濫読屋雑記

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2005年12月07日
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昨日、紹介した宮崎正勝氏の『 海からの世界史 』(角川選書、2005年)を取り上げたついでに、日本周辺の「海」を守っている海上保安庁、今年ドラマ&映画でブレイクした佐藤秀峰さんの『 海猿 』(1巻目の『 海猿(1) 』)の舞台、関係の本を紹介してみようと思います。

さて、ドラマ&映画で広く世間一般にその活動が知られた海上保安庁ですが、その活動は大体、以下の通りに分けられます。まず、日本の領海と200海里内の(公海へも行くことがありますが。) 警備・救難活動 です。『 海猿 』のコミックスやドラマ&映画でお馴染みですね。次が灯台の管理や航路の維持・管理、海図の作成などの、 海洋に関する情報を管理する仕事 です。これは、木下恵介監督の松竹映画『 喜びも悲しみも幾年月 』の燈台守を考えてもらうと良いでしょう。(と言っても、昨今では灯台もオートメーション化されて、燈台守がいる灯台はほとんど無いそうです。)

不審船問題 です。(ドラマでもやっていましたが。)

もともと海上保安庁は、戦後GHQが日本近海の治安維持(当時、戦後の不安定な世相を背景に、密輸に密航、それに伴う感染症の上陸等が発生したので、)のため泥縄的に作ったのが始まりです。その後、朝鮮半島を巡る情勢、李承晩ラインの制定による日本漁船への韓国側の発砲・拿捕や、朝鮮戦争などへの対応、その後は北方4島周辺の警戒や、200海里問題への対応(救難活動と海洋調査が主でしたが。)、近いところでは、フランスからのプルトニウム輸送時の警備等々、今日に至るまで日本の領海(シーレーンも)、つまり国境を警備する役割を担い続けてきました。

そんな海上保安庁の領海警備について書かれた本が、小川和久先生の『 日本は国境を守れるか 』(青春出版、2002年)です。国際政治や安全保障が御専門で、TV番組にもよく出演されている小川先生が、 海洋国家日本の国境線についての見解 と、 国境線の意味 不審船問題から浮かび上がる海洋警備の問題点を鋭く指摘 されています。また、海上警備における海上保安庁と海上自衛隊との関係を解説され、さらに国境警備に関する私見を述べられています。

国境警備 」とは、日本人には耳慣れない言葉ですが、陸続きの大陸国家で当たり前の存在です。普通、陸続きの国境では、大体、国境に沿って緩衝地帯が双方数百メートルから数キロにわたって設置し(川の場合や、EUや隣国同士の関係が良好な場合は撤去されています。)、間違いから戦争が発生しないよう軍隊とは別に国境警備隊(それに属する武装機関、緊張状態の時は軍隊ですが。)が配置され、警戒に当たっています。

ところが、日本は島国です。海岸線を見て、この先に国境線がある、と考える人はまずいないでしょう。この日本人の国境に関する認識の無さ、領土に関する無感覚については、江戸時代の寛政3年(1791)に刊行された 林子平 の『 海国兵談 海国なるゆへ何国の備えも、心に任せて船を寄せらるる事なれば、島国なりとて曽て油断は致されざる事也 」、「 細かに思へば、江戸日本橋より唐・阿蘭陀迄境なしの水路なり 」の指摘からあまり変わっていないのかもしれません。(幕末から明治時代、そして終戦までは、国境や地域の権益には敏感だったでしょうが。戦後の平和な時代が長くて、かなり薄まってしまいました。)

そんな人のために、山田吉彦さんの『 日本の国境 』(新潮新書、2005年)があります。今話題の、 尖閣諸島問題 (対、中国・台湾。)、 竹島 北方四島 (対、ロシア。)、そして 沖ノ鳥島 (対、中国?、と言うより、自然の猛威が問題かな。石原都知事が上陸して話題となりましたが。)、 対馬 先島・八重山諸島 に関する諸問題を取り上げ、考察をしています。

この本でも、第2章「 日本の国境を行く 」では、 石垣・根室 両海上保安部 が、第3章の「領土紛争最前線から」でも、 対馬海上保安部 の活躍が掲載されています。とくに、 対馬海上保安部 の活動については「最前線基地」と題して、韓国の操業漁船との戦いについて取り上げ、 海上保安庁が日々、領海と日本の漁業資源の警備に当たっているかを紹介しています

このように、昨日も書きましたが日本周辺の海は、 物騒な状況 になってきています。近海では、 中国海軍の調査船や原子力潜水艦の領海侵犯 周辺諸国の不法操業漁船 密航に密輸 などが頻発しています。また、国民生活を支える海上交易ルート、マラッカ海峡からシンガポール、バシー海峡、南シナ海、台湾近海を経由して日本に至る航路ですが、ここでも、 海賊 (昔話ではなく、本当に今暴れまわっています!)に テロリスト (こいつらも資金調達のため、海賊業をやっているのですが。)、さらに、 大量破壊兵器(核・化学・生物兵器)拡散防止のためのPSI への対応など、選り取り見どりで問題が出てきています。

領海警備などは、海上保安庁の仕事ですが、PSIや対テロ対策は本来は海軍(海上自衛隊)のお仕事です。(公海上ではとくに。そもそも軍艦には国際法上、数々の特権があるので、色々と活動がしやすいはずなのですが。)しかし、憲法問題などで海上自衛隊の任務が限られているので、ここでも海上保安庁が前面に出て活動しています。

そのように、 幅広い活動を展開する海上保安庁 については、海上保安庁編『 海上保安レポート 』(最新刊の『 海上保安レポート(2005) 』を。表紙画像が無い!格好良いのに!)があります。ドラマ&映画を見た人、コミックで呼んだ人も『海猿』の物語の背後にある諸問題に目を向けてみていかがでしょうか?物語の背景を読み解いた後に、もう一度読み直すとまた違った発見がありますよ! 2006年春には映画『海猿』第2弾が公開予定ですしね

海猿(1) 日本は国境を守れるか 日本の国境

そんな、 海上保安庁のホームページ へはこちらをクリック!『海猿』第2弾の情報もありますよ!! 





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最終更新日  2005年12月07日 23時47分11秒コメント(0) | コメントを書く


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