ赤になって目は少し潤んでいる。  

「お・・おい杏」 

と小声で話しかけても黙ったままだ。

一方 古河の方も思いっきり泣きそうな顔で恥ずかしいのが限界なのにも関わらず俺の顔を見つめている。  

(・・選ばなけ・・れば・・いけないのか?)  

いろんな思いが渦巻きながらも俺は・・・覚悟を決めて口を開いた。 


「・・俺が選ぶのは・・・・・・・・」


                       バンっ!!!!  


その時、講堂の扉が勢い良く開いた。

そして会場に入ってきてその人物は叫んだ。

「お前達、いったいこんなところで何の騒ぎだあぁっっ!!!」  

俺は、良く知るその生徒指導の教師に救われたのだった・・・。

「あははー楽しかったですね~」

そんな宮沢のセリフに俺は無言でため息をついた。 


今、俺達はミスコン・・というか学園祭が終わり帰宅の道についている。右隣には杏と藤林の姉妹。左には宮沢とことみ。そしてちょっと後ろに古河って感じだ。 

「俺は疲れたよ・・」  

そうつぶやくのが精一杯だった。  

ちなみに、早苗さんはすでに最終選考時に逃亡したままだし、美佐枝さんは学生寮。風子はいつのまにか消えていた。

智代は学園祭の後片付けといっていたが。 

ちなみに春原は・。   


「またお前か! いつものようにくだらない騒ぎ起こしおって!」 
「ひぃぃ!誤解っス!!」  


進路指導室でたっぷりしぼられているだろう。なにせイベント特別責任委員長なのだから。(芽衣ちゃんもその兄貴を待っているそうだ) 

この事予想してやがったな・・杏・・。  

そう思いつつ杏の方を見ると無言のまま黙ったまま。 渚の方もさっきから顔を上げずにうつむいていた。

「でも楽しかったの。良い想い出ができたの」  

ことみが言えば 

「そ・・そうですね・・何がなんだかわからなかったけれど・・良い経験でしたし」

と 藤林も苦笑いしながら言った。


ちなみに俺は別れる間際に智代と話をした事を思い出していた・・。   


「・・たく回りくどい事しやがって・・」   

「うん?何のことだ?」 

智代はとぼけた顔して答えた。 

「お前の計画どおりだったんだろ? 古河に学園祭で演劇させるため、ミスコンという舞台を利用した事だよ」

そう。古河は演劇部とはいえ部員不足で正式な部ではない。当然、学園祭に部活の発表をする事は許されていない。だから、古河の学園最後の学園祭にどうしても劇を皆の前でさせてやりたかったのだ。そのためミスコンという舞台を利用したと。

・・まあ、これが智代が最初から計画していたのか、途中から思いついたのかは知らないが。もしかしたら古河だけでなくことみのバイオリンの発表も計画のうちだったかは定かでは無い(古河からことみの事は聞いていただろうし) 

いずれにしろ皆の前で発表するという結果は達成されたのだ。  

「芽衣ちゃんまで利用して・・」 

そういう俺に智代はニッコリ笑いながら

「そうだな。春原の妹さんには感謝しているぞ。おかげでもう一つの計画も考えてくれたしな」  

もうひとつ・・・?  

「とてつもなく恋愛ににぶい男と自分の気持ちを全く伝えられない女子をくっけるというのはなかなか大変な事なんだぞ?」 

と智代はまたニッコリ笑ってそうつぶやいた。 

「・・は?」

俺は呆けた顔で聞き返すと  

「おっと私はこれから学園祭の後始末があるんだ。それでは朋也。またな」  

と俺が引き止めるまもなく去っていったのであった。



「・・で岡崎さんは結局どっちを選ぶつもりだったんですか?」

と宮沢が急に現実に戻すように悪戯っぽい笑みを浮かべ質問をすると・・

「う!?」

と俺は冷や汗たらり。

とその時今までずっと黙っていた杏が 

「・・や・・や~ねぇ。そんなの決まってるじゃない! あ・た・し よ♪  この美貌のあたしをこの朋也が選ばないわけが無いじゃない♪ 渚には悪いけどね♪」 

といつもの調子に戻って答えた。 

「あ・・そうですよ。私なんかより杏ちゃんの方が可愛いです!」 

古河もようやく顔をあげた。

「そうか?」 

とつぶやいた俺に 

「何ですってと~も~や~!」  

と杏が俺の首を絞める。  

「ぐはああ!」  
(やっと日常に戻ったな・・) 

「・・て死ぬわ!!ギブ!!ギブッゥ!」    

(でも・・朋也あの時最後に渚の目を見ながら言おうとしたのよね・・やっぱり朋也・・)

「うん?どうした?」  

ちょっと首を絞める力を緩めた杏に聞くと  

「な・・何でもないわよ! ・・さて、椋。ことみ。宮沢さん。商店街へ買い物に行くわよ!」  

と振り返って唐突に言う。 

「へ?別に良いけど」  
「???」  
「あははーそんな約束してましたっけ?」 

という3人の反応に

「いいから行く!! ・・てなわけで、朋也。渚 またね♪」  

と二人に別れを告げて3人を強引に引き連れて歩いていくのであった。 

「それでは失礼します~お二人とも」  
「バイバイなの」  
「それではまたー」  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「何なんだ?あいつら?」  

「さあ?」 

と手を振っていた朋也と渚は顔を見合わせて吹き出した。

「さてと・・帰るか渚?」  

「はい朋也さん!」  

そんな二人も仲良く夕暮れの街を歩いていくのであった・・・


ーそのころ学校ではー


「・・ああ、お兄ちゃんまだ終わらないのかな~?」   


「・・・ぬれぎぬッス!僕は何も知らないっス!」  

「そんなわけあるか!! 当初のイベントと全く違う内容じゃないか!あんな大げさなものやるとは聞いてないぞ!」  

「だから、それは智代に聞いてくれって言ってるじゃないですか!」  

「坂上?生徒会はこの件に関しては何も知らないって言ってるぞ!」

「嘘でしょ!?」  

「お前がイベント特別責任委員長なんだろ?自分でそう言ってるじゃないか!・・他校の生徒を入れるわ・・部外者を入れるわ・・」  

「だからこれは杏が・・」  

「人のせいにするんじゃない!・・よ~し。今日はまだまだ長いぞ。夜中までみっちりしぼってやるからな」  


「ひぃぃぃっぃ!  ちくしょぉぉ!覚えてろよぉぉぉぉ!!」

ヘタレの絶叫がいつまでも轟いてるのであった・・・・・・・・・・・・・・



-おしまいー


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: