Live Aidの仕掛け人、ボブ・ゲルドフは結局このイベント(及びBand Aid関連事業)を切っ掛けとして、多分個人(ミュージシャンとしてと言うよりアフリカ救済活動家として)とバンドのバランスを失い、結局バンドの解散に繋がってしまった。これがほぼラッツのラストステージであったと言うのは残念としか言いようが無い。だが、(後述の一部を除き)この演奏自体はラッツにとって「有終の美」と言っても良かったと思う。 ステージに登場する時に「ボブ・ゲルドフ&ブームタウン・ラッツ」の名前でアナウンスされるのが象徴的だ。ラッツはこんな名義で活動したことは一度もなかった。多分ボブが望んだコトではなく、運営側がボブの存在を強調すべくこう呼んだというコトなんだろう。いつ聞いても凄く違和感を感じる。 デニムの上下に身を包んだボブを中心にしたラッツがステージに登場。そしてこれから3曲演奏するが、カメラは殆どボブ以外を追うことはない。ライヴ・エイドのスタッフはラッツを徹底的に「ボブ・ゲルドフのバックバンド」として扱う。こんな扱いではバンドが終焉に向かって行くのもしょうがないのではないか、そんな感覚さえ漂ってしまうのだ。
I Don't Like Mondaysからステージはスタート。重苦しい曲だがことさらチャリティのテーマとは無関係。だが日本での放送(MTVも?)ではアフリカの子供たちの映像を演奏シーンの大半にオーバーラップさせる。雰囲気としては違和感が無いのがまた嫌な感じだ。でもこの時の演奏、特に「Howto die?」の歌詞の後の長いブレイクは感動的。明らかに熱の入った歌唱を聴かせるボブの気合いは本物だ。 2曲目はDrag Me Down。当時の最新作(=ラストアルバム)からの選曲で、打って変わってアッパーな雰囲気。「てぃりりり」の楽しさは勿論、前曲の気合いをそのままテンションに転科してステージを走り回るボブの姿、そしてちょっとしか映らなくても楽しそうに身体を揺らしベースを弾くピート・ブリケット。ヴォーカルのミックスはリード並なのに殆ど姿が映らないサイモン・クロウ(しかし服装はどうにかならなかったのか。たまのドラマーかお前は)。とにかくこの曲も例によってこの時の演奏が一番好きだ。 悲劇は3曲目に起る。日本でも放送されなかったし、DVDにもRat Trapが入っていないのはこの演奏を無かったことにしようという意思を感じる。つまり、曲の前半の終わり頃からボブのマイクが完全に切れてしまっているのだ。結局最後まで音は復旧しない。カラオケ状態だ。モニターには出てるのか、ボブはマイクに向かって歌い続けているし、テンションも落ちていない。一部では「興奮のあまりマイクのケーブルを抜いてしまった」と書かれているが、ソレは多分嘘だな。出音の問題だと思う。多分ステージ上では聴こえてるんだよ。
余談、と言ったら可哀想だが、当時からステージにもう一個セットされてるドラムは何だろうと思ったら次に登場するアダム&ジ・アンツのドラムだった。星とか付いて派手なの(笑)。でも日本では放送されなかったからなんだか解らないまま。無駄に置いてあるドラムに見えた(笑)。彼らはVive Le Rockだけしかプレイしなかったから、セットの転換の時間を節約したんだろうね。