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Nov 14, 2014
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 お弓が涙ぐむ信虎を見つめた。信虎の躰が一回り小さく見える。

 頑固者で偏屈を絵に描いたような信虎が、人替わりしたように思える。

「お弓、ちり紙をくれえ」

 泣き終えた信虎がちり紙で鼻をかみ、背筋を伸ばした。

「河野、信玄に伝えよ。時は待ってはくれぬとな」


「それはいかなる意味にございます」

「信玄ならば判っておろう。一刻も早く関東から手を引き駿河を狙うのじゃ」

 老虎が再び覚醒したのだ。

「驚いたお方じゃ、よりによって今川家譜代の重臣を調略されるとは」

 河野晋作と小十郎が驚いて隠居所から去って行った。

「兵左衛門、そちも下がって休め。お弓に聞きたい事があるでな」

 信虎が脇息を廻し、膝前に据え肘を乗せた。

 小林兵左衛門が足音を殺し、座敷をあとにしていった。

 それを待っていたように、お弓が口を開いた。

「大殿、勘助殿はまことに討ち死なされましたのか?」

 訊ねるお弓の顔色が真剣である。

「お弓、まだあの ちんば に未練があるか?」  

 信虎が口汚く勘助を罵り、お弓の顔色を窺っている。

「あい、わたしが惚れたお方ゆえ未練が残ります」

 お弓が平然とした口調で返事を返した。

 信虎が魁偉な容貌を歪め、にやりとしお弓を見つめた。

「死なれてはわしが困る、奴は生きておる」  

 その言葉を聴き、お弓の顔に生色が戻った。

「何処に居られます?」

「そう急くな。今は内緒じゃが、そのうちに会わせてやる」

「本当にございますな」  

 念を押す、お弓に安堵の色が刷かれている。

「勘助はわしと武田にとって大事な男じゃ、恐らく信玄も承知の筈じゃ。

ところでそちに尋ねたき事がある、わしも心を引き締め尋ねる。そちも

隠さず、真実を語ってもらわねばならぬ」

 信虎が脇息から身を乗り出した。  

「そのように改まって・・・・何事にございます?」

 お弓がひたっと眸子を信虎の視線に合わせた。

 信虎が眼をしばたたき、言葉を模索している。それが態度で分かる。  

「実は、そちは内密でわしの子を産み落としたと聞いたが本当か?」

 信虎の魁偉な容貌が引き締まっている。

 突然の質問を受けたお弓が動悸を押さえ、信虎の顔を凝視した。

「本当なればいかが為されます?」  

 何故、大殿が知っておられる。その疑問が真っ先に過った。

「その子は何処におる?」  

「古府中の山本勘助殿のお屋敷にあずけておりまする」

「勘助に養育を頼んだのか」  

 信虎の相貌に形容できない不思議な色が浮かんだ。

「あの子は勘助殿とわたしの子、養育を頼むに不審がございますか?」

「うーん・・そちと勘助の子か」 

 信虎が半信半疑でいる。 

「お弓は一度も大殿を裏切ったことはありませぬ」

「それを信じろと申すか」  

「信じて下され。じゃが誰がこのような話を大殿の耳に」

 信虎がお弓を真っ直ぐに見つめ、自嘲気味に口許をひくっかせた。

「胤が尽き果てた、わしに子が出来る筈がないの」  

 お弓は真実を告げたかった。だが高齢の信虎に、これ以上の気遣いを

させる事に戸惑いがあった。

「その話をわしに告げた者は死んだ」  

 今度はお弓が驚く番であった。勘殿か?じゃが勘殿は死んではいない筈、

心の中で自問自答した。

「お弓、その子は男子(おのこ)か? それとも女子か?」

 信虎が訊ね、お弓の顔色を覗っている。

「娘にございます。今年で十二才となり、可愛い盛りにございます」

 お弓がしらっと返事を還した。こうした嘘は女の得意技である。

「判った、この話はうちきる。そちは甲斐に行け、わしの書状を持参いたし、

信玄に直に渡すのじゃ」  

「信玄さまに直にお会いしますのか?」

 これには流石のお弓も戸惑いを覚えた。

「そうじゃ、勘助無きあと誰が信玄に意見する。それはわしの努めじゃ」

「ただ書状をお渡しすれば宜しいのですね」

「それでは使者の努めが成り立たぬ、信玄の訊ねる事はわしに遠慮せずに

述べるのじゃ」  

「あい、判りましたぞ」

 お弓が破顔した。四十才を越えている筈であるが濃艶な色気が感じられる。

「大殿、今宵はご一緒に褥に入りますぞ」

「阿呆め、わしの年を知っておろう」  

「ただ、抱きしめて下され」

 信虎は寝床でお弓の豊満で張りのある乳房を愛撫している。既に己の

一物は全く用をなさなくなっていた。

 併し、お弓の暖かい手で ふぐり と一物の先端を柔らかく愛撫され、

微かながらも快感が、余韻となって背筋にむかって駆け抜けた。

「女子の躯は良いのう」  

 信虎がお弓の耳元に熱い吐息を吹きかけた。

 そう言いながら信虎はお弓の秘所を嬲っている。

(この女子はこの躰で勘助の子を産み落としたのか)

 そう思うと嫉妬に似た感情が湧きあがってくる。

「お弓はもう誰とも寝ませぬ、大殿の女として生涯を送ります」

 この言葉も殊勝に聞こえる。

「わしに遠慮はいらぬ。そちの躯はまだまだ若い」

 げんにお弓の秘所はしっとりと濡れている、指がそっと差し込まれ、

快感と共に吐息が独りでに洩れた。 

「もう一度聞くが、甲斐に居る娘はわしの子ではないのじゃな」

 お弓が、骨ばった信虎の躯をきつく抱きしめた。

 暫し黙したまま、お弓の狭間に指を這わせていた信虎が口を開いた。

「お弓、わしの考えを申し聞かせる。必ず信玄に伝えるのじゃ」

 お弓は無言で秘所を弄(なぶ)らせ信虎の言葉を聞いている。

「今後は尾張の織田信長が脅威となろう。奴の行動をみると得体の知れない

臭いがする。奴は必ず上洛を画策いたしておる」  

「あっ・・-」

 お弓が敏感な箇所をまさぐられ悲鳴をあげた。

「信長は三河の松平と同盟を結ぶじゃろう。武田の最大最強の敵は信長じゃ。

 松平家は三河、遠江、駿河と今川の領土を狙って参ろう。信長は美濃、伊勢、

さらに近江、越前を狙い、京の北方に勢力を拡大すると読む。今川家や北条、

上杉なんぞに、係わってならぬ。そう、わしが申しておったと伝えるのじゃ」

「判りましたぞ」  

 お弓が熱い吐息と一緒に返答をした。

「これから申すことが大事じゃ。石山本願寺と強固な軍事同盟を結べと申せ、

一向門徒衆の力は侮れぬ。彼等の力は日本全土に及んでおる。心して同盟を

なせと、信玄に伝えるのじゃ」

 信虎は語り終え、暫くお弓の躯をまさぐっていたが、微かな寝息をたて眠り

についた。

 お弓がそっと煙草の匂いのする、信虎の体臭の漂う寝床から滑り出た。

(お麻は大殿の娘です)

 と、夢路を辿る信虎にそっと囁き、部屋から消え失せた。

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Last updated  Nov 16, 2014 05:47:06 PM
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