魔女の隠れ家

魔女の隠れ家

2006年09月12日
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カテゴリ: 時代小説
宇江佐真理さんの『聞き屋与平 江戸夜拙草(えどよばなしぐさ)』(集英社)

聞き屋与平

(
集英社HPより)


両国広小路にちょうど背をむけるように建ち、商いをする薬種屋「仁寿堂」は、一度主人の遊び癖ともらい火で商いが滞った。主人が焼死、残った番頭とその息子が看板を譲り受け必死に働いて今の店を繁盛させた。

息子で今の大旦那与平は、長男に家督を譲り隠居してみたものの、幼いころから働きづめで友も趣味もなく暇さかげんに途方にくれていた。
そんなとき「誰か黙って話しを聞いてくれる人でもいないかね」と漏れ聞いた一言で、「 聞き屋 」を始めることに。

店の裏手の両国広小路に、占いのように机と腰掛をおき、「お話聞きます」と札を出す。昼は大変な人出だが、夜ともなれば人通りも少なく、それでもぽつりぽつりと客がくる。

嫁姑の愚痴から、お店の不満をこぼす奉公人、逃げた女房に対する嫉妬まじりの怒り、離縁されて残してきた子供への思い。そしてときたま過去の過ちをもらすもの。


そんな与平の客はだんだんと増えていく。
「お代はお客様のお志で結構です」

似たような話はあっても、どれひとつ同じではない話。そんな中には嬉しくなるような良い話も、胸を塞がれるような悲しい話もある。
一期一会と思っても、客のその先を案じてしまうような与平だったが、そんな彼にも店のこと家族のことで悩みが出てくる。

長男は本店、次男は同業にこわれて婿入り、三男には支店を任せている与平。兄弟仲はとてもいいので安心していた矢先、次男が出戻ってくることに。
そして「仁寿堂」の看板を譲ってもらうきっかけとなった大昔の火事を、今更掘り返そうとするうるさい地の岡っ引きにもまとわりつかる。

与平の聞いた話と自身の悩みをうまくあわせたお話でした。

人間って元来 話し好き だと思うのです。
「いや、無口だから」と云う方だって、他人とは話さなくても自分とは語りあっているはずです。
だからHPやブログをしている方が増えているのではないでしょうか。


人に相談するというのも、既に心でどうしようか決めているのではないでしょうか。口に出して人に伝えることで決心する。背を押してもらう。
言葉って不思議ですね。

私だってその話し好きの一人(笑)
「王さまの耳はロバの耳ー!」と叫びたいこともあるし、でも「こんなくだらないことで友達にいちいちメールしたり電話するのもな~」ってことも。
ときどき独り言呟いている自分にやばいと思うし(笑)




どこかしんみりとさせられて、でも変な予感にハラハラするような、そんなお話でした。
面白かったです。





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最終更新日  2007年10月02日 09時54分20秒
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