Rewrite of the World ♪

Rewrite of the World ♪

新生 リトルバスターズ!?



僕の打ったボールがセンター方向に向かって勢い良く転がっていく。

<ミッションスタート>

「・・フッ・・」

それを、ショートのポジションにやる気なさげに立っていた来ヶ谷唯湖が人間離れした動きでキャッチする。

(・・ていうか瞬間移動してるように見えるんだけど・・) 

そんな僕に余裕の笑みを返すと僕にボールを投げ返してくる。僕は慌ててそのボールを手でキャッチした。
「鈴~暗くなってボールも見えないからもう切り上げよう」 
ちりん  

そういうとピッチャーの棗鈴はこくりとうなずいて、髪飾りの鈴を鳴らしながらこっちに小走りで走ってくる。

「みんな~今日の練習はこれまでにしようよ~」 

そしてグラウンドにいるみんなに声をかける。
ここは学校のグラウンド。そして放課後。そして今は放課後の恒例となっている野球の練習の時間だ。

「ふ~今日も疲れたな~」 

夕焼けの空を見上げこれまでの事を思い出す。


『リトルバスターズ』 
それは リーダーである棗恭介・妹の棗鈴・井ノ原真人・宮沢謙吾・そして僕直枝理樹の幼馴染のグループの呼び名だ。
昔から僕たちはずっと一緒に居た。遊ぶにしても何をするにしても。
そして高校にはいってもそれは変わらない。
だけど、今学期に入ってそれも少しの変化が起こった。
突然の恭介の提案により野球をやる事になった。
だから試合をするために野球のメンバーを僕と鈴は集める事になり
・・そして現在はメンバーは10人にもなった。
もちろん野球だけのためのチームではなく今ではみんな大切な仲間だ。


「・・というか野球の練習もまともにやっているわけでもないし」

今日だってまともに野球している人は数人だ。
それでも先日の試合で僕たちは奇跡を起こした。
草野球の試合とはいえ、
運動部の主将を集めたチームに、メンバーの半分が女の子だったりする素人の僕達のチームが勝ってしまったのだ。
それは学校でもちょっとした事件として騒がれ、『リトルバスターズ』のメンバーの僕たちは有名人になった。

「とはいえ本当に良く試合に勝てたよ・・」 
そうつぶやく。

「ちーむわーくの勝利です!わふ~♪」
今の時間練習そっちのけで仲の良い犬のストレルカと追いかけっこをしていた、能美クドリャフカが近寄ってきて答えれば

「それと、日々の努力の成果だよね~クーちゃん♪」 
同じく今の時間、グランドの外でひなたぼっこしながらお茶してた神北小毬が答えた。

「あ・・はは・・」 
あまりにも説得のない二人の発言に苦笑していると、

「いや・・俺様の筋肉のおかげだな!!」 
それを聞いていた井ノ原真人が自慢げに腕の筋肉を誇らしげに見せつける。

「・・・井ノ原さんは先日の試合は、4打数ノーヒット。1エラーだったと記憶していますが」
マネージャーである西園美魚が先日の試合のスコアノートを見ながらぼそっとつぶやいた。

「直接の成績に関わらなくても俺様の筋肉を見ることによって、ピッチャーの鈴がリラックスしたという事が!」

「んなきしょい事実なんてあるかぁぁぁ!!」 

どげしっ!  

鈴のハイキックが炸裂して真人はその場に昏倒する。

「でもうちのチームってまともに練習しなくても勝っちゃうんだから無敵ですヨ」

トラブルメーカーではあるが今日はまともに練習していた三枝葉留佳がその話の輪に入る。
練習も終わり、いつもの他愛もないおしゃべりの時間。
そうやって僕たちは寮に帰っていくのだが今日は違っていた。

