愈々庵気まぐれ日記

愈々庵気まぐれ日記

2019.05.09
XML
近所を散歩していて以前から気にかかっていた光景の変化に気が付いた。
右の赤い屋根の家も東日本震災以前は瀟洒な新築住宅だったが、地震で屋根が壊れ
以後ずっとそのままだったが、次第に木立に覆われて壊れた屋根しか見えなくなっていた。

瀟洒なデザインの洋館とぼろぼろの日本住宅。

連休前に音がするので覗いてみると敷地から道路や隣の空き地に大きく伸びていた枝を
業者が来て大掛かりな伐採をし1,2階部が見えるようになった。
玄関ドアもうずまっているということは最後はどこから出入りしていたのだろうか。
敷地内で屋根に覆いかぶさる枝は処分できないのかと昼休中の業者に聞いてみると
ここれ以上は手が出せないという。道路に面した地下式ギャレージの空積にも
車上を含めあらゆる種類のごみが詰め込まれており、以前からごみ屋敷であることは
明らかだったが今回枝が払われてみると敷地内はぎっしりごみで埋まっている。
それにしても近隣で一番洒落た家と一番汚い家が隣り合うのは奇妙である。



上の二枚の写真の景色が隣り合っている光景は異常だ。
隣り合うこれら2軒を見て思い出したのが黒澤明の1963年の映画「天国と地獄」である。


現今のテレビではスリラードラマ全盛だが50年前のこのモノクロ映画は映像処理で
鮮明化できれば今でも最高級ドラマであることは間違いない。
数々の黒沢映画で好敵手を演じた三船敏郎と仲代達也が富豪と検事役で共演している。


町工場やバラック住宅がぎっしり並ぶ下町と丘の上に建つ豪奢な一軒家、
犯人の住む下町からはカーテンの開かれた豪邸の様子は手に取るように見られていた。
一方豪邸に張り込んだ刑事達には犯人がいる下町は茫漠たる景色でしかない。


今でいうインサイダー取引で巨額の現金を隠し持っている成金社長の息子が誘拐された。
ところが犯人の取り違えで確保したのはお抱え運転手の子供だった。
社長は身代金に応ずる気はないがインサイダーをつかれて仕方なく犯人の指示に従う。
新幹線が走るのは1964年秋であり、この時代は特急「こだま」であるが
当時最新式で窓は開かない、ところがトイレの上の小窓は5センチだけ開く構造である。
そこで鉄橋に差し掛かった時その窓から河川敷に札束を落とせと指示があった。
この手法はその後のスリラードラマでよく使われる手法となった。

私はこの映画を1964年ボストンの映画館で見たがその時のタイトルは
”High and Low"であった。
「富豪」vs「貧困若者」、「丘の上」vs「低地」、「有名人」vs「庶民」、
「上から目線」vs「下から目線」など色々な捉え方ができる"High and Low"である。
映画の題名としてはオリジナルの「天国と地獄」より英訳の"High and Low"の方が
ぴったりのようである。
Weblio辞典によると"High and Low"には「身分の高きも低きも」「至るところに」、
また"Highs and Lows”には「栄枯盛衰」「人生の浮き沈み」などの意味があるそうだ。 
形容詞や抽象名詞に複数形があるなんて昔の英語では教わらなかった。

ごく最近「上級市民」という嫌な言葉がSNSで流布している。池袋での後期高齢者による
運転事故の当事者が「上級市民」であるために逮捕されないという若者の反応である。
法律上はそうなるらしいが庶民感情としてはスッキリしないことは事実である。
ただここでは「上級市民」に対する語は「一般市民」にとどまり「下級市民」
の語を見かけないのはせめてもである。

散歩の一風景から勝手な連想をしてしまった、「気まぐれ日記」に免じて許して頂こう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2019.05.09 12:26:15
コメント(0) | コメントを書く
[ふと心に浮かんだこと] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: