MESSAGE

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February 5, 2004
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カテゴリ: その他




 一歩一歩を踏み出す度に、何処か・・・懐かしい我が家への
帰路を歩んでいるかのような感覚が、僕を包んでいく。
 険しいはずの石段を駆け上がりながら、身体は弱音を吐くように
息せき切っているのに、心は不思議なほど期待で高鳴っている。

―どうして?

誰にともなく問い掛ける。
勿論、答える者なんかいない。

―この先に何がある?
 勿論、そんな事は知らない。
 それでも僕は雪が敷き詰められた石段を、
時折転びそうになりながら駆け上がっていた。

―何を求めて、この地に来たのだろう?
・・・・呼ばれているような気がした。
遠い昔に置き忘れたものを、探しているかのように。
 いつかこの指の隙間から零れ落ちてしまった、雪のような雫を・・・。

「・・・ふう。ようやく着いたか・・・・」

一息入れようと吐き出した白い息が、風に流されて大気中に霧散した。
(・・・・いい町だな)
 それが率直な感想だった。

『四季ヶ紫町』・・・・か。

電車から降り立った僕を出迎えたのは、
どこか既視感(デジャヴュ)に似た感覚。
 いつか・・・遠い昔に来た事があるかのような想いすら抱かせる、
雪景色の町。
 どこか古臭さを感じる―そういう言い方をしてしまえば悪口に聞こえてしまうかも
しれないが、それは優しい風土を宿しているという事だ。
 素朴な風景は人の心を穏やかにさせてくれる。
 田舎町の情景は・・・在りもしない記憶を引っ張り出すかのように、
懐かしさを覚えさせる。

僕の名前は、河東錬。
 画を描く事を生業としている。
 この町に来た目的も、素朴な田舎町の情景に
モチーフを探す為だ。
 ・・・と言ってしまえば、聞こえはいいんだけど。
本当は、田舎町を書くのが好きなだけで・・・。



 「本当に、いい町だ。」


END


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++

別に連載ではありません。
すいません。

短いけど、情景が上手く書けた作品だと
思います





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Last updated  April 12, 2004 09:50:20 PM
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