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先週の土曜日は今年第一回の公開実験教室を催しました。
題して「染料は沸騰させない方が濃く染まる!?」
染める液を作るときにグツグツ沸騰させない方が良い色が出るんじゃない?っていう実験です。
今回使った染料は
・インド茜
・ザクロ
の二種類。どちらもミョウバンで媒染したのでそれぞれ、赤系の色と黄色系の色になりました。
まず、染料をそれぞれミルサーで粉々に砕きます。
これが結構大変なんですよね。
ボクがもってるのは普通の家庭用のミルサーなので、それなりの染料の分量を粉にするには何回にも分けないと
できません。
皆さんに手分けしてもらって茜とザクロを粉々に砕いてもらいました。
こんなかんじ。
右がミルサーで砕いた染料、左が普通の状態の染料です。
で、これに水を入れて火にかけるのですが、
普通の状態の染料は沸騰するまで
ガンガン熱くします。
で、沸騰したら弱火でボコボコ煮立て続けます。
かたや、粉状のものは、80度以上にならないように
火加減をアレンジ。75度~80度の間でキープできるよう火加減を
常に調節し続けます。
この、75度~80度に常に保ち続けるのが結構難しいんですよね。
そうやって、1時間煮て、染液を作ります。
その染液に先媒染した染めアイテムを入れて染めます。
で、また媒染。
最後にもう一回染液に浸けて、終了。
後は洗濯。
で、出来上がりがこれ。
うーん、画像ではあんまり色の差がわからないですけど、
低温で焚きだした染液と、普通に沸騰させた染液とでは色の濃さだけでなく、色目が違いました。
ザクロは、低温で焚きだした方が少し赤味がありました。
染液なんかは、低温で焚きだした方と沸騰させた方では
香りが全然違う。低音で焚きだした方が芳醇な香り。
染色とは関係ないかもなんだけど、
低温で焚きだした方がいろんなものが出てる感じが
プンプンでした。
濃度も、アカネもザクロもどちらとも低温で焚きだした色目のほうが濃い色に仕上がりました。
めでたしめでたし♪
何故低温焚きだしだと濃く違う色に染まるのか?
これは、植物に含まれている色素が、通常は
配糖体っていう形で入ってまして、この配糖体が壊れちゃうと水に溶けないものになる
ヤツがいるんですね。
水に溶けないと染色できない。だから、配糖体のままで植物から取り出したい。
でも、この配糖体って、温度によわいヤツが普通の
植物にも結構入ってて、沸騰でずっと沸かしてると
どんどん壊れちゃうらしいんです。
だから、配糖体が壊れにくい80度までのところで植物を煮出す。
でも、温度が低いとそもそも成分が出にくいので
できるだけたくさん出てもらうために、細かく細かく
砕く。
・・・とても簡単に申し上げましたが、ざっくり
そんな理由だそうです。
これは、木村光雄さんという大学の先生に
教えていただいたメカニズムなんです。
ほんとにこの方法で染液焚きだすと、植物によっては
グツグツ煮込んだときと違う色になったりもするんですよ!
いやぁ、ホント素晴しい発見だなぁ、なんて思ってたんだけど、
でもいろんな本を読んでると、これと同じことを
昔の人はやってるらしいんです。
前田雨城先生の「日本古代の色彩と染」によると、
-----
染液は、水に入れて待つ。一体となれば火を入れ、
境がとれれば保つ、治まれば分ける。
大方これなり。
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という、代々高倉家(皇族・貴族の装束を
担当していた家系)に伝わる染めの口伝
がありまして、
この、
“境がとれれば保つ”
ってのが、どうも沸騰よりも低い温度で
植物を煮出すことみたいなんです。
前田先生のお話しでは。
で、この“境”(すなわち温度?)というのは
植物によって違うんだそうです。
木村先生も、配糖体はいろんな種類があるから
植物によって壊れ易くなる温度は違うっておっしゃっておられたし、まだまだ
わからないことだらけです。
でも、代々皇族の染めに携わっている人が
昔から沸騰させずに色だししたほうが良い色が染まる、って知ってたのって、
なんか、やっぱすごいな、と。
この仕事してるとホント思うことが多いんだけど、昔の人って、すごいな、と。
ボクも見習わなきゃな、と。
植物ごとに最適温度が違うみたいだし、
染料を粉砕するにはその小ささが一定でないと
色のブレが起きるみたいだし、
まだまだいくつかハードルがあるのです。
地道にトライアンドエラーをやっていかなきゃな、と改めて思うのでした。
がんばろっと。
さて、今月は「伝統色のワークショップ」です。
3月27日(土)に猩々緋(しょうじょうひ)色を
染めます。
また詳細はサイトで紹介します。
お楽しみに!
店主@手染メ屋
http://www.tezomeya.com/
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