家庭保育室太陽

家庭保育室太陽

私は許しません


 今、この日記を書いている私のそばには、16歳の一人の少女がいます。14歳から夜の町に沈み、夜の町で暴力団員や、多くの中高年の大人たちに傷つけられ続けた少女です。それでも、一時の救いを夜の町に求め続け、ぼろぼろにされ、最後は覚せい剤を打ち込まれ、その幻覚から救いを私に求めてきました。

 私とのメール、電話での数え切れないやりとり。警察への自首。そして遠い九州の薬物依存症治療の専門病院での三カ月の闘病生活を経て、私のもとに戻ってきました。よく頑張ってきました。

 しかし、いま、拒食、幻覚、幻聴、手足の震え、ありとあらゆる覚せい剤の離脱症状が彼女を苦しめています。今も、私の横で震えています。それでも、必死にこの日記を見つめています。一字一句を。

 私がいま彼女のことを書いているのは、理由があります。彼女の願いだからです。「私のことを書いて。私の今の辛さを知って、覚せい剤から逃げる子が1人でも出たら、うれしいな。夜の町に近づかない子が増えたら、うれしいな」。そんな彼女も、いま、これを打っている横でちょっと涙ぐんでいます。

 私は、憎い。この少女を追い込んだすべての大人たちが。

 私は許しません。私は、明日から動きます。私の仲間の警察官や麻薬取締官、すべてを動かして、彼女を傷つけたすべての大人たちを追い詰めていきます。

 今、大人たちは、買春される少女たちを非難し、蔑みます。しかし、その何倍の何十倍の大人が、彼女たちをお金で買ったのでしょうか。本当に悪いのはどちらなのでしょうか。大人たちは、覚せい剤やいろいろな薬物を乱用した若者たちを、眉をひそめて見ます。しかし、今の社会が若者たちにとって、明日を夢み、笑顔で生きられる社会だったなら、果たして彼らのすべてが薬物に逃げたのでしょうか。

 大人たちは、リストカットを繰り返す子どもたちを責めます。でも、だれが彼らをそこまで追い込んだのか。

 私は、彼女を助けます。私の薬物に関してのすべての仲間たちの力と、私自身のすべての知識、そして、ありとあらゆる手段をこうじて助けます。

 彼女をここまで追い込んだ大人の一人として…。少女の笑顔がとても楽しみです。

 2004年11月4日





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