「お前たちはたるんでるっっっ!!!」
そういって僕たちに向かって叫んだのは、さっきから腕組みをして考え事をしていた恭介だった。

「俺達は無敵だと・・三枝。世界には俺達より強いチームはたくさんあるんだ。そいういうのを『井の中の蛙』て言うんだ!」

「はあ・・すいません」 
名指しで言われた葉留佳さんだけでなく僕らも恭介の迫力にぽかーんとなっていた。

その恭介の隣で謙吾は「うんその通り」とうなずいていたが。

「ふむ・・1試合だけ勝ったからといって、最近練習に身が入ってないことも多くなっているし・・ここは考えなくちゃいけないな・・」

「考えるって・・何がだ?」  
いつの間にか立ち直った真人が聞き返す。

「うむ。ミッションスタートだ!内容は 『新メンバーを増やそう!』だ!」

恭介は僕たちに向かってそう高らかに宣言したのだった。

「ちょ・・ちょっとまってよ恭介!いきなり何言いだすのさ!!」
いつもながら唐突にミッションをスタートさせた恭介に内容が内容だけにすかさずつっこんだ。

「まあ考えてみろ理樹。組織というのは常に流動的でなくてはいけないんだ。停滞は組織の崩壊を意味するんだぞ」

「それにだ。今は野球をやっているが、この先ラクビーやアメフトの試合をする事になったら人数が足りなくなるし、俺達の前に巨大な敵が現れたら人数が多ければ有利だと思わないか?」

「いや・・だから鈴みたいな女の子達がラクビーとかやらないし、巨大な敵なんて出てこないからさ・・」
恭介のいつもながらむちゃくちゃな理論に呆れていると

「ふむ。それは純粋にメンバーの追加ということなのか?恭介氏」
それまで涼しげな顔で聞いていた来ヶ谷さんは恭介に問いかけた。

「む・・確かにそれだけじゃ刺激が足りないな。よし・・既存メンバーとの入れ替えも有りにしよう。理由はもちろん燃えるからだ」

「わふぅぅ・・それってダメなせいせきだったら私もメンバーからぐっどばいって事ですかぁ~」
事の次第を悟ったクドが涙目になりながら聞いてきた。

「まあ死ぬ気でがんばりなクド公。俺達と違っておまえはまだ付き合い短いから仕方がねぇしな」
そういってクドを励ます真人。

「言っておくがお前も対象だぞ真人」

「って何でだよ恭介!!幼馴染である俺達が今更そんなことするんだよ!」

そう言って食ってかかる真人に恭介はあっさり答えた。

「幼馴染なんて関係ない。俺達は同じ仲間だ。なら公平であるはずだろ?・・心配するな。リーダーの俺も当然その対象になるのだからな」
そういって不敵な笑みをみせる。

「・・・でも、それですとそのメンバーを決定する人が居ないのでは無いですか?」
美魚がその言葉を聞いてそんな正論を言う。

「ふむ・・確かにそうだな。うむ・・」
手をあごにあててちょっと考え込むしぐさをした恭介だったがすぐに良い考えだとばかりに、僕と鈴を見ながら答えた。

「そうだな・・基本俺達は野球のチームだ。その中から、4番バッターとエースをいきなり代えるのはまずい。だから理樹と鈴は今回は対象外として、それとともに決定側に回ってもらおう」

「えぇぇぇ!!」
いきなり言われて驚く理樹。

「ああ~いいな~理樹くん。選ぶ方に回るなんてらっきーだ~」
そういって羨ましそうに言う葉留佳。

「その前に僕はメンバー代えるなんて賛成してないよ!それにそんな大事な事を決めるなんて僕たちじゃ・・」

そういって鈴の方を見ると、足元の猫とじゃれあっていて話を聞いてないように見える。

「理樹。もうミッションはスタートしたんだ。変更は無いぞ。よし、詳しい事は近日中に発表する。ミーティングはこれで終了だ」

「ち・・ちょっと待ってよ恭介!!」

そう呼び止める間もなく、恭介は寮の方へ歩いていく。

「う~私ちゃんとメンバーに残れるか心配ですヨ~」 
「ふむ。まあいつもどおりやれば大丈夫だろう」 
「ゆいちゃんは余裕だよね~」 
「いや・・だからゆいちゃんはよせと・・」
「・・別に私は選ばれなくてもどちらでも良いですが」 
「西園さん!そんなこと言わないでベストつくしましょう!」

