普通のワインを普通に飲むという事は結局ワイン通にとっての最後の挑戦なのだろう。勿論そこらへんのスーパーでチリシャルやカリ壁等適当に買って飲むという選択も有るが、それは余りにも野蛮で非文化的な行為だ。一番無難なのはここでも買いたように優れた作り手のレジョナルという線なのだが、時には少し冒険して百名山に登りたくなる。
という訳で今日の百名山ワイン。作り手に関しては前に書いたので割愛して、今日はこのクリマを切り口に。
Morey Chambolle と Gevrey に挟まれてかなり過小評価されているように思う。勿論村にある Clos de la Roche, Clos St. Denis を始め5つの GC は有名だが Morey の1級畑の良さは殆ど知られていない。確かに Lavalle は現在の GC 以外の畑は全て3級、4級と低位に格付けしているが、その後のボーヌ農業委員会の1860年の格付けでは現在の Roche と Clos St. Denis の直下にある幾つかの畑が特級格とされ、隣接する Latriciere Chambertin や Mazis よりも格上とされていた。その畑の一つが今日のワインのクリマの Millande だ。 Danguy et Aubertin ではこの畑は Clos St. Denis 同様に表土が少なく、歴史的にそのクリマの名前の由来となる millet (黍)が栽培されていたと記されている。 Robert Parker は歴史的名著 Burgundy の中でこのクリマを Bussiere と並んで Morey の一級の双璧と評価している。百名山に相応しいクリマと思う。このクリマの他の作り手では古参 Serafin も良いように思う。
さて、肝心のワインだが、これが中々に良かった。02ということもあり強いが決して過度ではなく、適度にこなれてしなやかさも有る。少し黒色がかかっているがすぐりのような酸味、適度な樽、ビロードのようなテクスチャーは Roche や Clos St. Denis に通じるテノールのような艶やかさ、官能も感じさせてくれる。だがこれらの GC にありがちな一辺倒にたたみかけてくるような強さは無く、程よい頃合い。バレルセレクション物だと思うが、流石にレジョナルとはちがう次元の楽しさが有る。中々の下山ワインだ。
百名山を探す旅、中々面白くなってきた。
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