濫読屋雑記

濫読屋雑記

2005年12月28日
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最近、 日記の記入時間が深夜となっていますが 、これは クソ忌々しい お正月 なる年中行事の御蔭の為であります 。私は、 昔から正月が1年で一番嫌いな時期でして 。(お年玉を貰っていた頃でも、嫌な時期でした!)

と、いう前置きをしてから、今日は私のブログの盟友、 本が好きさん!!! のご要望通り、 アルバート・A・ノフィ 著、(フリーの作家で、ウォーゲームのデザイナーだそうです。また、軍事史に関する権威であり、ルイジアナ州立大学の南北戦争研究会の準特別会員にして、多数の著作を記しています。残念ながら、邦訳はこれだけみたいですが。) 諸岡良史 訳『 ワーテルロー戦役 』(コイノニア社、2004年)を取り上げたいと思います。この本の主題ですが、私は原著の主題『 The Waterloo Camppaign June 1815

まず、この本の素晴しいところは、ビジュアルです。この『 ワーテルロー戦役 』では 当時の戦争、ワーテルローの戦い等を描いた絵画を交えて、解説がされているところです 。本文中に掲載されている絵画は残念ながら(というか、当然ながら。)モノクロですが、 当時の戦場や軍隊の雰囲気、将兵の軍装等が手に取るようにわかります 。また、 当時活躍した英仏独、各国の将軍たちの肖像画もあります 。現在、 名所旧跡として保存されているワーテルロー古戦場の写真も載っていて、現存する戦跡、激戦となった拠点の様子が良く分かります 。さらに、この本の素晴しいところは、表紙です。残念ながら、楽天では表紙画がありませんでしたが、この本の表紙には ナポレオンご自慢のフランス胸甲騎兵がサーベル片手に イギリス歩兵の方陣 (騎兵の攻撃に歩兵が備える陣形。歩兵を四角に並べ、前列の歩兵は銃剣を騎兵に向け突き出し、槍衾を敷いて騎兵の侵入を防ぎ、後列の歩兵が断続的に発砲して攻撃します。この陣形を敷かれると、騎兵は歩兵を蹂躙することが出来なくなります。) を攻撃している迫力の絵が描かれています 私は、この表紙を見て、衝動買いをしてしまいました。

この本については、 時間を追って詳細に戦況を解説している (さすが、ウォーゲームのデザイナー!) メインの部分も面白いのですが 私が興味を引かれたのは、戦況を追った本文よりも、その間に挟まれている人名・事項コラムです

さてこのコラム、どのようなモノがあるか例を挙げてみますと、まず「 ワーテルロー戦役における軍隊 」があります。これは、1815年当時、 ワーテルロー戦役 に参加した ナポレオン指揮下のフランス軍 ブリュッヒュー元帥のプロイセン軍 、そして、 連合軍 各歩兵と騎兵の編成 が事細かに解説されています。ところで、ここに 連合軍 という単語がでてきましたが、これは、 イギリス軍 が主体です。これにドイツの邦国の1つ、 ブラウンシュヴァイク軍 オランダ・ベルギー軍 、さらに、当時の英国はドイツ、ハノーファー周辺にも領地を持っていたので(これは、当時の英王室がドイツ、ハノーファー家出身の「ハノーファー朝」だったためです。) ハノーファー軍 が加わったものが連合軍となるわけです。当然、指揮を執るのが ウェリントン公爵サー・アーサー・ウェルズリー元帥 です。

戦史・軍事好きにとっては、このようなコラムは堪りません 。例えば、上記の「 ワーテルロー戦役における軍隊 」で説明されている歩兵では、当時一口に歩兵といっても、 軽歩兵 (英・独)では、遊撃歩兵(仏)、猟歩兵(仏)、ライフル歩兵(英)、側面歩兵(仏)というまた別個の名称があり、任務等で区別されていました。また、 重歩兵 (戦列歩兵とも言います。)では擲弾歩兵(仏)(グラナディア、擲弾兵(英)のことです。「通」は第二次世界大戦のドイツ軍を思い出すでしょうが。)、狙撃歩兵(仏)といった名称があり、とくにフランス軍ではこのような重歩兵を 皇帝近衛軍 に集中させていました。 ワーテルローの戦い で、フランス軍がウェリントンとブリュッヒャーの攻撃で崩壊しかけた時、最後まで戦場に踏みとどまったのが、 皇帝近衛軍 の重歩兵たちでした。彼ら、 皇帝近衛軍の兵士たちは精鋭を誇示するために 熊毛皮製の高い帽子を被り その帽子に赤い羽根飾りを付けていました

軍装の方へ話が逸れましたが、次に軍隊の編成で重要なのが、部隊の中身です。一口に歩兵連隊といっても、英独仏、各国とも編成される内容には大きな違いがあります。例えば、 イギリス正規軍 (これらの部隊は、英国人、 イングランド兵 ウェールズ兵 ・精強で名高い、ダチョウの羽の帽子とキルトをはいた スコットランド兵 アイルランド兵 と、 国王直属ドイツ人部隊 から編成されていました。)では、 歩兵は連隊は形式的なもので、通常は連隊ではなく、大隊単位で行動していました 。(これは、現在のイギリス軍でも同じで、特殊部隊等を除いて陸軍部隊は大隊単位で構成されます。そして、有事の際には大隊同士が旅団として司令部と支援部隊を加えて再編されて動員されます。) イギリス軍 の大隊は戦列歩兵、軽歩兵、ライフル歩兵、そして近衛歩兵で編成されていました。大隊の中隊数は、正規軍で軽装備中隊1(112名)、重装備中隊1(112名)、中央隊8(各86名)で構成され、兵数は平均で952名だったそうですが、近衛歩兵大隊は兵員は定数以上の1000人以上抱えていたそうです。一方、 国王直属ドイツ人部隊 では、軽歩兵と戦列歩兵が同じ大隊(中央隊)を編成し、軽装備中隊1(112名)、重装備中隊(112名)、中央隊4(112名)という編成だったようです。

このように、この本では、 ナポレオン戦争の時代の戦争がどのような物であったかを、痒い所まで手が届くように、懇切丁寧に解説してくれている良書です 今年出会った軍事関係の本の中でベスト2になる本です 。(ちなみに1位は、ロイ・アトキンズ『 トラファルガル海戦物語(上) ・(下)』(原書房、2005年)です。 海軍万歳! でも、なーんだ、どっちもナポレオン戦争時代のものだ!

以上、 本日は長々と濃い内容を書き綴りましたが 今日は、チョッと仕事納めのゴタゴタからストレス発散も兼ねて、気合を入れて書いてしましました。 (しまった~、今何時だ~!)まだ、この『 ワーテルロー戦役 』について、 語り切れていないので、明日もこのお話は続きます

ワーテルロー戦役ワーテルロー戦役





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最終更新日  2005年12月29日 02時39分20秒コメント(0) | コメントを書く


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