そういって女の子も解散していく。

「ちょっと・・みんな・・・・・・・・・・はぁ・・」

ふと視線を戻した先に謙吾が居た。

「ねえ謙吾!恭介を止めてよ~こんなのむちゃくちゃだよ!」

「うん?理樹。アイツの言う事は俺も同感だ。最近みんなたるんできているのは事実。これじゃ敵から襲われたらひとたまりも無いからな」

「ああ・・謙吾まで・・」

「俺もメンバーに選ばれるように全力をつくすまでだ。じゃあ理樹。その日を楽しみにしてるぞ・・はっはっはっ・」

そういって去っていく唯一恭介に進言できそうな謙吾を見て頭を抱えた。
(ああ、やっぱり最近の謙吾のテンションにはついていけない・・)

「うおお!!筋肉!筋肉ぅ~!!!」

「ちゃんと整列しなくちゃメッ!コラッ!言ってるそばからもう・・」 
「にゃっ?」

視線を戻した先には、もっと役に立たなそうな幼馴染2人(と猫達)。それを見て理樹はため息を再び吐くのだった。



<恭介の思惑>


カチャカチャ

時間外れの寮の食堂。静かな食堂に食事の音がはっきりと聞こえる。
所用で夕食が遅れた理樹と、猫の世話をしていて同じく遅れた鈴以外は人もまばらだ。
いつもは一緒に食事をする恭介達も今日は先に部屋に戻っている。

「は~・・どうしよう・・」

その静寂に理樹のため息もはっきりと聞こえるのだった。

「どうした理樹?ため息ばっか。・・ああ、そうかアレだな。全力でがんばれ」
思いっきり他人事のような鈴は理樹は無意味に励ました。

「・・ねえ・・鈴はいいの?このままだと小毬さんとかがメンバーから外れたり、鈴の知らない人がメンバーに入ってくるよ?」

メンバーが増えるのは僕は構わないんだけど・・そう追加した。

「!?・・そんなのいやじゃぼけ!」

理樹の言葉に反応すると食事を止めて叫んだ。

「・・やっぱり・・さっきの恭介の話とかまったく聞いていなかったんだね鈴・・。今のままだとそういう事もありえるんだよ?」

「なにぃぃ・・それは困る・・何とかしろ理樹」

やっと状況を理解した鈴であった。

「何とかしろっていっても・・・選ぶ役目である僕たちが、新メンバーや入れ替えは無しと決めるとか」

(・・でもそんな事恭介が認めるわけは無いよな・・)

「うぅぅ・・」
鈴はどうにかしようと唸っているが良い考えは出ないらしい。

「・・ここで悩んでも仕方がない・・。行ってくるよ」

食事を先に終えた理樹は立ち上がって片付ける。

「?どこ行くんだ理樹?」

「恭介のとこ。難しいと思うけど、このミッションの中止を説得してみるよ」
(・・多分無理だと思うけど)
そう心の中でもため息をつく。

「でもあのバカきょーすけを説得するなんてお前には無理だろ。まあ期待しないけどがんばれ」

そういって再び食事に視線を戻す鈴。

「・・きつい事を遠慮なく言うんだね鈴・・。まあ僕もそう思うけど・・。でも状況も知りたいしとにかく行って見るよ」

(・・あと恭介の真意を聞きにね)

そう言って理樹は食堂を出て恭介の部屋にむかうのであった。


こんこん

「恭介~入るよ~」

寮の恭介の部屋の前についた理樹はドアをノックして部屋に入った。

「おお、理樹か。良いところに来た。俺もお前に用があったんだ。まあ入れ」
そう言って恭介は理樹を部屋に入れる。そいて理樹が口を開く前に話し出す

「喜べ理樹。今回のミッションの事ふれて回ったらすぐに10人以上の希望者が集まったぞ。
というわけで、申し込みはは明日の昼にでも打ち切って、すぐにでも一次審査に入ろうと思うがどうだ?」

