何気ない情景を撮ったものにも、その時々の時代背景が写し込まれていれば、時が経つにつれ、見る人によっては良き思い出であったりする。撮った時には、白いガードレールが邪魔だとボツにした写真も記録の一こまである。

そこで、便利なデジタル技法は、邪魔な電線や電柱があれば消そうとする。アナログ時代は一部分を簡単には消せなかった事が、パソコンがあればそれも出来る。邪魔なものを消して面白がっても、得意になって消した裏技も、これまた履歴を解析できる。中でもトリミングともなれば、昨今の高画素のデジカメなら一寸ではバレない。そこで、二分の一に切り落とす荒技の作品さえ見受ける事がある。

500万画素のカメラで撮ったものでも、上手に伸ばせばA2サイズぐらいまでは行ける。
それを証明したかった爺さんは、今年のJPS(日本写真家協会)の公募展に厚かましくも応募した。入選さえも無理だと思った写真だったが、好きな一枚だった。主役の80歳のおばあさんが、満面の笑顔で刈り払い機を担いで野良仕事へ行く姿だった。画題は「まだまだ元気です」で、白線が描かれた道路とガードレールが邪魔だと思っていた。構図的には、道路の白線が奥行きを感じさせた。それに周辺の雑草の緑も好きだった。

自画自賛も時には当たるもので、傘寿にして入賞とは・・これまた冥土の土産になった。
フォトコンテストに無関心だった爺さんも、この歳になって自画自賛から抜け出そうと応募を始めた。この、気の変わりように我ながら驚いた。それがまぐれか、審査員の目がおかしいのか、一昨年はJRP入選、昨年はJPSの奨励賞、今年は同じJPSの入賞を頂いた。賞は貰えば嬉しいもので、今では当たった事もない宝くじより気分が良いものである。

これぞ爺さんの自画自賛かも知れないが、写真はやっぱ り爺さんの生きがいか、それともボケ防止の一策か。しかし、何かに挑戦する気構えだけは、持ち続けたいものである。
※掲載の写真は文とは関係ありません。
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