Dance TonightはYoung Boyと同じくらいいい曲だ。他にこれくらいいい曲としてHope of Delivelance、My Brave Face、Take It Awayなどがある。もうちょっとロックだけど若干詰めが甘いのがFlaming Pie、Driving Rain、Fine Line、Lonely Road等であり、これらより更にいい曲がThis One、Off the Ground等である。そして、同じ様な土俵に並べそうな曲なのに駄作と感じさせてしまうのがFreedomであり、ここではむしろこのFreedomを「駄作」に分類したくなるポールという男の底知れないポップぶりに驚愕すべきである。
こういう曲が冒頭に入ったり、リードシングルだったりする時のポールはノっている。ノっているというのは空回りする場合を含むのだが、今回やFlaming Pieの時は気合い+リラックスと言う感じで、おおむね良好だ。 いい曲や意欲的なサウンドが多くても長過ぎ、とっちらかりすぎ、要するに散漫だったDriving Rain。「意欲」も結構空回りしていたし、若いバンドとの馴染み具合ももう一つだった。気合いに負けないいい曲も揃っていたし、俺はかなり好きだったけど、しばらく経つと通して聴くには面倒臭いアルバムになってしまっていた。 もっとリラックスし、生の「曲」を聴かせる方向に持っていって高い評価を得たChaos and Creation。曲は凄く良かったけど、個人的には「生」過ぎてポールの声の衰えがストレートに響き過ぎてツラい部分もあった。
Memory Almost Fullはこの2枚を足して、2で割った感じ。割る時にキツい部分を上手く切り捨てている。いい感じにここまでの方向性をまとめたんじゃないかな。 切り捨て切ってない部分もあって、そこが逆にポール度を増す硬貨にも鳴っている。前2作のキツい部分だって、それが「悪い」ってワケじゃなかったからね。こういう「部分的に駄目」があった方がポールっぽいんだ。 俺が好きなのはEver Present Past。World TonightやIf You Wanna、We've Got MarriedやPound is Sinkingといった、少し苦めのポップソングの系譜。あとThat Was Meを聴いてると「まだこんなにシャウト出来るんだ!」と思ってしまう。Only Mama Knowsもいい。Driving Rainのアルバムと「バンドの馴染み方」を比べて欲しい。 Vintage Clothesからのメドレーはときたま「アビイ・ロードB面を彷彿」のような意見も聞くが、むしろ「もっと完成度の高いRed Rose Speedwayの最後のメドレー」という印象。これらのどちらより完成された曲を並べてあるが、サウンドのラフさは後者に近い。最後がThe End of The Endという曲だからアビイ・ロードと比べたんだろうけどね。
で、いかにもなタイトルの曲で終わらせずに、最後にハードなロックナンバー、Nod Your Headをブチ込んだのが「YesterdayのあとにDizzy Miss Lizzyをブチ込む」伝統に韻を踏んでいる。The End of The Endなんかでは終わらない宣言である。この曲のヤケッパチぶり(多分、Helter Skelterを意識していると思う)がたまらねえのだ。