「だから!僕はまだ賛成してないって・・・・え?そんなにメンバーになりたい人ってこの学校にいるんだ!?」

「何言ってるんだ?理樹。俺達は野球で運動部の連中を倒したり、かなりの注目グループなんだぞ。
まあ、それに鈴とか能美とか男子に人気がある奴もいる。入ろうとする奴は多いのは当然じゃないか」

恭介は自慢でもするように言う。

(・・あと女子からは恭介とか謙吾の人気も高いし・・) 
理樹は驚きつつも納得してしまった。

「それでもやっぱりメンバーの入れ替えとかは反対だよ!鈴だって、入れ替えでメンバーが居なくなるなんて承知しないよ。
いったい何考えてるの恭介?いつものノリとかじゃなく何か考えがあるんでしょ?」

そうやって恭介に真意を求めると、急に恭介は真面目な顔をした

「まあ、お前の気持ちもわかる。でもこれは鈴のためでもあるんだ」

「鈴の?」

「そうだ。鈴やお前はメンバーを変えたくないようだが、いつかは変わっていく。俺だって、就職活動が始まれば活動できないし、そもそも来年で卒業だ」

「恭介の言うう事もわかるけど・・」

そういう理樹にさらに恭介は続ける

「お前らだって卒業すれば、一人で社会に出なければならない。自分達の思い通りにはならないし、別れと言うのはいつでも訪れる。そういうのを今のうちに経験する必要はある」

「いいのか?このまま鈴が親しい人だけつきあえて、社会に出たとき困ったとしても」

「いや・それはダメだと思うけど・・」

そのセリフを聞いた恭介はニッコリと笑いながら

「そうか!理樹もわかってくれたか!・・それじゃ明日の選考もよろしくな理樹。それから心配するな。一次審査は今のメンバーは免除だ。すでにメンバーになる時受けているのだからな」

「あ・・うん。いやでもやっぱり・・」

「それじゃ、俺は買ってきたマンガを見なければならない。それじゃ明日な理樹」

「あ・・うんじゃあね恭介」

う言われると理樹は席を立って部屋の外に出て行くのだった。

バタン

「ああ・・やっぱり恭介に丸め込まれた気がする・・」

部屋のドアの前で理樹は頭を抱え込むのだった。



<審査開始!>


「ごめん・・やっぱり無理だった・・」

「気にするな理樹。全然期待してなかったから」

「・・相変わらず容赦ないね鈴・・」

隣に座っている鈴の正直な言葉を聞いて少し落ち込んだ。
今は放課後。そしてこの誰も使われていない空き教室。
そしてそのドアには『リトルバスターズ新メンバー選考会場』と書かれているのであった。
そして恭介が言っていた1次審査とやらは、すでにもうひとつの別室で行なわれている。
この部屋にいるのは、1次審査を免除されたもともとのメンバー達だ。
ただし、恭介と1次審査に必要という事で、謙吾と来ヶ谷は1次審査の会場に行っているが。

