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2020.10.27
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テーマ: 法律(494)
カテゴリ: 法律
2020年11月号の判例タイムズ1476号を読んでいたら,『身体に関する令状実務について(覚書)』という論文が掲載されていた。執筆は柴原和也裁判官。
タイトルに(覚書)とあるが,身体に関する令状実務について幅広く論じられており,非常に興味深い。
僕が司法試験受験生の頃は,身体に関する令状といえば強制採尿と血液採取くらい抑えておけばよかったのに,いまは「嚥下物の取り出し」だとか,「スマホのロック解除のための指紋認証」だとか,理論は進んでいる。
我ながら,スマホすらなかった自体に司法試験に合格してしまってよかったなぁ・・・。


判例タイムズ 2020年 11月号 [雑誌]

司法試験受験生なら,絶対に読んでおくといいと思う。とりあえず,備忘のために結論部分だけ簡単にまとめてみる。実務だと大事なのは結論だけ,となりがちだけど,受験生なら理論部分がなにより大事なので当然だが原文を読むべきであろう。
全部を紹介するのもたいへんなので,とりあえず僕が個人的に気になったのを3つだけ紹介しよう。 いずれも問題になった裁判例はないっぽい。 論文ではこの流れで書けば,数年後はともかく,現時点で間違いにはなるまいて。

・嚥下物の取り出し

覚醒剤入りのパケなんかを飲み込んだ場合などを想定。
(要約)
捜索差押許可令状でよいという見解が有力。実務的には,嚥下物が何かと確定するため,鑑定処分許可状も必要という見解が多い。
捜索差押許可令状でよいというのは,体外に排出されるもので,血液や毛髪のように身体の構成要素でもないから。ただし,尿のようにカテーテルで強制的に排出させることはできない。
(感想)
消化器官の一番下から採取する強制採尿に対し,一番上の口から取るものだということで強制採尿と似た論理構成のようだ。
カテーテルがダメなのに薬で嘔吐させるのはよい,という論調はよく分らん。より身体への影響が少ないからか?

・顔貌鑑定
(事案)
防犯カメラやドラレコの顔貌写真と,被疑者の顔貌写真を対比させるものを想定。
(要約)
身体検査令状で足りることになる。

(感想)
面割り写真なんかよりもずっと高度なことがなされているようだ。
じゃあ,あの面割り写真やら,人着(犯行時の服装写真)なんかはどうなっているのか,同意か身体検査令状なんかな。

・携帯電話のロック解除
(事案)
電話帳,日記,スケジュールなどをスマホで確認したい場合。

パスワードの自白の強制と同視し,黙秘権の侵害という考え方もあり得る。
黙秘権との兼ね合いからすれば,逮捕勾留されている必要はあるだろう。
身体検査許可状で行うことが可能であろう。また,被疑者が,対象スマホを生体認証で解除できるかという検証ということに合理性がある。
(感想)
「黙秘権の問題との兼ね合いからすると,逮捕勾留されている必要があろう」というのが意味不明である。
注釈を見ていると,カリフォルニア州の連邦地裁が,令状を用いても生体認証ロックの解除はできない,と判断しており,孫引きだが,理論に黙秘権を持ち出されると苦しいような気もする。
じゃ,「 生体認証ロックのないパスワード式スマホ使えば,黙秘権の関係でよくね? 」と思ったが,たぶんその場合はパスワードの解析されてしまうから,逃げ切れんのだろうなぁ・・・。


判例タイムズ 2020年 11月号 [雑誌]





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最終更新日  2020.10.27 09:44:13
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