いつかはカナダ犬と北京生活

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二一、私は失礼な日本人

二一、私は失礼な日本人


 私は振り返りもせず、迷路のように大きなそのカラオケ店の通路を早足で歩き続ける。追いかけてきたビンビンが私の腕をつかんだ。

 「ごめん美咲!とにかく部屋に戻ろう?君が出ていくことないから!ジャオも君を捜しに出ていったままなんだ。」

 私はビンビンになだめられ、部屋に戻った。レンさんも少し気まずそうにしている。

 一体何やってるんだろう私?ジャオ君も、レンさんも、そしてビンビンも、誰も悪くない。勝手にビンビンに恋して、デートに誘われたと勘違いしていた私がバカなだけなのに!

 「疲れちゃったから、電気を消して寝ようとしてたの。私、朝から仕事で・・・」と釈明するレンさん。レンさんは、私のことをどう思っていただろう?遊びに来たのにず~っと暗い顔、トイレに行けば何十分も戻ってこない、失礼な日本人??

 しばらくしてジャオ君が戻ってきた。私は心身ともに疲れきっていて、さっきはどこに行ってたの?と心配してくれるジャオ君に、気のない「ごめん」「もう大丈夫」ばかりをひたすら繰り返し、そのままソファに座って眠ることにした。

続く→


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