たかたに社会保険労務士事務所

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離婚が成立したときの効果は?



【 婚姻関係が終了する 】
1.婚姻関係は当然に終了
 婚姻関係は離婚より当然に終了する(民法728条)
 夫婦の一方が死亡した場合、生存配偶者が婚姻関係を終了させる意思を表示したときも終了する(同条)

2.財産関係も終了する
 離婚後に相手が志望しても、相続権はない。なお、離婚の相手方が志望したことによる子供の相続権には何の影響もない。同居の有無に関わらず相続権がある。
【 離婚により氏はどうなるか? 】
1.旧姓に戻るのが原則
 結婚により姓を変えた者は、離婚により、当然に婚前の旧姓に戻る(民法767条)
 なお、離婚した場合、婚姻前の父母の戸籍に戻ることもできるし、申出により新戸籍をつくることもできる。配偶者との死別の場合、当然に旧姓に戻ることはない。配偶者がしぼうしたときは、そのままの姓であって、旧姓に戻りたいときは、特にその旨の届(復氏届)が必要
 また、子の氏と籍は父母の離婚により何の影響も受けない。旧姓に戻った母が親権者になり新戸籍をつくっても、当然にその戸籍に入ることはない。

2.婚姻中の氏を使いたいとき
 離婚により旧姓に服した者は、離婚の日から3箇月以内に、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を証する事ができる。
※ 三箇月以内という期間は絶対である。


【 復氏・結婚中の氏野継続使用の問題点 】
1.届出が遅れたとき
 氏の継続使用又は復氏の届出をする場合の問題点がある。
【1】三箇月を過ぎてから婚姻中の姓を希望したとき
 この場合、戸籍法107条1項の「やむを得ない事由によって氏を変更しようとするとき」の問題として、家庭裁判所に氏変更許可の申立てをしなければならない。
 この氏変更手続は、離婚に伴う場合だけでなく、広く氏を変更したいという場合に関する規定だが、同条2項による「名」の変更が正当な理由があればよいとしているのに対し、やむを得ない事由を条件としているので、容易な事では認められない。
 家裁では、三箇月の期間経過した場合の離婚者からの氏変更届が受理されたとき、やむを得ない事由の判断基準を緩和しているようにみえるが、期間の定めがある以上、甘い取り扱いをすべきでないという考え方もあるため、3箇月以内に届出をすることが肝要である。
 なお、期間を過ぎてからでも、結婚中の姓を名乗りたいときは、なるべく氏変更許可の手続をとるべき。

【2】結婚中の姓を名乗ったが、やはり旧姓を名乗りたいとき
 この場合にも、戸籍法107条1項による氏変更許可の申立てをして、家裁のやむを得ない事由があるかどうかの審理を受け、許可の審判を受けなければならない。
 この場合も、結婚中の姓の継続使用はむしろ例外だから、緩やかに解釈すべきという考え方がある。
 許可する例が多いとみられるが、姓の選び方に安易軽率な姿勢がうかがえるときは却下される例もある。

【3】氏変更申立ての動機
・旧姓に戻ったが、引き続き結婚中の姓を事実上、通称で使用している。
・旧姓よりも結婚中の姓が社会生活、経済生活の面で定着している
・養育中の未成年の子が姓の変更を嫌うので、親の方でこの氏に合わせたい
・離婚の事実を知られたくない
・このために結婚中のせいにしたが、親権者を前夫に変更し、子を夫の籍に入れたので、結婚中の姓を続ける実益がないし、前夫と同姓を続ける嫌悪感に耐えられないのでけじめをつけたい。
・前夫に悪用されたり、つきまとわれたり、嫌がらせを受ける
・前夫に反対され暴力を振るわれる
・身内が勧めるので
・やはり旧姓に復して気分の整理・転換を図りたい
・前夫の債権者から催促を受ける


【 子供の氏を変更したいときは? 】
1.裁判所の許可が必要
 子は父母の氏を称するのが原則(民法第790条)であるが、色々な原因で父母と氏をことにすることがある。最も多いのが父母が離婚して一方が旧姓に復した場合である。
 父母が離婚して、母が新しい戸籍を作り旧姓に復し、子の親権者となった場合でも、子は父の戸籍に入籍のままで、氏も父の姓のままである。
 そこで子が父または母の氏と異にする場合、子は、家庭裁判所の許可を得て、その父または母の氏を称することができる。(民法第791条)
 この場合・・・

・その子が15歳未満であるときは、その法定代理人が子に代わって家裁に対して氏変更手続ができる。なお、もし親権者を父として離婚したときは、母が監護者あるいは事実上引き取って養育していても、親権者の父が同意してこの申立てができない。
・子が15歳以上ならば、子の意思を尊重するため、子は自ら氏変更手続をすることになる。

 許可の基準は、「子の氏を変えることが子供の幸福と利益になるかという点」にあるが、父母の離婚により、現に同居中の親子の氏が異なったような場合は、原則として許可されているのが実情である。
※ 氏変更の許可審判が下りたら、許可審判書の謄本を貰い、これを添付書類として戸籍係に入籍届をする。届により、子は母の戸籍に入り、母子同姓同籍となる。

 子が15歳未満の時には、親権者でない親は、子に変わって氏変更の申立てができないので、片方の親権者に変わって申立てをしないとすれば、子が15歳以上になってから自ら申立てできるようになるか、又は親権者変更の申立てをしなければならない。(しかし、親権者変更は簡単には認められない)

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