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短編小説 彼女と私(事情編)
曖昧という言葉は、私の生きて来たこれまでの時間には、存在しなかった
言葉。何をするにもそれなりの理由とか、答えを持って自分なりに行動した
り、対応をしてきた。けど…それが本当に正しかったのか、自分でも良くは
分からない。
パシャ、パシャとリズミカルにシャッターを切る音と、フラッシュが休み
なく光る。カメラアシスタントは露出計を片手に忙しく動き、レンズの向こ
うからの注文に、熱い視線を放ちながら肢体をくねるようにモデルは、ポー
ズを変えていく。スタジオに据え付けられたフルレンジのスピーカーからは
『十字架上の七つの言葉』が流れている-恐らくカメラマンの趣味なんだろ
う。(ハイドンが好きなんて、かなりのクラッシックマニア)
久しぶりに、撮影現場に来た。新人の頃は、毎日のように来てたのだけ
ど…ここ何年かはデスクワークと、クライアントへの営業の日々を過ごし、
現場の空気に触れるのは本当に、久しぶりの事だった。
私は、ざわざわしているくせピーンと張り詰めている緊張感が漂うこの感
じが好きだ。
ここでの私の役割は、今回の仕事を依頼してきたクライアントの接待。接
待と言っても、簡単な進行状況の説明と、挨拶程度のもの。休憩時間ともな
れば、コーヒーを入れて周りのスタッフに配ったりもした。時折、顔見知り
のスタッフと雑談を交わしたりと。
本来なら、私のようなベテラン(自分で言うのも少々気が引ける)は、現
場に来る事は滅多にないことで、ここでの取り仕切りは、制作スタッフの仕
事。事前の打ち合わせである程度、進行状況を把握しておけばわざわざ現場
に来る必要はない訳。もしも、来る必要があるとすれば、何かのトラブルが
生じて、その対応に駆け付ける位のもの。
現場の立会いは、本来は営業部に配属されたばかりの新人が、現場慣れす
る為の研修のような物。それならばナゼ、私がここに居るのか少々疑問に思
うところだよね。
実話、今月末に私は、長年(?)勤めたこの会社を辞めることになってい
る。自分の仕事を全て後任の担当者に引き継ぎ、ほとんど会社ですることが
ない私に、部長が好意で(私はそう受け取った)与えてくれた最後の仕事。
三ヶ月前に退職の意思を部長に話したときにこんなやりとりがあった。
退職届を部長のデスクに置く。一応、筆ペンで書いてみたけど、悲しいく
らいの下手な字だ…。封筒の表には退職届と書き、裏には自分の名前を書い
た。北見春菜これ、私の名前なんだけどね。
部長は封筒を手に取りしげしげと見つめ。
「遂に北見も寿退社か」
「違います」私は素っ気なく答えた。
「制作の加藤と付き合っているんじゃないのか?-俺はてっきり彼と結婚す
るから辞めるのかと…」
「彼とはすでに終わってます(半年前にね)」
「ん?じゃあ…何で辞めるんだ?」
と。困惑した表情で私を見る。
「仕事内容とか、人間関係に何か問題でもあるのか?」
「問題とか、トラブルは全然ないですよ」
と。私が答える。
「それなら辞める理由は何なんだ?」
「両親が実家に戻って来いとうるさいので」まったくの嘘である。
今時そんなことを言う親は、ホームドラマの中くらいだ。
現実に私の両親は、自分たちの人生と娘は別物だと、切り離して考えてい
てくれる。早い話が、子供が独立した時点で、残りの人生は夫婦二人で気楽
に暮らしたいのだ。時々、受話器の向こうで元気な娘の声が聞ければ満足だ
と。
「ご両親も色々と考えて見えるだろうしな…。それに確か、君は一人娘だっ
たな」
「しかし…残念だな。入社以来、君の仕事振りには私は目を掛けてきたんだ
が…」
部長は腕組みをしながら少し考えている。
「退職届は受理しよう。君の後任が決まり次第に、仕事の引継ぎをしてく
れ」
「はい!今まで本当にありがとうございました」
私は深々と頭を下げた。
人間は、仕事を辞める時にその会社での本当の自分の評価を知るというけ
ど、私はまずまずのようだ。
ナゼ、そこまで自分を評価してくれる会社を辞めるのか、本当の理由を知り
たいと誰もが思うでしょう。-私には差し当たって会社を辞める理由がな
い。これ本当!
