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2019.03.29
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テーマ: 法律(515)
カテゴリ: 法律
弁護士がわりとよくやってる,自己破産の申立なんだけど,これの事務手続きの遺漏で訴えられている事件がタイムズ4月号に載っていたので紹介したい。

​事案としてはおおよそこんな感じ(金沢地裁H30.9.13判例タイムズ1457号172頁)。
A社は破産することになり,被告弁護士に破産申立を依頼したのだ。
そこで,被告弁護士は原告会社を初めてとする債権者に受任通知を送った。しかし,原告会社から被告弁護士への債権調査票は,これが返送されなかったのか,郵便事故か,あるいは被告弁護士が紛失したのか不明ながら,被告弁護士は原告会社を債権者一覧表に記載しなかった。
色々な急ぎの事情もあり,被告弁護士は依頼から1か月ちょいという短期間で破産手続開始決定までもっていったものの,原告会社の名前が債権者一覧表から抜けていたため,管財人も原告会社に気が付かず,原告会社は破産手続きで配当を受けられなかった。
そこで,原告会社は得られたであろう配当相当額の損害賠償を求め,被告弁護士を訴えたという事案である。

これについて,そもそも原告会社は債権届を出したのか等いろいろ争いはある。
ただ,金沢地裁は「信義則上,申立代理人は受任通知を送った債権者に対しても,信義則上,明らかに債権を有しないのが明らかな場合を除き,債権者一覧表に名前を入れなければならない」という義務を認めている。
そのうえで,債権調査票が届いていなかったとしても,原告会社には1000万円以上の債権があるわけでそれなりに取引があるのだし,帳簿を分析すればわかったはずだ,として被告弁護士の責任を認めているのだ。


タイムズの解説によると,この手の事案は前例が見当たらないらしい。ただ,比較的にありそうな事件ではある。
きんざいから出てる『破産申立代理人の地位と責任』の目次を眺めていたけど,財産散逸防止義務の話だとか,そういう話はあるけど,今回のケースのような話はしていない。今後はこの手の,債権者一覧票からのも増えてくるのかもしれない。


破産申立代理人の地位と責任 [ 全国倒産処理弁護士ネットワーク ]


個人的な感想なのだけど,今回の破産会社の債権者は99名,負債総額約10億円というかなりの規模の事件である。
これをわずか1か月で開始決定までもっていくというのだから,債権額1000万円といえど見落としもありえるだろうな,と思わないでもない。

ところで,僕も破産申立の代理をわりとやっている方だと思うけど,一度,すでに配当も終わった事件の件で債権者である某社から問い合わせが来て,冷や汗をかいたことがある。
そのときは,僕じゃなくて某社が間違えて僕に電話かけて来ただけだったんだけど,それでも焦ったなものだ。
また,金沢地裁は同時に訴えられていた管財人の責任は否定したけど,ブログ記事が長くなるので割愛した。





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最終更新日  2019.03.29 14:11:00
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