◆◆ 西郷輝彦さんの闘い ◆◆
西郷輝彦さんがお亡くなりになったことをニュースで知りました。
残念でなりません。
謹んで哀悼の意をささげたいと思います。
YouTube で自らの闘病記を報告されていました。
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西郷輝彦 緊急渡豪 前立腺がん最先端治療への道 第 2 弾 隔離編
西郷輝彦緊急渡豪 前立腺がん最先端治療への挑戦 第三弾 失速編
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ご冥福を心よりお祈りします。
ニュースや YouTube からしか、西郷輝彦さんの状態・状況・経緯は知ることはできませんが、
世界では、すでに標準治療になりつつあって、
有効であるというはっきりしたエビデンスがありながら、
日本で受けられない
PSMA
治療を、コロナ下、オーストラリアまで行かれて、挑戦されました。
素晴らしい効果が出ることを、祈念していました。
西郷輝彦さんの闘い、決して無駄ではありません。
無駄にはできません。
日本では、前立腺がんは死なない病気と喧伝され、
さまざまながんのなかで、軽んじられてきました。
前立腺がんにおける
PSMA
の診断・治療が世界中で注目を集め、可能となっている中、
日本で取り入れへの動きは、小さいものです。
ようやく広まりつつあった、地域の PSA 検診さえ、否定的な動きがみられるようになりました。
昨今、米国でも PSA 検査に懐疑的な空気があって、最近 PSA 検査を勧めない風潮がでています。
PSA が異常値だと、生検を勧められ、生検の副作用が問題だし、 PSA 検査で、大半の人で、生存期間の大きな延長が期待できないということで 、米国でも PSA 検査が減ってきている状況でした。
そのためでしょう、前立腺がんでなくなる方が順調に減ってきていた米国で、
PSA
検査が減った時点から、
転移性前立腺がんの患者数は増加に転じたという報告もあるようです。
前立腺がんは死なない病気でしょうか
前立腺がんは、放っておいてもいいのでしょうか
前立腺がんとの戦いが厳しいこと、
簡単ではないことは、
患者さんの皆さんは実感していると思います。
たしかに、前立腺がんが見つかって、病気の拡がりを調べて、
隣接臓器浸潤、リンパ節転移や遠隔転移がないステージ1~3だと、
5
年生存率は
100
%と報告されています(下の表参照)。
前立腺がんは死なないがんの代表といわれています。
しかし、下の表でわかるように、ステージ4でみつかったというだけで、急激に 5 年生存率は下がります。
食道がんと比べれば、良好に見えますが、
ステージ4(病期
IV
)でみつかった前立腺がん患者さんの全国集計での
5
年生きる確率は、
65.6
%
(病期 IV とは、隣接臓器浸潤、リンパ節転移や遠隔転移があるもの)
少し前の解析ですが、私
Uromaster
の病院での、
PSA100
以上でみつかった前立腺がん患者さんの
5年生存率は 約
50
%!
ほとんどの患者さんで骨転移がありました。
進行した状態で見つかった前立腺がんの寿命は
5
年と言っていい厳しい状況です。
ステージI~IIIの5年生存率が100%だとしても、
その先7年、さらに10年ではどうでしょう?
手術後再発し、転移を来し、様々な治療を受けた後の西郷さんが挑戦した
PSMA
治療は、非常に有望な治療法だと思います。
しかし、まだまだ分からないことも多いのです。
西郷輝彦さんの場合は、手術ができたわけですから、
前立腺がんと最初に診断された頃は、転移はなく、比較的早期だったと思います。
手術ができたのであれば、最初の病期は、ステージI~II、悪くてもステージIIIの前立腺がんだったのだろうと思います
前立腺全摘後
~10年の間に、再発し、転移を来し、内分泌療法(去勢術)はもちろん、様々な治療を受けたと推察できます。
転移性前立腺がんではなくて、根治治療がなされた後でも、
5
年経過していても、再発、進行、転移してしまう場合があるのです。
西郷さんは、 177Lu/225Ac-PSMA
治療を受けたようです。
日本以外の大半の国で、 PSMA
治療を受けることができます。
PSMA というタンパク質が、大部分の前立腺がん細胞で、発現しているといわれています。
PSMA 治療とは、この PSMA を標的に、放射線同位元素で攻撃して、治療する仕組みです。
西郷輝彦さんは YouTube で、転移の影は消えたと報告されました。
西郷輝彦さんは、
PSMA
治療を受けた時は、様々な治療がなされた後だと思います。
残された治療が、ほとんどない状況で、ここまで効果がでるのは驚きです。
ただ残念ながら、 PSA はやや低下したのち、再上昇しています。
PSA 480 ( 7/1 )→ 510 ( 7/29 )→ 800 ( 8/16 )
ここからは、私 Uromaster のあくまで推測ですが、
西郷輝彦さんの転移は、
PSMA
を発現している転移、
PSMA
を発現していない転移、
もしくは、
PSMA
発現が少ない転移
が混在していたのではないかと思います。
PSMA
の
発現が低い、もしくは発現がないがん組織が生き残り、進展、進行して
PSA
が上昇したのではないかと想像します。
PSA
が高度に上昇したことより、
PSA
が上昇しない神経内分泌がん(小細胞がん)への変化(NET化)
は考えにくいでしょう。
PSMA PET/CT では、 PSMA を発現していない前立腺がん転移部位は映し出されません。
FDG PET/CT や DWIB 法全身 MRI などの別の画像検査で、 PSMA の発現が低い転移部位がわかったかもしれません(これらの検査を行ったかどうかはわかりませんが)。
PSMA 治療の大前提は、 PSMA PET/CT 検査でがんが写ることです。
PSMA PET/CT
で写らないがんに対しては、
PSMA
治療は、うまくいかないでしょう。
PSMA 治療の問題点は、電子配信でも、何回か取り上げています。
PSMA
治療の前の段階で、
前立腺がんが、
PSMA
陽性だけの転移なのか、それとも陽性陰性の両者が混在しているのかを見極める必要があります。
PSMA
陰性の前立腺がんの再発転移であれば、
PSMA
治療の効果は期待できない可能性が高いのです。
混在していれば、部分的な治療効果となる可能性があります。
また、
PSMA
陽性だった前立腺がんが、
PSMA
治療後に
PSMA
陰性に変化したという報告もあります。
そういう意味でも、西郷輝彦さんの治療経緯には、
不謹慎かもしれませんが、非常に興味があります。
それでも
PSMA
治療は、
PSMA
を発現している前立腺がんには、強力な武器になることがわかりました。
様々な治療を耐え抜いた転移性去勢抵抗性前立腺がんに、 PSMA 治療は画像上の効果をはっきり示したからです。
残念なことは、 PSMA 治療で恩恵を受けることができる患者さんと受けられない患者さんがいることです。
まさしく、プレシジョンメディシンが必要です。
西郷さんの挑戦は、最終的には、成功しませんでした。
しかし、
『前立腺がんは死なない病気』、
『 PSA 検診なんかいらない』
などの風潮を、少なからず吹き飛ばしていただけました。
西郷さんの闘いは、無駄ではありません。
進行前立腺がんに対する治療の困難さを、身をもって示してくれました。
完治が今のところ困難な『進行前立腺がん』に対し、
このブログを読んでくれている前立腺がんの患者さんと、
そして私の患者さん達とも、
私
Uromaster
は一緒に戦っていかなければなりません。
前立腺がんはひとつの病気ではありません。
急激に進行するもの、ゆっくり進行するもの、内分泌療法などで完治にみえるものとさまざまです。
転移性前立腺がん、ステージ4でみつかったにもかかわらず、 10 年以上一緒に闘っている患者さんを Uromaster はたくさんみています。
今でも、一緒に闘っています(笑顔で)。
皆さんも、ぜひ、私 Uromaster を利用してください。
力の限り応援します。
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