「あんた…。何考えてるの?」
「後先考えないで行動するもんじゃない!」
「考え方が甘いんじゃないの?」
「少しくらいは、我慢しろよ!」
沢山の意見お言葉ありがとうございます。まったく…説教のネタになるに
は十分な理由(?)でございます。
「とにかく、この仕事は続けたくない!」
と、思ってしまったから仕方がない…。色々と細かいプロセスが私の中
で、絡んで縺れた結果なのだ。
こんな思考の私のことをガキと冷ややかな目で見てくれても構わない。だ
けど…正直、私が今回のことで出した答えに対してわだかまりが在るのも事
実。
頭の中がモヤモヤとする…。
「しかし…困ったな」
私は腕組みをして呟いた。
久しぶりの環境に、私は戸惑いどう立ち回るかなどと考えていた。突然、
後ろから目隠しをされた。
「誰だー?」
この場で、こんなお茶目なことをするのは一人しかいない。
「えっとー…。誰かな?」
私は、わざととぼけてやった。
「何ー!分からないの?マジ!」
「冗談だよ。美加さんでしょ!」
「えへへーバレたかぁー!」-おいおい…。
後ろを振り向くと、中山美加がニコニコと子猫の笑顔で立っている。
「珍しいねー!春菜がスタジオに来るなんてー何年ぶり?」-ほら来た!
相変わらず、何にでも興味を持ちたがるのは彼女のクセ。-今回のターゲ
ットは私らしい。ちなみに…彼女の部屋にはどこで買い求めたか分からない
百科事典や、ハウツーものの本にあふれかえっている。
「部長からの業務命令だからね!ちなみに、五年振りです」
私は真面目な顔を作って見せた。
彼女の自慢のアンテナが『何か在るな!』と情報をキャッチしたらしい。
「ふーん…」
と。いかにも疑いの目の子猫さん。
別段、事情を説明しても良いかと思ったけど、彼女とはゆっくり話をした
いと思っていた。
「まあー良いか。ところで…今夜はお暇かしら?」
と。彼女。
「残念ながら、予定は真っ白ですわ」
と。私。
「じゃあ!久し振りに飲もうよ。いつもの場所で良いよね?」
私はうなずいた。
「後で、携帯に連絡するね!」
言い残すと、彼女は軽く手を振りクロークの奥へと消えていった。
正直、話す内容が重たかったから、どう彼女に切り出してよい物かと悩ん
でいたけど、彼女が先手を打ってくれたからほっとした。
残された私は、慌しく働くスタッフを横目に、パイプ椅子に腰掛てぼんや
り時が過ぎるのを待った。
その日の夜、約束通り私達は行き付けの洋風居酒屋で飲んでいた。
居酒屋と名前こそ付いているけど、店外にはオープンテラスがあり、店の
中は内装がモノトーンに統一されている。カウンターテーブルには大理石の
一枚板が敷かれ、とても高価な造りになっている。そのくせ、料金はリーズ
ナブルな設定で、会社帰りのOLに人気のスポットだ。四種類のイタリアン
チーズのピッツァは絶品!私は、情報誌に掲載する記事広告を担当したのが
きっかけで、ここの常連の一人となった。
私達は、カウンターの一番端に陣取っている。その場所は、ブラックライ
トに淡く照らされた熱帯魚が泳ぐ水槽が正面にあり、私達の定番の場所。
少し、中山美加の事を話そうと思う。
彼女の仕事は、スタイリスト。スタイリストと言っても、その仕事内容は
幅広く、彼女は、主にフォトモデルの衣装や小物、アクセサリーを撮影のコ
ンセプトに従って、トータル・スタイリングをしている。最近では、フリー
で活躍している人も多い。
彼女は、この業界でその実力を買われている人物で、もしも、フリーにな
ったとしても、十分に成り立っていけるのだけど…彼女はまったくその気が
ないらしい。今もモデル事務所の社員として、モデルカタログのスタイリス
ト欄に笑顔でおさまっている。
彼女と私の出会いは、まだ私が駆け出しの新人だった頃にさかのぼる。あ
る撮影現場で、チーフデレクターに紹介されたのが始まり。その当時は、外
注先のスタイリストさんとしか認識はなく、スタジオで顔を合わせても、軽
く会釈する程度だった。しかし、ここ数年で私の事を理解できる数少ない知
人の関係までに至った。
年齢も、私の三つ年上で姉のような存在で、プライベートな時間では「あ
んた」「姉さん」と呼び合う仲。
