『蛇にピアス』



主人公のルイは19の女の子。
スプリット・タンに憧れ、舌にピアスを仕込む。
ルイは一つ年下のアマと同棲している。
とはいえ、彼の年齢を知ったのは彼が殺されたあとだ。

舌ピをはじめ、背中への刺青、アブノーマルなセックスと彼女は自分の身体をいじめていく。
そこにしか真実がないかのように。
身体の形を変えていく。
それによって自分が他人に「所有」され他人を「所有」する。
「所有」してもされても、身体ごと飲み込まれるのであれば、行き場を失うことなどない。
そう考えなければ生きていけないほど、世の中は乾いている。

しかし、アマの死を持ってそれすら幻想にしか過ぎないことを思い知ることとなる。
生きるということは生かされることではない。
たとえそれが思想であれ、身体的特徴であれ、社会であれ。
アマの死で彼女は初めて自分の存在の重さ(あるいは軽さ)を自分自身で自覚する。

舌ピの穴は、大きくなり、あとは先っちょを切ってしまえばスプリット・タンの完成だ。
でも彼女は切らないだろうし、埋めることもしないだろう。
肉体的に形を変えることに意義などなくなったのだから。
彼女はその穴とともに生きてゆく。
すべての存在をその穴で飲み込みながら。。


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