アンコールが始まると、桑田さん自身の声でのナレーションが流れ始める。「流行歌。ヒット曲」という出だしで始まったその口上は、現代社会と流行歌・ヒット曲の関係、そして“大衆音楽作家”としての自分の役割を、冷静に俯瞰しているかのような内容。そして、次のような表現で締められていた。「Act Against AIDSの活動自体は2020年に終焉を迎えるが、世の中にはその他にもさまざまな問題が山積みとなっている。流行歌。ヒット曲。大衆と、ほどよくがっぷり四つに組み、新たな音楽を作り続けていくことを、私は辞めないだろう。そして、そうした問題にこれからも向き合っていこうと思う。平成三十年というひとつの時代の節目に、私はそう思いを新たにするのだ」。「人間の業(ごう)」を肯定した立川談志の落語の諧謔精神にも重なるメッセージだった。