◆◆ 前立腺がんに対する免疫療法 続々と期待できる治療が登場 ◆◆
近年、前立腺がんに対する免疫療法の進歩には
目を見張るものがあります。
実際にヒトに対する臨床試験が行われています。
標準治療になるものはというと、簡単ではありません。
まだ道半ばといった具合でしょうか。
しかし、
いくつか有望な、ストラテジー・戦略も出てきています。
<がん組織に対する免疫療法>
前立腺がんに対する免疫療法を考えるときに、
大きく分けて 2
つの免疫療法が考えられます。
1.全体の免疫力をアップさせる免疫療法
何かしらの方法で、身体の免疫力を上げてがんに対抗する。
人間の免疫機構は、毎日生じるがん細胞を、
見つけ、排除するといわれています。
免疫機能が落ちた人間は、がんの発生率が上がります。
特定のがんに対する免疫機構を賦活するというより、
身体を、中から強化して、免疫能を高めて、
がんに立ち向かおうという考えです。
例えば、
『丸山ワクチン』なども、「がん抗原特異的ワクチン」ではなく、
主として全体の免疫(自然免疫+細胞性免疫)を底上げすることで、
がんに立ち向かおうという『非特異的免疫賦活ワクチン』
と理解されます。
特定のがん細胞に効果があるという証拠がないため、
標準治療にはなりえていません。
巷には、全身の免疫力をアップさせるという触れ込みのサプリメントが、あふれていますね。
しかし、身体の免疫機構をすり抜け、
すでに十分増殖してしまったがん組織、がん細胞に対応し、
排除するのは、簡単ではありません。
ノーベル賞で有名になった、 オプジーボ
は、
各種のがんで、効果が認められました。
キイトルーダもそうですが、
免疫チェックポイント阻害薬の 1
種です。
がん細胞は、免疫機構をすり抜ける術を持っています。
免疫細胞の攻撃をする抜けるいわゆるブレーキを
持っているといわれています。
免疫チェックポイント阻害薬は、
このがん細胞のブレーキを外し、
再び攻撃できるようにする免疫療法
です。
但し、前立腺がん治療での,
この免疫チェックポイント阻害薬の効果は限定的です。
特殊な前立腺がん患者において効果が認められた薬剤です。
NCCN
ガイドラインでは、
転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者で
MSI-H
(ミスマッチ修復欠損) / dMMR
( DNA
修復異常)を
有する場合にキイトルーダが推奨されます。
単独ですべての転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に広く使う
標準治療ではなく,
生物学的特徴(
MSI-H/dMMR
)のある
サブグループで選択肢となる形です。
2.がん特異的免疫療法
さまざまな組織から発生するがん細胞は、
もともとの細胞が持つ性格や特殊なタンパク質(腫瘍抗原)を
もつことが、わかっています。
さ
腫瘍抗原(がん抗原)
といいますが、
最新の免疫療法は、この腫瘍抗原を標的にしています。
前立腺がんにもこの腫瘍抗原がいくつか見つかっています。
腫瘍抗原は、正常の細胞にはほとんどなく、
がん細胞にのみ発現・表出していることが理想です。
この腫瘍抗原に対する免疫療法が、
今のがん免疫療法の中心です。
がん免疫の理解が深まったことと、バイオテクノロジーの進歩が、
この腫瘍抗原に対する免疫療法を、可能にしつつあります。
今わかっている前立腺がんに腫瘍抗原は、いくつかあります。
免疫療法の候補としては、
PSMA
、 KLK2
、
STEAP1
です。
PSMA
もその 1
つですが、免疫療法ではなく、
放射線療法として、すでに標準治療として認可されています。
177Lu-PSMA
治療として、世界中で広く行われています。
ただ、患者さんそれぞれのがん細胞は、多様性に富み、
必ずこのこれらの腫瘍抗原を持っているとは限りません。
個人個人の、がん細胞の腫瘍抗原が、前もってわかれば、
その腫瘍抗原に対する免疫系、免疫細胞を、活性化することが、可能となります。
現在の前立腺がんの免疫療法は、
この点を突破口として、研究されています。
しかし、前立腺がんに対する免疫療法は簡単ではありません。
理由として、
腫瘍抗原が少ない
突然変異が少ない
ということがあります。
がん細胞に、正常な組織と違う、異物がたくさんあれば、
免疫系の細胞がそれを認識して、活性化され、
キラー T
細胞が増殖し、
これにより攻撃排除されるということになります。
しかしながら、前立腺がん細胞は突然変異が少なく、
免疫系が活性化されず、
キラー
T
細胞の増殖、誘導が
うまくいかないと考えられています。
そして、
がん細胞が、免疫系の細胞の活性化を抑える仕組みを持っていることが、考えられます。
<免疫療法の 2 つのルートと 4 つの方法>
免疫療法には 2
つのルートと、大きく分けて 4
つの方法があります。
前立腺がんに対する免疫療法には、標的が必要で、重要です。
腫瘍抗原(がん抗原)の候補もいくつかあります。
腫瘍抗原を攻撃するわけですから、がん細胞に存在して、
正常細胞にないものが、いい標的となります。
1.免疫細胞を体外に取り出し、キラー T 細胞を活性化増殖させて、体内に戻す方法
1) Sipuleucel-T
療法
2) CAR-T 療法
2.体内で免疫細胞を活性化させる方法
1) SYNC-T
療法
2) BiTE 療法
いくつかの臨床試験が、すでに行われています。
第 1 相で多発骨転移が消失したという報告もあります。
今年の 2
月と 3
月のまぐまぐの配信では、
『前立腺がんに対する免疫療法』
と題して、
最新の研究結果を紹介しています。
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