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2009年01月13日
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カテゴリ: 患者さんとの交流
ここで時々書いている、「若造君」(直腸癌・男性・20代)から新年の挨拶メールが届きました。
私のブログをずっとご覧の方は、ご記憶にあるかと思います。
彼とのお付き合いは1年ちょっとです。

2007年の秋に、突然腸閉塞を起こし、直腸癌が判明しました。
開腹してみると、腹膜播種でストマを造設しただけで閉じる・・・という状態でした。

この時、
「入院中で電話が出来ないから母に電話させます、相談に乗ってください」
というメールが届きましてね。
お母様からかかってきた電話は、スゴク取り乱していて、涙交じりでした。

「うちの息子の場合はすごく悪いんです、どうにも手が付けられないんです、2ヶ月の命って言われたんです・・・」
と何度も言います。
「とにかく落ち着きましょう~!!」
と何度も叫んだ記憶があります^^;

その後、米村先生の元へきて治療が始まりました。
この間、抗癌剤の副作用で吐き気は当然のごとくありましたが、痙攣が起きたり、電解質異常が出たりで、厳しい治療でした。
食事に苦労が出て、高カロリー輸液での点滴が始まると、ここから感染症を起こして高熱が出たり・・・
何をやってもアクシデントが付きまとう

それでも彼は乗り越えて、手術出来るまでに治療効果が現れました。
手術前には、一度抗癌剤治療を止めて、期間をおく必要があります。
手術待機になったらなったで、あの辛い治療から開放される期間なのですが、開放されたらされたで、「その間に進行してしまうのではないか?」という不安がつきまといます。

と、この時もお母様から「泣き」の電話がありました^^;
再度「とにかく落ち着きましょう~」と叫んだような??
不安なお気持は当然ですからね、しゃーないので先生に「煽り」を入れときました

そんなこんなではありましたが、昨年5月に手術となりました。
当初、ストマを造設されたと聞いていましたが、普通にストマだと思っていました。

それが、彼の場合は小腸だったんです・・・
ストマとしか聞いていなかったので、これは想定外でした。
つまり、大腸殆どが癌で冒されていたという事なのだろうと、後で思いました。
大腸の一部であれば、切って繋げれば良いのですから。
それに加え、腹膜播種であったという事は、確かに大変な状態だったのだという事がようやくわかりました。

手術で癌は全て切除できましたが、その後、若造君は酷い下痢に悩まされます。
再発予防の抗癌剤の副作用もあったと思いますが、若造君の場合、大腸をバッサリ切っていますからね。
そういった後遺症でもあると思われました。
大腸を切除した患者さんは、しばらく、下痢と付き合わねばなりません。
その「しばらく」の期間がどれほどなのか、せめて、食事でコントロール出来るものになるようになるまで、どれほど時間がかかるものなのか・・・
全く、先の見通しがつかないまま、下痢との戦いが始まったのです。

昨年秋には、鬱状態とも思える内容のメールが届きました。
地元病院に入院し、体の回復を計っている時だったようです。
手術時に、米村先生の一言で全身に鳥肌が立つほど感動したとメールが届いてから、随分と時間が経っていました。

今の自分は、まるでトイレに行く為に起きているようなものです
とても、生きているとは言えません
元の体に戻るとは思っていなかったけど、もう少しマシな体になるかと思っていました
こんな生活が続くのなら、自分にとって「死」も仕方ないかもしれません
治療なんて、する気になれません


「誰とも会いたくなくて、友達とは電話もメールも完全にシャットアウトしています
メールするのも、ひろりんさんくらいです」

こんな事も書かれていました。
このメールに対して、私は何と返したのか・・・正直、記憶がありません。
ですが、それに対して返ってきたメールは

大好きな野球をやっている姿を、米村先生やひろりんさんに見せたいです
それが出来ない自分が悔しいし、情けないし、米村先生に申し訳ないです


こんな返事が返ってきました。
若造君は、あの時手術を受けなければ、今、いない人かもしれないと私は思います。
手術を受けたからこそ、永らいだ命だと。。。
その永らいだ命が、新たな試練を与えてしまった・・・とも言えます。
私と出会わなければ、無かった試練かもしれません。

癌の治療は、先ず、命を延ばす事に重点が置かれます。
どういう状態で生きるかは、二の次の重点なんです。
数年前のことです。
スキルス胃癌患者さん(30代・女性)が、ベッドの上にしか自由がなくなり、来る日も来る日も天井を見上げて過ごしていた方がいました。
何ヶ月もそんな状態で過ごしていたある日、お見舞いに行きました。
気の毒な状態だと思いました。
自分なら、死を望むだろうとも思いました。
ですが、彼女は言ったのです「死にたくないな」って。

「自分なら・・」と仮定して、相手の心情を推測する事がままあります。
ですが、それはやはり自分ではない。
これまでの人生も、環境も、価値観も、全く違う相手に自分がなれる訳がなく・・・
動ける人間に、動けない人間の気持がわかるはずもなく・・・
「自分なら・・」と推測することの無意味さを知りました。
どんな状態であっても、本人が死にたくない、生きたいと思い願うなら、それは叶えてあげる状態なのだろうと思いました。
生きているからこそ、「死にたい」とか思えるわけです。
死んでしまったら、そんな事すら思えません。
だから、先ずは生きる道を探して、それから好きな事を考える時間を作れば良い・・・
そう思っています。
それが、例え「死にたい」という思いであっても・・・訳わからず、いきなり何も思えなくなるよりは、良いのではないかと・・・


話が反れましたが、若造君からの新年メールは、随分と開き直ってました
アヘンチンキという薬を処方して貰ったら、下痢が治まってきたとか。
でも、その代わり嘔吐があるそうな・・・
高カロリー輸液の点滴を再開して、栄養面は何とかなっているようです。
抗癌剤治療も再開してました。
今は退院して自宅で過ごしています。

再発したら、それは仕方ない・・再発しない方が不思議なくらいなんだし、のんびりやっていきます
腸も、年単位で落ち着いてくれるのを待ちます
今年も宜しくお願いします!


と、元気メールをくれました
月末には米村先生の外来があるようなので、米村先生にまた気合を入れてくれるように言っておきましょ

先生はこれまた不思議な人で、先生の外来の後は元気になるって患者さんが多いんですよねぇ。
どんな手を使ってるんでしょうねぇ





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最終更新日  2009年01月13日 13時10分28秒
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