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かにゃかにゃバーバさん
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himekyonさんコメント新着
先週の月曜日、緩和ケアの研修会もあり、医療問題を扱った映画を見たくなった。
【新品】映画音楽(邦画) 象の背中
診断であった。「死ぬまで生きていたい」という主人 公は自分自身で残された時間を濃密に生きることを選択していく。恋人や長男には診断結果を伝えるものの、妻や娘には負担にかけたくないと症状悪化まで伏せていた。取り組んでいた都心の大型開発の企画が通るまで幸いに体調は何とか持ちこたえたものの会議中突然咳が止まらなくなり呼吸困難と疼痛に襲われトイレで意識を失ってしまう。
この時点で退職する事を決断し社長に病状を話し、後任の人選についても自己主張を重ねる。ホスピスに入院する前に自分が亡くなった後の家族の経済的なこともきっちりかたをつけていく。夜間の喀血と呼吸困難をきっかけにしてホスピスに入院することを決意するようになる。
社会的にも家族との生活についても、自分自身の人生についてもきっちりとけりをつけていくすがすがしさを感じさせられた。自分の残された命について冷静に向かい合いながらも、それでも生きていたいという気持ちも、死への恐怖も表明される。したしい人々に自分の残された命を伝えていく作業をすることで少しずつ病状に対するあきらめにも似た気持ちが深まっていったようだ。
この映画は余命半年と告げられた主人公が180日の命をどう過ごしていったか、主人公の生活とその心情が丹念に描かれている。
一つ一つの場面が脳裏の焼き付いているがその中でも印象的な場面がある。癌の進行は進んでいると医師から伝えられた診察のあとでかって倒産に追い込んだ社長と出会い食事を共にし、その男性も胃がんで予後1年と告げられていることを知る。倒産と離婚し家族とも会っていないことを知らされ、店を出て別れた後、その顛末を知っていたことを告白し謝罪するがその男に、そのことを承知していたと言われながら蹴りつけられてしまう。
人生には苦い思い出もあるだろう。一人の力ではどうしようもなく社会の波にのみ込められてしまうことも。そして人生の最後には心の痛みを伴う苦々しさとも別れを告げなければ人生のけりをつけることはできないのかもしれない。
自分も人生の後半にさしかかって、まだまだとは思うもののいつこの主人公のような状態が来てもおかしくない。まだ、いつ最期を迎えられてもいい状況をつくっていない。物の整理、経済的なこと、少しずつ身を軽くしていきたいものだ。
がんと診断されてからどんなふうに人生を整理していくか、家族や社会との別れのつけ方を教えてもらったように思う。今年見た映画のベスト20に入る秀作だ。看護師の立場から言わせてもらうと、患者が病状を受け入れていく過程が少しさらっと描かれているように感じられた、蛇足だけど。