さび茶

さび茶

2020年05月08日
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カテゴリ: クチコミテーマ
​いない。​ その一言。私にとって「アイドル」は憎しみの対象だった気がする。
アイドルに夢中になる年頃と言えば、10代前半からだろう。私の心に闇がにじり寄って来た時期とぴったり重なる。
それまで容姿なんて気にした事が無かった。実際、小学生まではそれで普通に、というか実に快適に過ごしていたのだ。
かなり残念な見た目であったのは事実なのだが、そこそこ勉強が出来た事もあり、クラスでの扱いはそう悪いものではなかった。
ところがである。中学生になり、同じ制服を着て生活をする様になると、嫌でも個性というのは引き出されてしまうらしい。

明らかに差別が生じてきた。私は自他共に認める耳年増で、中学生になる頃にはまぁ相当の性知識があった。人間は痛みすら快感になるのだ、と実感は無いながら、そういう感情がある事も知識として理解していた。
でも私が知っていたのは恋愛における「ハード面」だけだった。私に決定的に欠けていたのは「ソフト面」であった。
人は美しいモノを好み、愛でる習性がある。特に思春期になれば、突然美しい異性が気になってくる。

いつまでも小学生気分で見た目なんて何一つ気にしない私は、周囲からびっくりする位浮き始めた。
つまり、私はまるっきりモテなかったのである。いや、もうそんな次元ではなく、存在を認められなくなってしまったのだ。



発 言はなかった事にされ、面倒な役目ばかり押しつけられる様になる。小学生の時は無神経な程大らかだった(それも問題だが)自分が、どんどん卑屈になっていくのを感じた。
そんな時、日本ではアイドル黄金期が来るのだ。80年代、可愛らしく着飾ったアイドル達は、同じ様な髪型をしながら笑顔で唄い、ファンからの熱烈な声援を受けている。
猛烈な嫉妬が起こった。私は自分の容姿を棚に上げ、彼女達をディスり始めた。
当時のワイドショーは今より全然エゲツなく、アイドルは人気とバッシングがセットになっている様なものだった。そんな風潮も後押しして、私はいつも毒づいていた。
「よく見たら全然可愛くない、スタイルだって悪い、何でみんなこんな人達に夢中になってるんだよ。見る目無さ過ぎじゃない。何も分かってない。」
今考えるとどの口が言ってるんだろうと薄ら寒くなる想いだが、当時はそんな事でしか自分を慰められなかったのだ。



今 なら分かる。そんな事してばかりいる私の顔はさぞかし醜かっただろう。心の荒みはどうしたって滲み出てくる。
そんな人と一緒にいて楽しい訳が無い。私がみんなから相手にされないのは、至極当然の事なのだ。
それに比べて、アイドルの彼女達はどうよ。元々姿形が良いのに、みんなから声援を得ようと更に研究し努力している。人気が出る事で自信もつく。

私がアイドルをディスると「何で、何でそんなに嫌いなの?すごく可愛いじゃん」と不思議顔で尋ねるKちゃんという同級生がいた。
彼女は心底そう思っていて、何のてらいも無くそれを表現する事が出来ていた。
私だって分かっていた。アイドル達は可愛い。クラスで男子に人気のあるRちゃんだってすっごく可愛い。でもどうしても、私はそれを認められない、口にする事が出来ない。
何だかそれって、自分の「負け」を認めちゃう事じゃない。全面降伏ってヤツじゃない。
私は先生や親に対する分かり易い反抗期は無かった。でも、自分の心には頑なに反抗していた。



な
それこそがあの年代の為せる技なんでしょうけど、もうちょっとあんたが違う生き方してくれたら、今の私もうちょっと良いおばちゃんになれてたんじゃん。ま、ホントもう「今更」なんだけどね。
現在曲がりなりにも自分と一生添い遂げると誓ってくれた夫がいて、その人とYouTubeで昔のアイドル動画見ながら一杯やる生活もそこそこ幸せだよ。



​ そ れにしても、アイドル黄金期の人達はやっぱりハンパないねー。
特に「聖子ちゃん」と「明菜ちゃん」。​


この二人の全盛期をリアルタイムで見られたのは、本当に宝物の経験。そしてそれを素直にブログで言える自分、良かったじゃん。
​そんな今思い出すのはKちゃん。私がようやく辿り着いた素直さを、あの頃既に持っていたKちゃん。私、あなたにやっと追いつけたよ。
私のアイドルはあなただったんだね。​​​​​​​​







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最終更新日  2024年04月01日 23時26分27秒
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