山紫水明
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江戸伝馬町牢屋敷内の刑場に引っ立てられた罪人の顔に目隠しの布が掛けられ、首を落とす穴の上に頭が押しやられる。 刀を手桶から酌んだ柄杓の水で清める音を聞いて、罪人は緊張して首を縮めて震える。 「やめじゃ、本日の斬首はとりやめ」 罪人はその声にホツとして首肩の力を抜いた・・・ところへ、山田浅右衛門の刀がサッと振り落とされて、罪人の首が穴の底にゴロンと転がった。 頬かむりをした穢多が二人出てきて大八車に死体を乗せて運び出す。 井戸の脇で刀の血糊を洗い流している山田浅右衛門に男が近づいて懐紙に包まれた金子(きんす)を渡した。 スラリとした長身に切れ長の目、柔らかな物腰は歌舞伎役者のようだ。 「すまんな弾右衛門。壮胆丸を大奥中臈の松島様に届けてくれぬか」 「あいわかりました」 弾右衛門が大八車の死体の腹部を包丁で開いて肝臓を取り出し、焼酎の入った小さな甕に入れた。 中臈松島は人間の生き肝が女体の強壮である媚薬だと信じている。 江戸城不浄門の入り口で来意を告げると、間もなく女中が出てきて金子(きんす)を渡して甕を引き取った。 「おお、美しき男子(おのこ)であらせられますこと。名はなんと申す」 「弾右衛門と申しまする」 「弾右衛門・・・。私は松島様にお仕えするタカと申しまする。また、来やれ」 タカは開いている左手で弾右衛門の手を握ると場内に戻って行った。 ・・・穢多頭の弾右衛門20歳、身分を明かさなかった。 タカは地下役者くらいに思っているんだろう。 それから、たびたび弾右衛門は不浄門の門番に心付けを握らせ、タカとの逢瀬を楽しんだ。 ・・・ここから続くと、ちょっとヤバイことになっていくかなあ。 ドナイショ。。。。???
2011.02.25
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