彼女は、テキーラ一瓶では語り尽くせないほどの恋愛経験の猛者でもあ
り、酒豪でもある。何時も二人で飲むときは、数品の料理をオーダーするの
だけど…彼女はそれにまったく箸を付けない。ひたすらにお酒を飲み続け
る。見ていて本当に心配になるくらい…。
「少しは食べながら飲んだら?」
と、言っても。
「お酒の味が変わるからいいよ」
と、お構いなし。-お手上げ。
以前にこんな事があった。
彼女と、その当時に彼女が付き合っていた男(何番目かは不明)と三人で
飲んだ時があるんだ。やはり、その時も彼女はひたすらにお酒を飲み、早々
と酔い潰れ、カウンターで夢の中の少女になってしまった…。残された二人
は、噛合う事のない会話を三時間後、彼女が突然ムクリと起き上がり、バー
テンダーに水をオーダーするまで、ダラダラとした苦い経験がある。
まあーそんな事は日常茶飯事で、私はそれぐらいの事で彼女との関係を考え
直すなんて事はない。本気で、彼女の自由な生き方に共感してるくらいだ。
彼女が三杯目のカクテルを飲み干す頃には大方、私が会社を辞める経緯を
話し終えていた。空になったカクテルグラスのふちを軽く指で弾いて、彼女
は四杯目をオーダーした。
私は、一杯目のキールをまだ半分も飲んでいない…。
「理由もなく会社を辞めるのって、やっぱり変だよね?」
彼女の横顔に話を続けた。
「だけど…これ以上、仕事を続ける気持ちが湧かないんだ」
「他の仕事がしたい訳でもないし…」
支離滅裂だ…。
彼女の前に四杯目のカクテル。ガルフ・ストリィームが静かに置かれた。
エメラルドグリーンのお酒を少し口に含んで、彼女は語り始めた。
「例えば、プラダの新作バックが発売されました。しかも限定!」
「あるOLは、毎月のお給料から少しずつ貯めた貯金を下ろして買うのね」
「ある女子高生は速攻、援助して買う訳さ!手に入れる過程は違っても、買う理由は一つ欲しいから!」
「あんたが辞める理由は、今の仕事に意欲が湧かないこと」
カクテルを二口で飲み干し。
「例えじゃないけど、それぞれの過程イコール事情が在る訳じゃん」
「ただ、あんたの頭の中では、その事情は曖昧で明白じゃない…。だけど、あんたの心は色々な事を感じ、頭に救援信号を出したんじゃないの?」
「あんたの今までの人生は、頭で考えて行動してきたんだよ。だけど、今回のケースは、頭が判断を下すより先に、心が答えを出してしまったから戸惑っているだけだよ」
「でも、あんた自身の気持ちをキチンと整理したいなら、しばらくの間は、保留にしとけば?何時か、新しい仕事を始めるときに、この仕事がしたかったから辞めたんだと思えば良いじゃん!」
かなり強引な例えとアドバイスだと正直思ったけど、私はその提案に乗る
ことにした。昔から、私の思い切りの良さは周囲に定評がある。
学生の頃など、試験で最悪な結果が出ても「次にがんばれば良い!」と、
すんなり気持ちが切り替えられた。言葉を変えて言うなら『諦めが早い』の
である。
とにかく、彼女のアドバイスに従い、しばらくは保留にしよう。幾分か
は、気持ちが楽になった気がした。
しばらくして、私達は場所を変えて飲み直すことにした。
美加の知人が経営する、朝の五時まで営業しているパブ。そこでの彼女
は、お酒の酔いも手伝ってか、自分の恋愛観を熱く雄弁した。彼女の熱気に
あてられてか、私も恋をするのも良いかなと、不覚にも思ってしまった。
時折、彼女は思い出したように「あんたらしく生きなきゃね!」と連呼し
た。
腕時計の針は四時を回っていた。夢の中の少女になりかけの彼女を連れて
お店を後に。大通りまで出て、タクシーを止めて乗り込む。
彼女のアパートが在る住所を告げて、私は窓の外を見た。夜も明けようと
している。薄い水色の空が、次第に明るい色に染まって行く。
横を見ると、私の肩にもたれ掛かり、彼女は気持ち良さそうに寝息をたて
ている。私はそっと、彼女の肩を抱きしめた。
「私らしく生きるか…」
これから、誰よりも早くて長い夏休みを迎える私に、彼女がくれた宿題か
もね。
私は、その横顔に小さく「ありがとう」と呟いた。
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