たゆたひ

たゆたひ

アシアト


自分の足跡を見つめた

そりゃぁ、幽霊でもない限り
湿った大地を踏みしめれば
足跡くらい
簡単に残せるのだけれど

でもだからって
わざわざそれを振り返って眺めるのは
後ろを振り返る余裕のある人か
前を見つめる余裕のない人だけ

僕は今まで
自分の後ろを見つめるだけの
心のゆとりがもてなくて

ただがむしゃらに
前に進むことしか
心のバランスを保てなくて

だから
足跡をみつめることなんてなかったんだ

ただ
踏んだからそこにある
みつめる価値なんて
そこに見出すこともできなくて

でも
後ろを振り返って
そこに足跡があるということは

そこに
自分の通ってきた道があるということで

足跡を辿れば
自分の辿ってきた軌跡を見つけられるということで

それを見ている限り
自分は自分を見失わずにすむということで

とてもとても
安心できた

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