待ち焦がれて
金曜の夜 壁に無造作に付けられた時計
夜の九時を少し回っている
「はぁ…」僕はぐいっと背筋を伸ばした
友達に頼んで僕は配送会社の倉庫で荷物の仕分け作業のバイトをしている
それは今日突然思い付いて今日一日だけバイトさせてもらった
でも さすがに昼間のバイトをこなした後のだから…シンドイ
どんどんコンベアで流れてくる荷物を指定の場所に並べる 単純作業
だけど…この荷物意外と重いんだね
何とか十二時のバイトの終了時間を迎えた
手にしたのは一万円
僕はそのお金を手にコンビにへと向かった
「すいません ハイウェーイカードを下さい」
カードと僕のバイト代が交換された
土曜日 僕はバイト先のお得意様のレストランに予約を入れた
日曜日の昼の十二時で二人
それから 床屋で髪を切った
日曜の朝
十時ちょい過ぎ 彼女から電話
「今ね あなたの家に向かっているから」
「うん」
三分後 僕の部屋に彼女の香りが漂う
「あのさ これ」
僕は一枚のカードを手渡した
ハイウェーカード
彼女は僕に会うため片道1500円近くのお金を使ってやって来る
だから 少しでも彼女の負担を減らしたかった
今の僕に出来る精一杯のプレゼント
「ありがとう これあれば たくさん たくさん 逢えるよね」
言葉が僕の疲れを癒してくれる
「あ これ…」
がさごそと自分の鞄の中から一枚のＤＶＤを彼女は取り出す
【僕の彼女を紹介します】
「え？買って来てくれたの？」
「うん コンビにで見つけて あなた観たいって言ってたから」
「ありがとう」今度は僕がお礼を言う
十二時 僕らはレストランの二人席にいる
神様が僕らにサプライズなプレゼントをくれた
たまたま 今日 バイオリンとピアノの演奏会
静かで優しいクラッシクの調べが僕らを包んだ
【大根とゴボウのサラダ】
【野菜のスープ】
【山菜のパスタ】
【苺ショートケーキ】
【コーヒー】
僕は砂糖を一個入れた 彼女はブラック
映画の中の恋愛
僕らは並んで寝そべって
すごく悲しい場面では彼女は画面から目をそむけた
「何で観ないの？」僕
「悲しい場面は苦手なんだ…」
涙目の彼女は言った
腕枕の手に僕は力を入れて彼女の肩を抱いた
彼女の顔が曇る…
僕らの幸せの時間の終わりが来た
「ねえ…好き？」
少し目を伏せて彼女は言った
僕はその瞳に「大好きだよ」
僕らは幸せな時間を待ち焦がれて生活を送るんだ
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