フリーページ

バックナンバー

・2026年10月
・2026年09月
・2026年08月
・2026年07月
・2026年06月

カレンダー

2010年08月23日
XML
カテゴリ: 北朝鮮問題の分析
001.jpg



1990年代末から金正日が作り出した「忠誠」文化が、末端の幹部階層まで拡散し、90年代後半から直属の上級幹部に自分の全てを捧げる「オールイン(All-in)文化」が普遍化された。

金正日を頂点にする組職構造の中で、幹部たちは自分の意思半分、他人の意思半分で、誰かのグループに属するようになる。金正日一人だけに向かっている権力構造の中で、幹部たちが生き残るためには「無限の競争」をするしかないからである。幹部たちの間の競争の基準が能力と経験ではなく、金正日個人に対する「忠誠度」で左右される状況なので、仕方なく誰かのグループに属さなければならない。

このような状況なので、あるグループの最高幹部が粛清されたら、彼が後援してきた下級幹部たちも全員粛清される。罪が許されてまた幹部職に復帰する時も同様である。全てが集団で行われる。2000年代に金正日の妹婿であるチャン・ソンテクが粛清されてから再起する過程で、数十~数百人の幹部たちが同時に追放されてから復帰したのが代表的な例である。

直属の上官に全てを任せるオールイン文化は、幹部たちの不正と腐敗を爆発的に増加させた。

直属の上官に評価されるためには、必ずお金が必要である。上級幹部の小遣い、娯楽、家廷生活を補助するための賄賂だけではなく、上級幹部の体面を支えるための活動にもお金が必要である。例えば、一級連合企業所の党支配人のグループに属した幹部は、金日成-金正日の誕生日毎に金日成の花や金正日の花を予め準備して、もっと上の人たちに支配人の名前で花を贈る。このようなことをするには、少なくないお金が掛かる。

また別の側面から見たら、上級幹部が権力を失えば一緒に没落するので、「この地位にいる間に、精一杯財産を増やそう」という考えが広まった。幹部の地位はいつも不安定なので、信じられるのはお金しかないのである。老後のためや、検閲に掛かった時に助けてもらう為に、一番切実なものは「お金」である。

1990年代の「苦難の行軍」の前までは、名目上は首領と党、祖国と人民のために最も献身する人を幹部に選抜するという原則が維持された。幹部選出の基本核心は当然出身成分だが、これに首領-党-大衆に対する総合的な忠誠心と共に、一定の能力と経験までが要求された。当時は幹部自らと家族の安否より、首領-党-人民のために働かなければならないという「服務精神」が最高の美徳として教育された。

1980年代までは、引退した党幹部が余生を貧しく暮らす姿がよく見られた。幹部として働いていた時、真面目に仕事ばかりしていたので、老後の準備が十分に出来なかったからである。もちろん当時も私利私欲に目がくらんだ幹部たちも少なくなかったが、少なくとも外見だけでも「貧しく」見えるように努力した。



ところで、工場企業所の支配人、あるいは党秘書以上級の幹部になれば、この制度の恵沢を受けることができる候補者になれる。毎年、金日成の誕生日などの国家の節日の毎に勲章の授与式が行われるが、彼等の殆どが年老報奨金の対象になれるチャンスが与えられる。

勲章の推薦・授与は市・郡人民委員会の表彰指導員が担当するが、推薦の選考が進められる時に、優先して幹部たちが授与されるように下工作をして、「分け合い」の規則を適用するのが殆どだった。従って、大部分の上位幹部たちは、特別な過ちがない限り、定年退職に合わせて勲章が授与され、年老報奨金で安楽な老後を楽しむことができた。

しかし、このような文化は金正日の執権以降、具体的には90年代の「苦難の行軍」以降、大きく変質してしまった。つまり、金正日式の「一人忠誠主義」が拡散し、2000年代の物質万能主義まで加味されて、お金と物質に対する幹部たちの欲望は果てしなく大きくなったのである。「物質欲」が「名誉欲」を追い越したのである。特に北朝鮮政府の供給能力が低下して、「年老保障金制度」の実際の運営が中断され、例え運営されたとしても物価高騰のために、何の魅力もなくなった。

結局、幹部たちは2000年代以降、「お金」に向けて走り始めた。既にお金は権力の副収入ではなく、権力の主要動機に変わった。同時に、幹部たちの保身主議も目立って強くなった。

80年代の幹部たちの保身主義が「一切の過ちなく、停年退職しよう」くらいだったとしたら、2000年代の保身主義は「上級幹部に憎まれないのなら、何をしても良い」という形の積極的な日和見主義に変わった。国家の法や道徳の遵守は既に考慮する対象ではなくなった。上級幹部だけに問題視されなかったら、あとは「自分の能力」次第だった。

このような理由のため、2000年代以降、北朝鮮の幹部たちの麻薬、密輸、公金横領などの個人経済の不正腐敗は急激に増加した。幹部たちの不正腐敗が増加するにつれて、上級幹部に対する依存度と忠誠心は更に強くなった。信じられるのは、結局、上級幹部しかないからである。

幹部たちの保身主義と不正が蔓延したことを受けて、政敵を除去したり政治的な犠牲の羊が必要な時も、「不正と腐敗」が定番メニューとして登場するようになった。

2009年11月30日の貨幤改革の失敗責任を問われて、2010年3月に銃殺されたパク・ナムギ労働党財政経理部長には、「貨幤改革直前に予め情報を側近たちに流して、旧貨幤を大挙処分してドルを確保するなど、違法で個人財産を増やした」という罪目が加えられたことが代表的な例である。

しかし逆に言ったら、幹部たちの保身主義のために、最大の被害を被っている人は、正に金正日である。上級幹部だけに従って、お金だけでも沢山に集めようとする幹部たちが、金正日の指示を真心誠意執行するわけがない。結果的に、保身主義に夢中の幹部たちは、「首領の権威」を深刻に毀損する。また、このような幹部たちの不正腐敗理が人民たちに暴露されたら、住民たちの反発が金正日を向けられる。


今まで金正日体制維持の為の主要動力だった幹部たちが、今や金正日権威を崩壊させる害虫の役割をしている。予想されたブーメランである。但し、20年以上に渡って保身主義で訓練された北朝鮮の幹部層が、何時、金正日に背を向けるかは非常に興味深いテーマである。唯一明らかな点は、そのクリティカル・ポイントが急速に近付いているということである。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010年08月23日 17時46分05秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

お気に入りブログ

・ お得な情報 |[… New! スティッキー少尉さん

文鮮明総裁自叙伝よ… New! 自称ルポライターtomy4509さん

アジア大会バレーボ… New! 業績向上ナビゲーターさん

ネットドランカーの… にっし~~さん
吉田明彦 nipponaikokuさん

コメント新着

xrqvemor@ viagra generic jn ol cheap viagra viagra 100mg <a href=…
sducxmor@ buy viagra ju lt cheap viagra generic viagra <a hre…
dmoxvmor@ viagra online ol wh viagra 100mg cheap viagra <a href=…
小学生@ Re:シベリアの北朝鮮伐採工、彼らは獣だった(09/01) VICEで北朝鮮のシベリアの木材工場キャン…
Xlidaghli@ EHlaidhe Hi, nice article. Check the latest six…

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: