2002年03月20日
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昨日まで我が家には二匹の犬がいました


あの子がうちに来たのは、五年程前の事
それ以前にうちにいた子が老衰でいなくなって
2週間程の事でした
哀しいからもう飼わないといっていた家族だったのに
いない事に慣れなくて
あの子と今もいる子の二匹を貰ってきたのです
ついいる筈の空間に探してしまって

だからあの子たちに来てもらったのでした

私たちはあの子の2度目の家族でした
もう大きくなっていたので
私たちが与えた名前を覚えるのに時間がかかりました
お座りもお手も
頑張って覚えてくれました
最初の内は撫でようと手を頭の上に翳すと
身を竦めて怯える姿が哀しかったです
最初の家族から受けた心の傷が癒えるまで
少し時間がかかりました
我が家に馴染んで

そうして翳された手に怯えなくなりました
その手が与えたがっているのが愛情だと解ってくれました
手を翳す前からその手を求めて擦り寄るようになりました
遊んで欲しいと全身で訴えるようになりました

力は強いけれど

十分程の散歩が精一杯でした
構ってもらえるのが嬉しくて
はしゃぎ過ぎると苦しそうにしていました
それでも何年かは何事も無く過ごしてくれました
数ヶ月前、苦しんで悶えている姿がありました
しょっちゅう発作を起こすようになりました
病院に入れても何も良くなってくれませんでした
発作が起きると
何も解らなくなるようでした
頭を柵にぶつけて
顔を傷つけても解らないでいました
ただただ苦しそうに引き攣った声で鳴いていました
名前を呼んでも聞こえていないようでした
薬で発作が抑えられている時は
強い薬のせいで足許が覚束無いようでした
それでも撫でて欲しくて
あちこちぶつかりながら擦り寄ってきました
発作を起こすようになってから
独りでいるのをとても淋しがるようになりました
何かを恐れていたのかもしれません
絶えず私たちを呼んでいました
傍にいて欲しい
撫でて欲しい
顔を見せてとしょっちゅう鳴いていました

ごめんね
あんなに淋しがっていたのに
独りを心細がっていたのに
お前が求める程
総て与えてあげられなかった
お前が鳴く度に
僅かな慰めだけで
また後でね
なんてお決まりの科白ばかり
最後の約束は果たされないまま
まだ暖かかったけど
骸となったお前を抱いても
お前は喜ばない
どんなに撫でても
お前はもうそれを求めやしない
ごめんね
お前が求めたものを
私は与えてやれなかった
お前が望んだものを
私は叶えてやれなかった
ごめんね
お前がいなくなった淋しさよりも
お前が逝ってしまった哀しさよりも
自分のできなかった事に対する後悔ばかりで
身勝手な涙ばかりが流れてくる
もうお前は何も求めてくれない
あんなに求めていた時に
どうしてもっと愛してやれなかったんだろう
もうお前は何も享けとってくれない
ごめんね
後悔ばかりで
未だお前を悼んで泣く事もできないままで
ごめんね





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最終更新日  2002年03月20日 22時38分13秒
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