「でも・・私全然自信ないです。1次審査は免除されたけれど・・メンバーに残れるかな~」
不安そうに小毬がつぶやく。

「大丈夫です!神北さんなら残れます!」

「・・まだ審査の内容すらわかってない状況で判断するのはどうかと思いますが」
そういってクドの励ましをあっさりと打ち消す美魚。

がちゃり

そんな不安が入り混じった空気の中、1次審査会場に行っていたメンバーが戻ってきた。

「お帰り恭介。でどうだったの?」
腕組みをしながら難しい顔で部屋に入ってきた恭介に聞いた。

「うむ理樹。・・いや予想外の事態でな」

「??」

「まあ、結論から言うとだな。1次審査合格者は0だ」

「は?」

みんなはその言葉にあっけに取られた。

「はあ!?0っておかしいだろ?だって俺様はちらっと見ただけだが、50人近くはさっき集まっていただろ!?」

そう。真人が言うとおり最終的には50人近くの希望者が集まっていたのだった。

「・・そういえば1次審査の内容ってどんなのだったの恭介?」

「そんなに複雑のではないぞ。基本は一つの課題だけだったのだが・・」

そういって内容が書かれた紙を差し出す。
それを近くにいた葉留佳が受け取って読んだ。

「なになに・・え・・とふむふむ。・・これは・・あはは」
葉留佳はそれを読んで葉留佳は苦笑いを浮かべた。

「えっと・・三枝さん。どんな事書かれているの?」
そう理樹が聞くと

「じゃあ・・読みますヨ? 『1次審査課題。2つを成し遂げよ。<1>来ヶ谷唯湖にIQテストで勝つこと<2>宮沢謙吾に1対1のバトル(武器あり)で勝つこと・・て書かれてますけど』

「・・て恭介!?」

「ん・・どうした理樹?」

「こんな条件だったら誰一人として合格できないよ!!」

学校の成績では全国でもトップクラス(それも本気を出さないで)の来ヶ谷さんに、剣道の腕前では全国レベルの謙吾。それに勝ったらスーパーマンだよ・・。

「そうか?・・今のメンバーもそれなりに試験をパスしたんだからこれくらいは普通だと思ったが・・。まあ、審査員の理樹が言うなら、達成者にこだわらず成績上位のものは合格とするか。」
そういうと、審査会場に戻っていった。

「・・・て今のメンバーの試験て、勇気とガッツと友情とかでしょが・・」
そうつぶやいていると。

「・・直枝さんも人が良いですね・・」

「へ??」
美魚が理樹に向かって、呆れてるとも褒めてるとも言えない口調でつぶやいた。

「ふむ。もし、少年がその試験結果につっこまなければこの件も事実上無効になったというのに。いや、でもそういう正直で、間違った事にはつっこまずにはいられない性格はお姉さんは好きだぞ♪」

「・・・・・・・・・・あ」

愉快そうに話す来ヶ谷さんの言葉を聞いて唖然としていた。

「・・バカりき」

その隣で鈴がため息をつくのだった。

<バトルスタート!>

「という事で、1次審査を合格したみんな心からおめでとう!と言わせてもらおう」

恭介がマイクを持って発言しているの前には、小毬たち今までのメンバーと1次審査などというものを勝ち残ってきた生徒達。
そして先ほどから居る教室が2次審査会場となるらしい
(正面の黒板にでっかく書いてある・・恭介が書いた)

「それでは、時間も無いし2次・・というか最終審査の内容を発表させてもらおう」

そう恭介が宣言すると、教室内にいくらかの緊張が走った。

「俺達、『リトルバスターズ』は野球のチームだが、同時に毎日いつものバトルを行なっている。
メンバーとなれば当然バトルも必須となるわけだ。そこで、ここに居るメンバーでバトルをしてランキングの結果で決めようと思う!」

・・まあ確かに考え方は間違っていないけど・・

「恭介氏に質問がある」
「何だ?」

「バトルをするのは良いのだが・・ランキングの結果というと、上位者がメンバー入りとなるんだろう。メンバーの枠は何人になるのだ?」

来ヶ谷さんはそう恭介に質問した。・・てバトルするのは良いんだ・・

「それは審査員の理樹と鈴次第だな」
「へ??」
いきなりふられた理樹は聞き返した。

「ランキング上位者という条件は絶対だが、メンバーの定員は決めてない。鈴達が10人必要だと言えば10人だし、それ以上必要ならそれでも構わない」

「・・・と言う事は鈴ちゃん達がメンバーを減らしたいと思ったら、今のメンバーでも全員残れないことあるんですネ・・じゃあなるべくランキング上位にいないと・・」
その内容を聞いて俄然張り切る葉留佳さん。

