カーニバル ポルトガル語でカルナヴァル(Carnaval)。カトリックの謝肉祭のことで、カーニバル自体は世界各国のカトリック文化圏で行われている他、ブラジル各地でも行われている。もともとはポルトガルの謝肉祭・エントルードがブラジルに渡ったものであるといわれる。リオのカーニバルは派手で規模が大きいので特に有名で、開催時期は世界各国からの観光客を集める。復活祭(イースター)を基準に太陰暦で日程を決めるため毎年開催日程は変動するが、だいたい2月の中旬から下旬になることが多い。なおカーニバルといえば真っ先にサンバが連想されるが、サンバ以外にもマルシャ(ブラジル版マーチ)やポルカなどもある。サンバの場合、ファンタジアと呼ばれる華やかな衣装を身に付けサンバを踊り打楽器隊などによる演奏や歌で行進する。4日間行われ、開催中は世界各国から見物客が集まる。いわゆるリオのカーニバルとして知られているのは、マルケス・ヂ・サプカイ通りにあるサンボードロモ(サンバ会場)で行われるコンテスト形式のパレードである。ここで行進するサンバチームはエスコーラ・ヂ・サンバ(葡: Escola de samba、直訳:サンバの学校)と呼ばれる。なお「学校」はジョークで名付けられたもので実際はリクリエーション団体の傾向が強い。そのため多くの団体はグレーミオ・ヘクヘアーチヴォ・エスコーラ・ヂ・サンバ、略称:G.R.E.S.(~チーム名)と冠がつけられ一般的にはチーム名で呼ばれることが多い。なお日本ではこれらを総称してエスコーラと呼ばれる。これらはリオ市や隣接する他の市に点在する地域を代表するサンバのコミュニティーである。パレードはコンテスト形式になっており審査が行われる。有名なサンバ団体を挙げるとベイジャ・フロール、ポルテーラ、マンゲイラ、インペリオ・セハーノ、サウゲイロ、ヴィラ・イザベウ、ウニードス・ダ・チジュッカ、ウニアォン・ダ・イーリャなどでどれも歴史的なサンバの名手(Sambista、サンビスタ)や曲を生んだエスコーラである。他にも沢山のエスコーラが存在し順位や優勝を競っている。今日、世界に誇るリオ各地域の市民による手作り文化の結晶として光り輝いている。リオのカーニバルは1959年公開のブラジル・フランス合作映画『黒いオルフェ』の背景舞台にもなっており開催前の人々の準備ぶりや浮かれ具合、当時のカーニバルの様子などうかがい知ることができる。オルフェウ率いる架空のエスコーラもあれば本物のカルトーラ夫妻やポルテーラ、マンゲイラ、インペリオ・セハーノもチラリと登場する。1999年公開のブラジル映画『オルフェ』は現代のリオを窺い知ることが出来る作品。リオのカーニバルのトップリーグ、Grupo Especialに出場するエスコーラのパレードテーマ曲集は毎年日本の輸入盤扱いのある大型CDストアなどでも手に入れることが出来る。カーニバル後にはその年の模様を収めたビデオテープ(近年ではDVD)も発売されている。なおリオのカーニバルが観光化・商業化が進むとそれに嫌気をさしたりエスコーラの内紛などによりカンディアやカルトーラ、メストリ・マルサルなどの著名サンビスタがエスコーラを去ったケースも多い。またいくつかのサンバコミュニティーがファベーラと呼ばれるスラム街に拠点があることなどから、賭博や麻薬取引との関係も指摘される。またカーニバル期間中はリオ・ブランコ通りなどをはじめ、各所でエスコーラより小規模であるブロコやコルダゥンと呼ばれる各チームがパレードを行う光景も見られる。 2011年2月7日、リオデャネイロのカーニバル用の用具を制作する施設が集中する地区で大規模な火災が発生し、同年のカーニバルに使用予定の山車及び衣装多数が焼失するという事態が発生した。