山歩き＆日々足跡（雑感）

無力（むりき）

・「病んだ心が宗教を求める」すべての人間は、死のキャリアであり、生まれた時から
　死という病のキャリアですから、その意味で病んでいない人などいない。
　健康な状態と病んだ状態をヘルシーとシックで分けてしまうのは、やはりプラグマテ
ィックな考え方だろうと思います。
・「自力と他力の間を往復する」
私自身、他力こそ人間が行くべき最後の境地だろうと思っています。自分の中にある
自力の要点と、他力を憧れる気持ちの間で、揺れ動いている不安定な感覚。
そこを「無力」と考えるようになりました。
・ブレない人などいるものか。
　物事を固定的にとらえず、時代とともにブレながら生きる。
　それが人間のあるべき姿ではないでしょうか。
・この世では、変わらないものなど何ひとつない。全てが、変転していく。
　仏教の考え方の中で、最も大事な無常。この無常観それが「無力」ということになる
かもしれない。
・自力か、他力か、考え方は両方あっても、現実はブレながら動くのだという認識を持
っていることが、この時代に非常に大事なことなのだと思う。
・「歎異抄」
　蓮如が本願寺の物置の蔵の中で、バラバラになっているのを見つけ出し、前後のつじ
つまが合うように、編集・書写したものです。歎異抄の原本というものはなく、今に
伝わるのは、すべて蓮如本の複製といっていい。
・親鸞には、現生往生の思想、人は臨終を待たずして往生できるのだという
感覚がある。
・人間の一生は、測りうべからざるもので、決まったレールの上を真っすぐに
進んでいくようなことはありえません。
・曖昧であるとを受け止める。
厳しい現実を知って無力感に落ちるのではなくて、辛いことであれ、曖昧なこと
であれ、はっきりとそれを受け止める。無力の第一歩を踏み出す。
・「人生は苦である」の意味
　人生は思うとおりにならないのに、何とか思うとおりにしたいと考え、恨み、怒る。
　その心の炎が煩悩であり、苦の原因である。思うとおりにならない世の中で、それを
悩み、苦しみ、怒ることを総称して「苦」とし、そこから脱却するために煩悩の炎を
鎮めるしかない。
・自力か他力かを超えた摂取不捨という考え方において、法華経と浄土真宗は共通して
いるようにみえます。仏はどのような人も見捨てない、あらゆる人は成仏できる。
　悪人といえども正しいおこないをしていれば仏になれる。
・無力とは「力ではない、ちから」
・明治政府は、権現や八幡大菩薩などの神仏混交を否定
・（日本人の宗教意識）私たちは、神と仏の間で揺れ動く存在
・浄土真宗では、迷信を否定するだけでなく大安や仏滅など仏教に由来する縁起にもい
っさい構わない。
・日本人は永久とか永遠という長時間のスパンで、ものを考えにくい世界に生きてる。
・長生きしたいから養生するのではなく、今日一日を生きるのが養生。
・キリスト教的な考え方をプラス思考とするなら、いつか滅ぼすべき自分を忘れず、人
間は自然の一部にすぎないという仏教的な考え方はマイナス思考でしょう。
・人には世を去る適齢期、逝き時、逝き頃というものがある。
・浄土真宗では、死は冥土という暗い黄泉の国へ降っていくのではなく、
　浄土へいくととらえる。
・マスメディアは百歳を超えても達者な一握りの幸運な長寿者を持ち上げ、過大に称揚
　します。それはあっちこっち悪くなって元気ではないほとんどの人達に不安と劣等感
　を抱かせます。
・長く生きるということが人間の幸せであろうか。最後まで健康で長生きして、ぽっく
　り死ぬなら幸せでしょう。けれど大事にされて逝ける人は極めて例外な存在なのす。
・「死」そのものを悪と見なす視点に立つ限り人間は常に孤独な存在。
　「死」という言葉から目をそむける感覚から自由にならなければなりません。
　「死」を不吉なものとしてなるべく直視しないようにする習慣から、もう脱出しなけ
　　ればならない。
・大勢の人が参列する通夜や葬式が少なくなってきて、家族だけの密葬が増えてきた
　ことも、カジュアル化の表れ、孫や息子夫婦や親戚に見送られて死んでいく必要も
　ない、ただ周囲の迷惑にならないよう、普段から準備をしておけば済む。
　それを孤独死とか、ことさら悲観的な扱い方をするのは間違ってはいないかと思う。
・親鸞は、浄土へ行った人間は行きっぱなしではなく、また現世に戻ってくると説き
　ました。
・他力という思想を中心に据えたのが、浄土真宗であり親鸞は絶対他力の境地に到達し
た大先輩である。
・他力を信じ他力に身を任せようといつも心に思っている。だけど自力を捨てることは
できない。しいていうなら力に頼らない無力ということです。
・無力というのは無力の状態を認識して揺れ続ける動的な生き方を肯定し、その中で何
かを目指そうとする、前向きで自在な姿勢です。

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