・・ていうか貴女は面白ければ何でもいいんでしょう・・。

「ふぇ・・やっぱり自信ないよぉ・・」
それとは正反対な小毬さん・ちょっと涙目になっていたりする。

「小毬ちゃんがんばれ」
そう励ます鈴に「うん」とにっこり笑顔で返した。

「よし!では質問はもう無いな。じゃあこれより『2次審査』のバトル開始だ!!」
そういってバトルの幕は切って落とされた・・


「よおし来ヶ谷ぁ!!まずはお前が相手だ!!!」
「ふむ。私は別に構わんぞ」
「よぉ~し上等だ!! 鈴! 俺様の筋肉の勇姿を見てメンバーに選びやがれぇ!!」
「きしょいもん見せるな!お前、ランキングダウンじゃボケ!!」
そういって、最初にバトルの口火を切った真人 V.S 来ヶ谷。真人に鈴がネコ化して叫んだ。

「んなルールあるかぁ!!!」
「いや有効だぞ。今回鈴が言う事が全てルールだ」
「のおぉおおおぉおおおお!!!!!!!」
恭介からの指摘に真人がその場を転げ回る。


「ほーっほっほっほっほ! 貴女を倒すためにこんなイベントに参加したんですからさっさと勝負しなさいな!」
「さしすせそ ささみ! 今回はあたしは戦わないんだ」
「さ・さ・せ・が・わですわ!! そんなの関係ないから勝負しなさい!」
「・・まあ、恭介の言う事だから仕方が無いだろう。代わりに俺が戦ってやろう」
「あ・・宮沢様・・そんなわたしと・・ぽ・・」
あっちを見れば、鈴のライバルの笹瀬川佐々美が新メンバー目指して戦っている。


「・・・・くだらない。というかなんで私こんなところに居るのかしらね・・」
「わふぅ・・すみません佳奈多さん。ひとりでは不安だったんで誘ってみたんですが迷惑だったでしょうか・・」
「あ・・いいのよクドリャフカ。あのお騒がせ集団のリトルバスターズの視察という目的もあったんだし」
「ありがとうございます佳奈多さん! じゃあ、せっかくなんでわたしとバトルしましょう!!」
「え・・バトル??あなたと??・・風紀委員長としてそんなの認められないわ」
「しょぼん・・それは残念ですぅ・・」
こっちをみれば、何故か風紀委員長の二木佳奈多がこのバトルに参加している。


「みんなもなかなかやるな。俺も負けてはいられないぜ」
「・・・そこの人。あたしと戦ってくれないかしら?」
「うん?見かけない顔だな・・いいだろう。相手になってやるぜ」
「・・・あなたどこかで会ってない? ていうか仮面かぶってる奴に知り合いはいない?」
「うん?何を言っているんだお前は?・・だが手ごわそうな相手だ・・女だからって手加減はしないぜ!」
「こちらこそ、あたしの銃をかわしきれるかしら? あたしの名前は沙耶。行くわよ!」
恭介も、見たことの無い少女とバトルをスタートしている。


そしてバトルの制限時間が刻々と過ぎていく。
最初は興味無さそうに見ていた鈴だが、この真剣な空気に影響されたのか今はこのシーンを見守っている。
そして・・

キーン コーン カーン コーン

時間終了を告げるチャイムがその場に鳴り響いた。

「よし、最終審査は終了だ。 鈴、理樹!結果を発表しろ!」
恭介の声がこの場に響いた。

皆の注目がその声の行き先・・つまり鈴と理樹に集まる。


そして結果はーーーーーーーーーーーー




<変わらない夏>


かっきーん!

グランドに響き渡る音。

「おーらい・・おーらい・・わふっ!!」

「ああ、クーちゃん大丈夫!!」

「どんとまいんどです・・」
そしてそれに続いて聞こえてくるのうてんきな声。

そして、それをとりまくいつもの風景。

「・・結局あの騒ぎは何だったんだ・・」
その光景をみつめて理樹はつぶやいた。

そう。今グラウンドで練習しているメンバーは、小毬やクド達といったいつものメンバー。
結局、あれだけ大騒ぎをしたあげく、新生「リトルバスターズ」のメンバー変更は無かったという事だ。

「まあ、最終審査の結果がそうなったんだからやむをえないだろう」
そんな理樹に、笑みを浮かべた恭介がしれっと答えた。


ー結局、最終審査と称されたバトルのランキングは、上位を旧メンバーが独占する事となった。
そして、そこから鈴は、いままでのメンバー(ちなみにボーダーぎりぎりの人は小毬だった)分だけ選考したのであった。


「・・なんかまた僕たちは恭介の手のひらで踊らされただけな気がするよ・・。恭介はやる前からこの結果がわかってたって気がする。それを面白がって僕たちを観察してたんじゃなっかってね・・」
そう、ちょっと悔しげに恭介につぶやく。

今回のランキングなんて結果は偶然のもの。それを計画通りにするって言う事は
さすがにできないと思うけれど、仕組まれていたように思えたのだ。

「理樹。俺にだってできる事とできないことはある」
そういって恭介はいつになく真剣な表情で答えた。

「まあ・・目的は達成できたけどな」

「目的??」
恭介に聞き返した。

「理樹・・特に鈴か、この場合は。お前らに『リトルバスターズ』を改めて選んでもらいたかったんだ」

「何でそんな事を・・??」
意外な言葉に驚いた。

「前にも言ったと思うが・・いずれ俺達は離れ離れになる。
今の『リトルバスターズ』がなくなる事はあるんだ。そんな時、お前たちは、新しい仲間や友達を作っていかなくてはいけない。
その予行演習みたいなものだったんだがな今回のミッションは・・」
そうやって恭介は淡々と説明するのであった。

「で・・結局はこの兄貴の気持ちなどわからず、鈴はいつものメンバーを選んだと。新たなメンバーを迎え入れる事も出来たのに、結局はいつもの奴等しか選ばなかったと」

そう言う恭介は、困ったような嬉しそうな顔のような複雑な表情をした。

「でも、今回はこれで良かったとそう思うよ」
そんな恭介の横顔を見ながら僕はなんとも無くつぶやく。

「確かに恭介の言いたい事は理解できるよ。でも、人の心というのは簡単には変えれないんだ。僕も鈴も・・」

「理樹・・」

「それでも、鈴はメンバーとして三枝さんや来ヶ谷さんも選んだ。昔は僕たち幼馴染しかまともに話す事も出来なかった鈴が。
それは成長した証でもある。今はそれで良いんじゃないかな~と思うよ」

「確かにいつかは僕たちの道が分かれる時が来るかもしれない。でもそれは今すぐではない。鈴が成長していく時間はまだたくさんあるんだ。
それに卒業とかで離れ離れになる事はあっても、僕達が仲間と言う事は変わりない。助け合う事はできる。恭介だってそう思うでしょ?」


ー理樹。お前の言う事は正しい。だが現実はそんなに甘くない。時間が無いんだ。俺達は永遠にお前達のそばにいられないんだぞ・・ー

「・・そうだな」

ー俺はすべての感情を押し殺して理樹にそれだけつぶやいた。ー


「よし。休憩は終わりだ。理樹・・今日もまだ見ぬ敵のために練習だ・・・俺を超えて見せろよ!」

そういって恭介はグラウンドに走っていく。いろんな想いを理樹にこめて。

「待ってよ恭介!」

そう言って自分もグラウンドに向かうために立ち上がって、その途中で空を見上げる。
そこにはいつものように青空が広がっている。いつまでも・・どこまでも広がる青空だ。そしてふと思う。この夏はいつまで続くんだろうと。

(そういえば、今年の1学期は長いな~いつまで経っても夏休みにならない気がする・・・考えすぎかな。そういえば今日は何日だっけ・・??)

そしてグラウンドの向こう側にある学校を眺めた。

(そして、夏休み前にはずっと楽しみにしていた学校のイベントがあった気がするんだけど・・・それは・・・)

「理樹!!遅いぞ早く集合しろ!」

遠くから恭介の叫び声と、仲間たちが笑顔で待っていた。

「あ、ごめん恭介。今行くよ~」

そういって考え事を中断して仲間のもとへ走り出す。
それでも最後にもう一度だけ空を見上げる。
そこにはいつもと変わりなく永遠に続くとも思える青空が広がっているのだった。



END

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