March 21, 2004
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カテゴリ: そのほか
【ぐだぐだと、、】
 これまでぐだぐだと日記に書いてきたのは、歌を歌う日本人の立場から、特にアマチュアで西洋語を歌う際にどういった壁にぶつかり、多くの人が苦しんでいるか、、といったよう事例をいくつか細かく具体的に書いてきた、とも言えます。「ひらがな・カタカナ」と「アルファベット」は、そもそも同じ表音文字といっても「音節」と「音素」という様にそれぞれ表記する発音の次元が全く異なっています。ですから、外国語を日本語でどれだけ正しく発音しようとしても、絶対に不可能。と言っても決して言い過ぎではないと思います。ましてや相手の言葉にもこちらの言葉にも地方の訛り、などというものまで存在するわけですから、、。


【外国語を仮名文字で、、】

 さて、色んな外国語の歌を一般の人やそこそこの器楽の人よりも、私ははちょっとは沢山歌ってきたつもりです。(もちろん遙かに経験豊富な仲間や諸先輩方は数多くいますが、、。)日本の素人さん達の苦心も少しは見てきました。その立場から言わせて頂くなら、外国語をどう仮名文字に置き換えるかは、大体合っていれば良いんじゃないでしょうか?という事です。

 つまり、仮名文字に成った時点でその外国の言葉は日本語になったのだ、と考えています。ですから、日本語で発音しやすく、皆が習慣になってしまえばそれで良いと思います。
 逆の場合を考えてみてもお互い様ではないでしょうか。様々な母語の人達によって、私たち日本人の名前も様々に好きなように(というか言いやすいように)訛って言われてしまう場合がとても多いです。また、別にそれが変だとも思ったこともありませんし、、。

 日本文字にした外国語は日本語。でも、その異文化の中に入ろうと試みる者、またはその異文化に敬意を抱いて接しようとする者ならばその原語で、絶対に厳格に発音を試みる事!これはとても大事なことだと思っています。


【誰を正せばよいか?】

 もし日本語で外国語を正しく発音しなければならないのだとしたら、、。もうこれは、個人の力ではどうにもならないのかもしれません。国語審議会か文部科学省に働きかけて日本語の文字システムや発音の習慣から変革する必要が有る、という事なのかも、、。私にそんな力は無いですし、、。




 と、思っていたら、久々に「はまる本」を読みました。鳥飼玖美子さん著の「歴史をかえた誤訳」(副題:「原爆投下を招いた誤訳とは!」)です。主に英語と日本語との狭間での様々なエピソードが書かれています。発音についての事ではありません。が、言葉の意味や習慣の違い、など数多くの文化差が通訳という立場を通して垣間見ることが出来ます。中身は是非読んでみて下さい。西洋語で歌を歌う人にとっても絶対におもしろい本だと思います。

 いくつか西洋語と日本語のずれでいつも引っかかっていることがあるのですが、この本から連想し、その中から思い出したことだけ適当(ほんと思いつきです。)に書いてみます。

【「牧神」対「恐慌」】

 サンポーニャという南米の笛にも似ている、牧神「パン(pan)」が吹く笛があります。その音はのどかで、柔らかく、暖かで、、といったイメージを持たれる方も多いと思います。でも、この牧神であるパン(pan)こそが、大混乱、恐慌、狼狽の原因なのです。”pan - ic”、パニックは牧神によって引き起こされます。だから、決して牧神の邪魔をしてはいけない!

【「妖精」対「妖怪」】
 妖精、ってどんなイメージでしょう、、。優しく、美しく、ときには滑稽なくらい愛くるしく、、。妖怪とは別物ですよね。妖精、妖怪、言葉が違うのですから、、。
 つまり、白雪姫の七人の小人やピーターパンに出てくるティンカーベルは妖精ですよね。で、ゲゲゲの鬼太郎やぬりかべやネズミ男は、妖怪ですよね。じゃ七人の小人やティンカーベルが英語で”fairy”だとすれば、ゲゲゲの鬼太郎やぬりかべやネズミ男は"monster"ですかね、それとも"ghost"ですかね、、?  どう思われます?。実は英語日本語の「妖精」と「妖怪」は英語ではどっちも”fairy”の範疇の様なのです(私の知る範囲、ケルトやグリムの民話の感じからして、、。)。
 特にケルトの昔話を読んだ方はもう既にご存じとは思いますが、”fairy”の機嫌の良いときが「妖精」で、”fairy”の機嫌の悪いときが「妖怪」だったりしますし、元々性悪の”fairy”が「妖怪」だったりもしますが、いつもは「妖精」なのに人間相手の時だけ「妖怪」になるやつもいます。
 逆にいつもは「妖怪」で、人間相手の時だけ「妖精」っていうのもいるみたいです。また、同じ人間でも相手を選ぶ”fairy”もいます。
 いいお爺さんにとっては「妖精」でも悪いお爺さんにとっては「妖怪」っていうのもいますし、その逆もあるみたいです。

【「"traditional music"対「伝統音楽」】

 という様に"traditional music"という言葉には日本語の「伝統音楽」という語には含まれていない意味も存在していますし、「伝統音楽」だと余計なニュアンスも引っ付いて来てしまいます。

 英語の"traditional music"方の意味は口承という手段による伝承、というニュアンスがもっと加わらなければなりません。また、そこには全てではないにせよ英語の"folk"(あえて「民衆」とか「大衆」とかには訳しませんが、、)という意味合いや、日本語の「民謡」という意味合いも加わって来ます。また「習慣」という意味合いはかなりはっきりと存在していると思います。

 兎に角日本語に訳せば、中身が入れ替わってしまうんです。でも、これは異文化である以上、絶対に致し方のないことだとも思っています。アイルランド音楽を紹介するとき、、「伝統音楽」「伝承音楽」「口承音楽」、そして"traditional music"、、私はこの4つを相手の状況に応じて使い分けるようにしています。(あと、「民謡」とも言ってますかね、、。?)



【、、で、どうなの?】

 ダブリンの空港に降りたったとき、若い男性に腕を掴まれて

と尋ねられました。私が
「いや。大阪から。」
と答えると彼は残念そうに
「何だ、、サムライみたいに見えたのに、、。」
「、、、、?(大阪は日本ちゃうんかい!)」

っていうお兄さんもアイルランドにはいました。ですから、日本で"traditional music"を「伝統音楽」と訳して誤解されようがどうだろうが、別に義理立てすることは無いんですけれどね、、。





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Last updated  March 22, 2004 01:07:35 AM
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