ココロ ニ アカリ ヲ・・

ココロ ニ アカリ ヲ・・

2004.08.17
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 照正は春奈の病室に入り、心が高校生に戻った妻を見つめた。
 妻は、右の手足を固定して吊るされた状態で眠っている。怪我は痛々しかったが、口元に笑みを浮かべて眠っている妻は幸せそうに見えた。
「本当に心配したし、おまえがいなくてたいへんだったんだぞ」
 照正は優しく話しかけると、汗をかいた額と首元をハンカチでそっとふき、病室の隅に椅子をもってきて静かに座った。
 照正はうとうとしながら10時まで、付き添っていたが、この日春奈は起きなかった。

 照正のアパートは、病院から大通りを5分程歩いたところにある。
 行き交う人々の声、車や電車の騒音は、照正の耳には全く届かず、暗いヌメヌメした洞窟をただただひたすら歩いているような感覚におちいる。
 事故を知らせる電話、悲鳴をあげたあの時の妻の他人を見るような表情、あどけない表情で眠る妻、睡眠不足でミスを連発してしまい怒鳴る上司の表情が照正の脳裏を駆け抜けていく。

 とにかく今日は何も考えず眠ろう。なるようにしかならないのだから。
 とにかく妻は生きていたのだから。







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Last updated  2004.08.19 10:29:25 コメント(3) | コメントを書く


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