庄内しょうがなくない

庄内しょうがなくない

2022/03/25
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カテゴリ: 庄内の話し


この昔話は、短い話ながら、子どもには想像すらできない、
社会の仕組みとか大人の事情がある、何とも不思議な話だと感じていました。

なぜ、サルは村里を追い出されなければならなかったのでしょう?

なぜ、娘はサルに嫁いだのでしょう?

なぜ、サルは死んでしまうとわかりながら、桜の枝に手をかけたのでしょう?

こうして、話の途中から、聞き手の私が「なぜ、なぜ」を連発してしまうので、
その後、母はこの話を避けるようになり、語ってくれなくなりました。

以上のことから、
話の断片的な記憶を元に、話の筋から肉付けや心理描写など、
ほとんどすべてが、私の想像によるものですから、
一部、間違いがあるかもしれないことをお断りしておきます。
(今更でしょうか?)

※※※※※※※※※※※※※※※
〈話を続けます。〉

サルは直ぐに、事態を察し、美しい桜一枝を妻のために、
危ないと分かっていながら、言われるまま深い色をした湖の真上の枝先へ、
その先へと進むのでした。

サルは、今、折り取ろうとしている自分の姿が湖に映し出されて、
「はっ」としてしまいました。

バランスの悪い態勢で、
今にも折れそうな枝に手をかけようとしているサルが、そこにいたのです。

「まずい!」と思うと同時に、ポキリと枝が折れてしまいました。

サルは落ちそうになったのを、必死に食い止めたと思い、
別の枝に手をかけ、乗り移ろうとした拍子に、

折れた枝もろともに、湖めがけて落ちてしまいました。
「なんて、さふぁず!」

こうして、一途なサルの姿が、美しい桜の枝一枝と共に、
湖の底に真っ逆さまに落ちて行ってしまいました。

ドッボーン!ブグブグブグ、ブグブグ、ブグ…

その後、どれほど時間がたったか、わかりません。

湖に水輪も消え、何事もなかったように、水面は美しい桜を映しています。

この話は、サルが美しい山桜の枝を折ろうとして、命がけで桜の枝先まで、手を伸ばすが、湖に落ちて上がって来なかったという話です。

私の生家の近く七日台の麓に、年中水をたたえている用水池があり、
春になると、深い緑色の水面に桜の花が映え、この昔話にぴったりな所がありました。

この話の時は、そこをイメージして聞いていました。
以下、私の記憶による「サルの辞世の句」です。

※サル沢に落ちて命は惜しくなけれども遺りし子のお泣きやる
(合計31文字)

〈句の字数で切って、見ました〉
サル沢に落ち…7 /  サル沢に…5
命は惜しく…7 /  落ちて命は…7
なけれども5/ 惜しくなけ…5
あとにのこりし7/ れどものこりし7
子のお泣きやる7/子のお泣きやる7
   ↓       ↓
合計、33文字 / 合計、31文字

どう見ても、全体の意味や句の字数上、右側の方が腑に落ちるのですが、
残念ながら、幼児期とは言え、私が歌を正確に覚えていなかったことがはっきりしました。

このことを、知人に話したら、「サルが落ちる寸前て詠んた歌だから、
一句ごとの字数を数える余裕がなかったのちゃうか?
合計が合ってれば、ええのやないか?」と言うので。笑ってしまいました。

あとは、二句と三句ではないが、句跨り(くまたがり)をしていると考えてもいいのかもしれません。
左の句は、字数がオーバーしているので、どこか違っていると思います。

※〈口語訳〉
・サルの私は、あなたに言われるまま沼のような湖に落ちて、
こうして死んで行きます。

これは、決して、私の命が惜しいから、いうわけではありません。

でも、私が死んだ後で、わが子がこの事を知り、父の最期を嘆き悲しみ、きっと涙を流すことでしよう。

やはり、涙誘われる話では、あります。





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Last updated  2024/01/20 11:15:07 AM
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