濫読屋雑記

濫読屋雑記

2005年12月09日
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カテゴリ: 手に取った本
水曜日の夜、偶然NHKのBSアニメ映画劇場でやっていた片渕須直さんが監督の『 アリーテ姫 終わりの方だけ見ました 。そこで、今日は ちょっと暇が出来たので 、図書室で原作を探して(司書という商売は、こういう時に便利です。卒論・修論の時にも、ずいぶん楽しました。)読んでみました。

原作は『 アリーテ姫の冒険 』(学陽書房、2001年)という題で、イギリス人のダイアナ・コールスさんという学校の先生が作った物語です。お話自体は短いもので、全体のページ数は71頁しかありません。ルビも大きく、挿絵もあって、手軽に読める1冊ですね。(残念ながら、私の図書室の本はカバーが無くて、さらに日焼けがヒドイです。赤だったので余計に…さらに、楽天では表紙画像が無かったし。)

さて、愚痴は一先ず置いておいて、原作の内容ですが、これがナカナカ。 短編ながら私のツボにしっかりと嵌ってくれました 。舞台は、ヨーロッパ中世の世界を下敷きにしています。で、お姫様が出てくるとなると、パターンはディズニーみたく格好の良い騎士やら王子さまが出てくるという古典的なものでは、この作品はありません。この主人公、 アリーテ姫は賢いお姫様 です。今の時代、女性が賢く教養があることは当然であり、美徳ですらありますが、中世の時代、女性は例え教養があり知識があろうと、常に男性の影に隠れて、男性の庇護を受ける存在とみなされていたのです。つまり、女性は子どもの時から結婚した後も、1人の人間としての人格が認められていなかったのです。(といっても、伴侶が出征した場合や、病死・戦死など死亡した場合、男の子が成人するまでは領地経営の代行者や後見人として辣腕をふるった公爵&伯爵夫人もいたそうですが。)

王様は宝石が大好きな守銭奴です 。王様は、アリーテ姫をお金持ちの王子様と結婚させて宝石をせしめようとするのですが、アリーテ姫が賢いとわかるやもう大騒動です。なぜなら、賢い王女様には「嫁のもらいてがない」からです。そして、あわてて婿探しをするのですが、 アリーテ姫が賢く機知に富んでいることがわかると、王子様方はみんな逃げ帰ってしまうのです 。そこへやって来たのが悪い魔法使い、ボックスです。彼は、王様に宝石が一杯詰まった宝石箱を渡して、アリーテ姫を娶ってしまうのですが、それには裏があって…。

という、展開でこの後原作では、アリーテ姫はボックスの出す3つの試練に挑むのですが、映画では最初の「永遠に水がわきでる井戸」と「金色ワシの巣からルビーをとってくる」という2つが使われているだけです。「井戸」の方は、ボックスが持つ水を入れた容器に入れると水が湧き出てくる不思議な宝玉に、「金色ワシ」は、アリーテ姫がボックスと彼が支配する村を救った後に探しに行く、星の世界まで手が届く超科学文明が崩壊した後の世界の遺産として出てきます(ボックスは、その超科学文明時代の生き残り。魔法も超科学という設定になっているようです)。 映画は少ししか見ていませんがどうやら、原作を元に自由に脚本したようです

それなので原作で描かれていた主題、「男性の望む理想の女性像=お姫様」、「男性の手を借りて幸せになる女性」という 社会規範 (今日でも残っていますね~) から自由になって、自らの意思と知識を使い、自分の運命を切り開いていくという展開 に、映画ではどのような味付けがなされているのかが、気になるところです。週末にDVDを借りに行って確認できたら、と思います。まぁ、すぐ冬休みがくるので時間は出来るでしょうが。(ということは、 私の一番嫌いな「お正月」がくる! 昔はお年玉貰えるから我慢できたのに、今や配る方。今年は、 10人以上候補者が 薄給なのにこれはキツイ!

ついでに書きますと、原作では 食事、食べ物の描写が凄いです 私の場合、これに良いワインと、食後の上等の紅茶があれば地下牢に監禁されても文句は言いません 。一方、魔法使いのボックス氏は、わざとまずく作ったオートミールやらネズミを煮たもの、とどめはナメクジ入りの虫けらパイと、とんでもない物を食わされています。かわいいお姫さまを、軟禁して無理やり試練を与えているのですから、当然の報いですね。

話が脱線しかけましたが、このお話は小さな女の子向けに書かれた、と紹介にありました。また、色々と書評の方も拝見しましたがどうも「フェミニズム」を強調し過ぎているようです。そんな風に出版当時は捕らえられていたのでしょうし、実際、私もそのような感じを受けました。しかし少し考えてみると、女性が自らの体験を元にして描けば当然、主人公は女の子になるでしょう。ですので、 このお話は小難しい事を考えずに、社会全般にある「こうあるべき、そのようにすべき」という一見普遍的に見える規範(社会のありよう)に対する問いかけ程度にとらえた方が良いのではないかと思います 。でも、 本当に大切な事は手に取った本を楽しんで読む事(そして、何かしら自分で感じる事)なのですがね 。( ちなみに私は、本を読んだ後にあれこれといらない事を考えたり、妄想したりする事が好きなのです。で、その結果の一部がこのブログなのですが…

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最終更新日  2005年12月09日 23時28分38秒 コメント(1) | コメントを書く


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