タコ社長,オーストラリア・メルボルンのスローライフな日々

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タコ社長1952

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「バートの事、妬いてたの?それは誤解よ。彼はまだ子供よ。」
21歳になったばかりの私に、4つ年上のアメリカ人のジュディーが言った。私たちは、群馬県の赤城山にあるクリスチャンキャンプで裏方としてボランティアをしていた。1973年の夏のことだった。

バートは、私と身長は変わらないのに足が長い。みなで、近くの山に遊びに行ったとき、その歩幅の広さに感心させられた。付いて行こうとして難儀した。憧れのジュディーとバートが仲良く笑いながら歩いている姿に、場違いに妬けてしまった。バートはスティーブ・マックイーン張りの色男。私は、東村山から村を代表して参加しているような田舎者。いじけていた。同じなのは身長だけだった。

「タコと、ここでこんなに親しくなれて、本当に嬉しかったわ。」
黄色い半袖のニットのトップに、ジーンズのショーツ姿のジュディー。弾けそうなその姿態に自分の気持ちが浮いてつきまとう。場所がクリスチャンキャンプとかじゃなく、村の青年団の独身泊りがけの会、とかだったらとんでもないことを言い出していたかもしれない。十字架を見ながら、閉じない段ボールの蓋を無理に抑えるように自分の気持ちを隠そうとしていた。ところが、雲の上の天使が、手を触れることのできる所まで降りてきてくれている。

神様の御心ならば、また必ず会うことができるし、その先のこともきっとあるわ、と言い残してジュディーは8月の末に羽田からシカゴに向かって帰って行った。夢のような数週間が、甘ったるい匂いを残して消えていった。

「元気だった?赤城山、どうだったの?」
夏休み中に故郷に帰っていた好江が、南部鉄で作った小さな風鈴をお土産にして東京に戻ってきた。
「ちょっと、風鈴、遅かったね。」


基本的に、「二股は掛けない」公務員の家庭に育って、そのように幼稚園の頃から忠実にやってきていた。しかし、そのときばかりは掛かってしまった。すね毛の付いた二股膏薬が股の間を行き来しているような日々が始まった。9歳の時からの金髪好きが、このときは仇になった。もう40年近く前の話だから、濡れたわら半紙が乾いて染みを作ったような想い出ではある。

昔から、強く惹かれていて、実は今車の運転をしながら毎日聴いている歌がある。この歌の事は前にも書いたことがある。世界で最も身勝手な人の歌、と言ったりしている。

http://www.youtube.com/watch?v=n62cbBS1nKM&fea..


「二人の男に引き裂かれ」もしくは、「二人の男に股裂きに遭い」とか訳すといいのだろうか。どうしても、あの人しか埋められないものがあり、好きになってしまったの、みたいな歌。でも、あなたも私から去っていかないで。良いとこ取り人生。それぞれの、人しか埋められないものが50か所あったら、50人と付き合うことが許される、と拡大解釈できそうだ。40年近く前の自分を棚上げにしてちょっと言い過ぎたか。

私は、二人の男に惚れている訳ではないが、日本とオーストラリアを愛し、それぞれの国しか満たしてくれない部分を持って悶絶股裂きに遭っている。40年後のザマヲミロだろうか。

因みに、あの時のジュディーさんにはその後相手にされず、好江には翌年これ以上ないくらいずたずたにされて去られた自業自得。将来、日本からもオーストラリアからも相手にされなくなるようなことがないよう、広い気持ちをもって寛容にやっていきたい。やはり私の人生は一生勘違い人生なのかもしれない。


毎回、嫌でもこの緑の箱をクリックよろしくお願いいたします。
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Last updated  2010年05月29日 06時56分40秒
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