December 27, 2003
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カテゴリ: そのほか
「発音が訛っていたとしても、音符通りに正しく歌っていれば良い。」という事は日本語訛りで西洋語の西洋音楽を歌う場合、現実にはあり得ません。

 イタリア語訛りのドイツ語や、スペイン語訛りの英語、など西洋語同士の訛りであれば音符が変わってしまう心配はほとんどありません。でも、日本語訛りで西洋語の歌を歌うと楽譜の音符が変化してしまいます。極端に言えば「日本語訛り」では作曲家の持つ意図や原曲のニュアンスや音楽を変化させて歌ってしまう、とも言える、と思います。

その原因は日常使われる文字に起因する、伝統的に日本語が持つ独特の音楽(リズム)に有ります。

例えば、
「ジングルベール、ジングルベール」と歌えば以上で音符は最低で12個必要です。「ー」(拗音)も入れれば14個になります。(試しに数えてみて下さい。)でも"Jingle Bells, Jingle Bells"と歌えば必要な音符は最低6つですみます。(但し、正しく発音できればの話。)英語が正しく発音できない場合は無理に「ジングルベール、ジングルベール」と歌うよりも、「神宮べー、神宮ベー」と歌った方がずっと英語で歌われるノリに近いと思います。

また、
ベートーヴェンの第九の合唱の出だしの場合ですと、
Freude!とちゃんと発音できれば、音符は2つ。でもきっちり「フロイデ!」とやってしまえば、音符は4つになっているはずです。この場合も関西弁の「ほぃで!」の方がリズムは合いますが、、何だか雰囲気としてずっこけてしまいます。

でも、まだこのあたりだと「カタカナ歌い」でもさほど大きな影響は無い(?)とも言えるのですが、、。


”Sicut erat in principio"この部分の歌詞に最低必要な音符は8つですが、バッハは12個の音符で書いています。
でも「シクットエラットインプリンチピオ」と歌ってしまえば19個の音符(促音は除く)が必要になります。しかもこの箇所は速いテンポで16分音符で歌わないといけません。本来12個の音符の所を19個の音符に分割すれば32分音符の部分が必ず出て来てしまいます。しっかりとした認識の上に相応の日本語訛りを取る訓練をしなければ歌える場所ではありません。オーケストラともずれてしまいますし、テンポも遅れてしまいます。そして、これは実際に経験すれば良くわかりますが、"Jingle Bells"や第九に比べると、日本語訛りがバッハの音楽の「ノリ」に及ぼす影響はとても大きなものがあります。

これらのことは、文字に起因している言語の音楽(リズム)性が原因ですから、歌に限らずその例を挙げる事は出来ます。

ハンバーガー屋さんの名前にもある「マクドナルド」これは音符6つが必要です。でも、英語でMcDonaldと言えれば3つの音符で済みます。
以下(促音、拗音は除いて数えた場合)
「トランペット」は5つ、Trumpetは2つ。「ヘップバーン」は4つ、「ヘボン」でも3つ、Hepburnは2つ。「バイオリン」は5つ、Violinは2つ。「カップ」は2つ、cupは1つ。「アルプス」は4つ、Alpsは1つ。「デスク」は3つdeskは1つ。などなどいくらでも出て来ます。

もう、お分かりのように今まで書いてきた「音符」とは「音節」の事です。

ひらがな、カタカナで表音する日本語、とアルファベットで表音するヨーロッパ語の持つ音楽の違いがここにはあります。会話だと訛りが通用しても、歌だと致命的、という事は良くあります。

日本語は古来から音節文字の文化。西洋語は古来から音素文字の文化です。そして、その文化が今、この「現在」でもあり「現実」、そして「日常」なわけです。

好きな音楽を身近に感じ、気負いもなく付き合えたら素晴らしい事には間違い有りません。でも聴くことと、作り出すことには違いがあります。建築の中に住むことと建てること、更には料理の作ることと味わい食べることも、そして、音楽を産み出すことと聴くこと、その点では全く同じです。特に古来の伝統の流れの上に日本語を使い、そのうえで西洋の伝統の上にある西洋の歌を歌おうとする。違いを乗り越える経験や、それが無ければ技術的な訓練が必要なのです。

もっと他にもまだまだ日本語と西洋語の持つ音楽の違いはあります。でも、とりあえずはこんなところで。





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Last updated  March 13, 2006 12:33:53 AM
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