『イッツ・オンリー・トーク』



主人公の優子は会社を辞め、絵で生計を立てている。
理由はわからないが、精神病院にも入院していた経験がある。
そんな優子にもほんきで話せる親友がいたが、交通事故ですでに他界していた。
そのためなのか、彼女は男に無造作に抱かれる。

セックスは会話の前戯だ。
いや、セックスだけでない。
「変態だろうがEDだろうが二人が会話のできる気持ちのいいこと」に彼女は飢える。

会話のできる相手とはセックスはしない。
セックスへの衝動(リビドー)を押える(あるいは吐き出させる)ためにセックスする。
リビドーは普通の会話の邪魔になる。
彼女が欲しいのはそんなあたりまえの普通の会話だ。

でも男はこだわる。
セックスがリビドーのただのはけ口であることに激しく抵抗する。
そんなの意味が無いことだよと優子にいくら諭されようとも。
それがおとこのぎりぎりのプライド。

優子はリビドーを素直に受け入れる。
痴漢との行為は愛情を伴わないが、普通の会話を楽しむために彼女にとって必要不可欠なものとなる。
痴漢はそれを楽しむフェチだ。
そこにはけちなプライドも、下手な言い訳も存在しない。

セックスがタブーとなることでゆがめられたリビドー。
普通の会話をするためにそれを解放させる優子。
しかし自分のリビドーを解放してもらっておきながら、そんな優子を理解できない男たち。
結局彼女が望む「会話」はセックスでは得られない。
男の欲望と欲動の振子に振り回される優子。
いや、振子を振ったのは彼女だ。
結局、本当の愛を信じていたのはまぎれもなく優子だったのではなかろうか。


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