このカードの決済機能「Tap N Go」を試すために、彼はスキャナーの前にカードをかざした。ビープ音がしてスキャナーが起動し、「認証しています……」というメッセージが液晶画面に表示された。
それで十分だった。決済を終えることなく、彼はカードを地面に置き、ハンマーを取り出してたたきつけた。
「2~3回強く打ち付けてやった」と彼は言う。
無線チップを組み込んだこのPayPassカードは、完全に機能していた。ほかの企業もこのようなカードの独自のバージョンを提供している。Exxon(SpeedPass)、American Express(ExpressPay)、VISA(Contactless and Blink)などがそうだ。各社のカードはそれぞれ小さなアンテナの付いた埋め込み型電子チップを使っている。このチップはスキャナーにかざされると、無線信号を介してユーザーの口座情報を送信する。カードをかざすだけで購入金額が自動的に口座から引き落とされる。