それは北京に住む王さん。
私がOLの時、私の勤める建設会社へ中国人研修生として1年間来ていました。
今北京はオリンピックの真っ最中。
土木の設計士である王さんも何かに関わっているだろうと、感慨深くテレビを見ています。
オリンピックの開会式のとき、北京市民がよくテレビに映っていました。
今まででもそうですが、北京のことがテレビでやっているとついつい王さんを探していました。
偶然王さんがテレビに映ることを期待して。
そんな偶然は滅多にないのでしょうけど、でもあの空気の中に王さんはいるに違いないと、とても懐かしく王さんを思い出しています。
いつか夢で王さんに会いました。
混雑した地下鉄の通路のようなところを歩いていると、少し離れたところに王さんが歩いていました。
私はたくさんの人を押し分け押し分け、王さんのところまで辿り着きました。
「どうしてここにいるの?」
と言う私は泣いていました。
私は王さんの手を取ってずっと握っていました。
ずっとずっととても会いたかったから。
* * * * * *
1年間の研修を終えた王さんとお別れした日。
会社のみんなが玄関に集まって3人の研修生の人たちのお見送りをしました。
お別れの数時間前、私は荷物をまとめてくつろいでいる王さんに会いに行きました。
これからすぐ後、もしかしたら永遠にお別れかもしれない、そういう現実味があまりにもありませんでした。
なので私はいかにも平気そうな顔をして笑ってばかりいました。
でもそれはお別れするのが辛くて気持ちを逸らしていたのでしょう。現実は憎たらしいほどあっけなく私の前にやってきました。
そして本当のお別れの時。
私は人目も憚らず泣きました。王さんも泣いていました。
そして、車が見えなくなるまで手を振って王さんたちを見送りました。![]()
今日は王さんを思い出していました。
王さんにもらった名刺を取り出してしばらく眺めていました。
今ごろ何歳になっただろうかと考えました。
そして気がついたことがありました。
元気に生きている保障などどこにもないなぁってこと。
あのお別れの時、私は疑うこともなく「またきっと会える」と思っていました。
でもそれは幻想でしかないですよね・・・
オリンピックで私が北京へ来るかもしれないと、王さんは私のことを思い出してくれましたか?